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80’sアーティストの“底力”に最敬礼

■2つの“30周年記念ライブ”で感じたこと

 ここのところ立て続けに“30周年記念ライブ”を観る機会に恵まれた。ひとつは6月18日東京国際フォーラムで行われた佐野元春の、もうひとつは6月25日横浜アリーナで行われた角松敏生の30周年記念ライブ。どちらも素晴らしい歌と演奏で、音楽のチカラを改めて肌で感じさせてもらった。

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 両者のライブに共通していたことは、素晴らしいミュージシャンの“イイ音”とイイ歌。当たり前だけど一番大事な部分がしっかりしていれば、例えド派手な演出や映像がなくても、大きな感動を与えてくれる。まさに音と歌を楽しむ、ライブの原点のようなライブだった。佐野はMCで「30年やってきて一番良かったことは多くの素晴らしいミュージシャンに出会えたこと」と言っていた。確かに佐野は腕利きのミュージシャン達=バンドと、名盤をたくさん作り、いいライブを続けてきた。角松もそうだ。彼はデビューから超一流のミュージシャンと共に自分の音を作り続け、とにかくクオリティにこだわってきた。だからライブでも素晴らしくイイ音を聴かせてくれる。

 どこで読んだか忘れたけれど、アミューズの大里洋吉会長の「ライブがよければお客さんは絶対逃げない」という発言を読んで、確かにそうだなと思った。その考え方が行き渡っているから、受け継がれているからこそ、アミューズのアーティストのライブはやっぱりすごくイイ。“何か”をきちんと残してくれる。

 佐野と角松もそうだ。いいライブを続けてきたからこそ、もちろんいい作品を発表し続けてきたこともあるが、30年第一線でやり続けてこれたのだと思う。佐野のライブでは「SOMEDAY」「アンジェリーナ」「ガラスのジェネレーション」などのヒット曲は客席全体で大合唱になるし、角松のライブもお客さんは体を揺らしながら一緒に歌い、バンドが放つ音に酔っている。どちらもお客さんの中心は40代〜50代で、もちろん若い人達もいたが、その辺りの層の人達がライブ会場に足を運び、一緒になって歌い、リズムに乗って体を揺らす、そんな場を作り出してくれていることが、なによりも嬉しかった。

 CDが売れないと言われ続け、レコード会社各社はエルダーマーケットに向けた戦略を打ち出し、まさに佐野や角松のファン層の購買意欲をかき立てるような商品を次々と発表している。そんな人達が足を運びたいと思う、足を運ばせるアーティストはやっぱり強い。両方ともグッズ売り場は長蛇の列だった。もちろん30周年アニバーサリーという“ノリ”もあると思うが、逆にこの機会に改めて素晴らしいライブ、素晴らしい作品を聴かせることができれば、またリピーターになってくれる可能性も高くなるはずだ。それは、彼らの音楽をリアルタイムではないけれど、親の影響や、自分が好きなアーティストが彼らをリスペクトしているとか、様々な理由で彼らの音楽に触れることができた若い、新規ファンを獲得できるチャンスでもある。

 佐野は3時間25曲、角松はなんと6時間40曲という凄まじいパワーとエネルギー。80’sアーティストの底力はやっぱりスゴい。

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