ミュージック インタビュー&コメント

ミュージックライブレポート
2011年2月23日
LIVE REPORT
氷室京介
横浜アリーナを震わせた 鋭いナイフのように観客を貫く歌声

次へ
 
身体に刻み込まれたヒムロックイズム
 昨年の9月に日本武道館を皮切りにスタートした、氷室京介の全国ツアー『KYOSUKE HIMURO TOUR2010-11 BORDERLESS “50×50 ROCK’N’ROLL SUICIDE”』が、2月11日と12日の横浜アリーナ2デイズでファイナルを迎えた。このツアーは昨年リリースされたアルバム『“B”ORDERLESS』を引っ提げて行われたもの。全31ヶ所50公演で行われ、20万人の観客を動員。50才という年齢を感じさせないパワフルな活動に、多くのファンが感動、そしてヒムロックイズムを身体に刻み込んだ。

 バンド時代からのファン、革ジャンを着込んだ男性、カップル、親子連れなど、実に幅広いファン層が集まった会場は、ライブが始まる前から手拍子が沸き起こるなど、熱気に包まれていた。約1年ぶりとなるツアーだけに、ファンの期待の高さがうかがえた。

 序盤戦は『“B”ORDERLESS』に収録の「ROCK’N’ROLL SUICIDE」や「DOPPELGANGER」などアッパーのサウンドで、観客をあおりたてた。氷室の「はじけるぜヨコハマ」という声に、大きな歓声で応える1万2000人。モニターに足をかけ、両腕でアクションを取りながら歌う姿は、30年近く変わらないスタイルだ。

 中盤には、「ONE」や「STORMY NIGHT」などしっとりとしたナンバーを披露するコーナーもあった。「MOON」を演奏する際には、アルバムのテーマでもあるボーダー(境界線)について語った氷室。「月から見ると地球に境界線はない。争いも差別も貧富の差もない世界、みんながひとつになれたらいい。そんな願いを込めました」。そうした氷室のメッセージを、観客がジッと聴き入っていた。

 最終日に演奏されたのは、アンコールも含めて全26曲。後半には、「WILD ROMANCE」や「SWEET REVOLUTION」などのシングルヒットナンバーを連発して、観客を盛り上げた。それに対し手を振り挙げ、大声で一緒に歌って応えた観客。一体感というのは、まさにこういうことだろう。その後、ダブルアンコールでは1988年のソロデビュー曲「ANGEL」を披露、そしてトリプルアンコールでは、BOØWYの名曲「DREAMIN’」を、このツアーでは初めて解禁するというサービスもあった。出し惜しみ一切無しのパフォーマンスに観客は大満足。

 50才で50本のライブを行うことの過酷さは、想像しがたいものがある。はだけたシャツとタンクトップの間にのぞいた逞しい肩と二の腕からは、ハードなツアーを乗り切るために鍛え抜かれた肉体が想像された。ストイックに自らを追い込んだ肉体から発せられる声が、鋭いナイフのように観客を貫く。横浜アリーナのステージに立つ氷室の姿は、辛い減量とトレーニングを乗り越えてリングで輝くボクサーのようにも見えた。
(文:榑林史章)
ライブレポート一覧へ

P R

イープラス