ミュージック インタビュー&コメント

ミュージックライブレポート
2010年8月20日
LIVE REPORT
ゆず
11年ぶり“弾き語り”ツアーで観客を魅了した、原点の音楽

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ゆずゆず北川悠仁岩沢厚治ゆず
ステージの先端に立ち、「栄光の架け橋」をマイクを通さずに熱唱する開演前の恒例のラジオ体操ゆずオリジナルの打楽器、トントンくんゆずオリジナルの打楽器、トントンくん 
シンプルなステージで心震わせたパフォーマンス
 実に11年ぶりに、2人だけの“弾き語り”で全国ツアー『YUZU LIVE CIRCUIT 2010 SUMMER 「FUTATABI」』を開催したゆず。シンプルなステージから放たれる2人の透き通るような歌声のハーモニー、趣向を凝らしたいろいろな楽器の演奏は、バンドでのライブとはひと味異なる、大きな感動を会場に呼び起こした。そんな同ツアーの東京国際フォーラム公演(8月5日)の模様をレポート!

 チケットはもちろんソールドアウト。約5000人の観客で埋め尽くされ、超満員となった東京国際フォーラムのホールA。定刻通りに恒例のラジオ体操がスタートすると、いっせいに観客が立ち上がり、会場に熱気が帯びる。ラジオ体操が終わり、ギターのカッティングインストが鳴り響くと、北川悠仁と岩沢厚治がアコースティックギター5本がならぶシンプルなステージにさっそうと登場。大歓声が沸き起こった。

 スタートは、北川の「一緒に歌おう!!」のかけ声で始まった「サヨナラバス」。アコースティックギターのサウンドと2人の歌声だけのライブの空気感を確認するかのように、耳をすませ、リズムにあわせて体を揺らせていた観客たちは、次第に楽曲に惹き込まれていく。ライブの序盤からいきなり大合唱が響き渡り、国際フォーラムは揺れに揺れた。

 そして、北川がカズー、岩沢がバンジョーをもって歌った「種」や、今回のツアーで初披露となった「もうすぐ30才」(岩沢バンジョー&北川ギター)、さらに、ゆずのマネージャーふたりがダンサーとして登場し、北川の振り付けのレクチャーに続いて、ダンサーと観客がみんなで踊った「シュミのハバ」など、にぎやかなパフォーマンスが続き、ゆずのライブらしい大きな一体感が会場を包み込んだ。

 続くMCでは、12年前に衝動買いをしたギター、ギブソンJ-160Eの思い出を北川が語る。「特別すごくいい音がするというわけではないんです。でも、ゆずの思い出がたくさんあって、久しぶりに出して弾いてみたら、“ゆずの音がする”ってうれしくなりました」。そのギターをもって披露したのは、ゆずが路上時代から歌っていた大切な曲「いつか」。北川のMCの余韻も残るなか、その歌詞とメロディは、しっかりと観客の心の奥底まで響き渡り、熱いものを胸にこみ上げさせた。さらに「飛べない鳥」でしっとりと聴かせたあとは、一転してノリノリの「シシカバブー」。会場中の誰もが手拍子しながら飛び跳ねる。またしても、フォーラムが大きく揺れた。

 ふたりだけのシンプルなステージとなった今回のツアーだが、そのぶんいろいろな楽器の演奏が披露された。なかでも、会場を笑顔と興奮に包み込んだのが、ゆずオリジナル楽器の“トントンくん”。アナログとハイテクのハイブリッドのようなリズムマシーン(?)のトントンくんは、人形2体を含む大がかりな楽器(セット?)。岩沢のMCの間に、スタッフとともに自らもトントンくんのセッティングをする北川の姿に、客席からは笑いもこぼれたが、北川の演奏がスタートし、キレのあるリズムがきざみだされると、観客の爆笑は驚きに変わり、そして、そこから奏でられる曲に魅了された。トントンくんの演奏による「おでかけサンバ」と「月曜日の週末」は、ゆずと観客が一緒になって楽しみ、歌い、さらに会場のテンションをアップさせていた。

 ライブ後半では、この日が誕生日の観客をステージに呼び上げてみんなで歌った「贈る詩」で、客席を温かい一体感で包んだほか、いちばんの盛り上がりをみせたのは、やはり「夏色」。イントロでは、北川がブブゼラを奏でる!曲中の恒例の「もう一回!!」コールが、この日は「ブブゼラ!!」コールとなり、北川のブブゼラが再び鳴り響く異色の「夏色」に会場中が熱くなった。

 そして北川は、デビュー13年を迎えたことへの感謝の意を述べながら、「自分のことを歌った曲がみんなに届いて僕たちに返ってくる。生きているうちに起こる、うれしいことつらいことすべてを歌にして、これからもみんなに届けたい」とメッセージを送る。本編ラストの曲「虹」は、5000人の合唱とふたりのハーモニーが重なり、大きな感動に包まれた。

 そんな感動の余韻を引きずったままのアンコールでは、ふたりがステージの先端に立ち、なんとマイクもギターアンプも通さずに、生の声とギターの響きだけで「栄光の架橋」を歌った。広い空間に響き渡る、彼らの生の声とギターの音圧に驚かされる。公演の最後に待ち構えていたのは、まさに活動の原点に立ち返った、いまの彼らが放つ音楽だった。会場の広さをまったく感じさせずに自然に耳に届くゆずのハーモニー。気がつけば誰もが笑顔で曲を口ずさみ、そして、心を震わせる感動が胸のうち押し寄せる……。改めて、ゆずの曲の魅力を体感することができた公演だった。終演後には、この空間を共有することができた観客の喜びが、会場中に満ち溢れていた。
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