ミュージック インタビュー&コメント

ミュージックライブレポート
2009年07月27日
LIVE REPORT
かりゆし58
ツアー最終日で魅せた“魂”のステージ!

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ファンとの絆と魂が通い合った最高のステージ!
 かりゆし58といえば、最近だとドラマ『銭ゲバ』(NTV系)の主題歌「さよなら」を歌うバンド、と聞いてかなりの人がピンとくるのではないだろうか。2005年にデビューし、その翌年のシングル「アンマー」(沖縄の言葉で“お母さん”の意)がノンタイアップながら有線でじわじわと火がつき、2006年度の『日本有線大賞』で新人賞を受賞。――そんな異例づくしの前例からもわかるように、かりゆしの楽曲は、一度でも聴いた人の、心の中に深く深く入り込む力を持つ。余計な演奏テクニックがあるわけでも洗練された歌詞を歌っているわけでもない。ただ、日本人魂のど真ん中をついてくるようなストレートでシンプルな歌詞と、日本の祭りを彷彿とさせるようなリズム。そんな、懐かしさもある土着的な楽曲で人の心をきゅっと掴む。デビューから足掛け4年、インディーズ界のさまざまな快挙をなしとげた彼らが、今年4月から始めたライブツアー『47都道府県58箇所巡り ハイサイロード'09』のファイナルを、7月22日に赤坂BLITZで迎えた。

 開演前から自然とオーディエンスから拍手がわぁっと沸き、このツアーがいかに熱い日々だったかを物語る。「みなさん!ハイサイ!」とメンバーは普段通りに登場。1曲目「手と手」、そして淡い恋を歌う「夏草恋歌」では早くも会場のモッシュはピークに。「過去最高のライブをしませんかー!」前川(Vo)が煽り、たて続けにアップテンポの曲をたたみかけた。レゲエ調で、前向きな歌詞にヤラれる「君のそばに」、名曲「ただひとつだけ伝えたいこと」では最後の楽器隊の盛り上がりに目頭が熱くなる。そして「ナナ」と続くと、観客は興奮のるつぼに。間奏の泣きのギターには思わず聴き惚れてしまう。そんななか、印象に残ったのはとにかく観客の“笑顔”だ。会場は蒸し風呂のようにひしめき合っているのに、みんなこぼれんばかりの笑顔。「1000人居ても、1対1の歌を歌いに来た」という前川の思いがみんなに確かに伝わっているのだろう。新曲「心に太陽」は、このツアーで多くのファンに出会って感じたことを歌にしようと思ってできた曲。「ごまかさんで まっすぐ生きて」と呼びかける前川。“自分らしさを忘れないで”という彼らなりのメッセージを感じる、パワー溢れるミディアムテンポのナンバーは心に染み入る。ライブの折り返し地点から、「ここから激しくなるよー!」と、6曲がフル疾走。THE BLUE HEARTSの名曲「情熱の薔薇」のカバーや、最初から最後まで大合唱となった「電照菊」。汗なのか鼻水なのか涙なのか。わからないけどビショ濡れの中、前川は「よく(照れ隠しで)自分のバンドを“しょーもないバンドです”とか“ポンコツパンドやってます”とか言ってたけど・・・もう言うのやめる。かりゆしは、こんな最高の仲間がいる、最高のバンドですって言う!このツアーで、自分のバンドを自慢できるようになったよ。ありがとう」と語り、始まったのはヒットソング「さよなら」。感動で胸がカーッと熱くなった。ここまでで本編終了、2時間みっちりだった。かりゆしならではの合いの手が沖縄風なアンコールが会場に鳴り響き、メンバーが再び登場。

 本日最後の言葉として前川は地元沖縄の魅力について語った。「沖縄の魅力って何だと思う?青い海や自然・・・。うん、その通りなんだけど、最近まで沖縄は戦争をやってたんだよね。そういう悲しいことがあって。でも、じーちゃんもばーちゃんもおにいもおねえも、とにかくみんな温かい。いつも、居酒屋とかで知らない間柄でも“おいでおいで”って言ってくれて一緒に飲んで歌ったりね。そうやって沖縄ってとこは、楽しかったら歌おうよ、悲しくても歌おうよ、という人がいる所なんです。すごくそれが、沖縄の魅力なんです」と、愛する沖縄の曲を紹介した。「一生大事にしていきたい曲です。『ウージの唄』」。アコースティックバージョンで4人が座って演奏したこの楽曲、彼らの思い入れが伝わってきた。そして待ちに待っていた「アンマー」でラスト。母を歌うこの歌詞の1つひとつの意味をかみ締めながら、しぼり出すかのように目をつぶって丁寧に歌う前川。渾身のプレイをみせるメンバー。最後にオーディエンスみんなが手を挙げてつくったピースサイン。会場を包み込む温かい空気に、改めて目が涙でうるんだ。

 魂の歌――。そんなふうにいうと非常に陳腐に聞こえるが、かりゆしの歌には確かにその“魂”があった。人の心を前向きに動かし、地に足をつけて、大切な仲間と生きてみようかな、と思わせる底力を感じさせてくれた。メンバーは決して特別な人たちじゃない、普通の若者だ。明るく、ときに互いにふざけあい、かつイマドキのどこか淡々としている風情だってある。でも、思ったのは彼らがとことん自然体であること。そんな素のままの彼らの姿勢と言葉だからこそ、聴く人の胸にスコンと素直に落ちるのだろう。かりゆしを聴いて素直に「あ、いいな。人のつながりっていいな」と思えた。ただそれだけだけど、人生すごくトクした気がした。

かりゆし58 プロフィール
(文:雨宮由佳)
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