ORICON NEWS

【編集長の目っ!】曽根由希江の歌が気付かせてくれること。

■温かさを運んでくれる、注目のシンガー・ソングライター。

 3月11日の東日本大震災以降、女性の結婚願望が高まっているというニュースをちょっと前に見た。続く余震、原発問題、震災の二次災害は人々の心の中に不安というどうしようもない大きな影を落としていった。確かに個人的にも震災直後は、独り暮らしの女性の友達何人かから電話がかかってきた。随分とご無沙汰だった人からの電話もあった。みんな一様に「余震が怖い」「不安」だと言っていた。ほとんどの人が人生初、経験のない未曾有の震災を経験したことによって孤独感にさいなまれ、人とのつながりや絆を求めて、結婚を考える人が増えたということなんだろうか?

曽根由希江 

曽根由希江 

写真ページを見る

【写真】その他の写真を見る


 何もかもが変わってしまい、全てがリセット状態になったという人もいるが、そんな中でも変わらないもの、こんな時だからこそ、その大切さに気付くのが人とのつながり、絆だろう。

 そんなことを考えていたところに届いたのが、シンガー・ソングライター曽根由希江の2ndシングル「HOME」だ。透明感のある優しさ溢れる声と、優しいメロディと共に聴こえてくるその詞が印象的だった。シンプルな言葉で、変な言い方かもしれないが、決して特別なことを言っているわけじゃない。でも、耳にスッと入ってくる。人は絶対1人じゃない、誰かとつながってるんだよ、ということを切々と歌ってくれている。家族、友達、そしてネットや携帯を通してでも、直接じゃないけど、きちんと人とつながっているんだ・・・そんな「HOME」を感じながら生きたいと。そして、当たり前にある日常の幸せを大切にして欲しいと、とかく見失いがちな大切なことを、決して押し付けがましくない感じで、彼女は教えてくれる。

 まるで失くし物のように、一瞬のうちにそれまで過ごしてきた時間が、物が、そして人が突然消えてしまう――そんな信じられない出来事に見舞われた多くの人のことを思うと、当たり前にある日常の幸せがいかに大切なのかを思い知らされた人が多いと思う。

 曽根由希江の目に映る日常は、決して“特別な日常”ではなく、誰の目にも映る、そして誰もが感じる日常が描かれている。目線の高さが聴き手と同じだし、だから等身大で、飾らない言葉が、スッと入ってきて、そして寄り添ってくれ、やがて包み込んでくれるような感覚になるのだと思う。

 この作品はテレビ朝日系の人気ドラマ、木曜ミステリー「おみやさん」の主題歌に起用され、すでに耳にして、気になっている人もいると思う。その起用理由を番組プロデューサーは「“帰る場所がある”というこの歌のテーマが、「おみやさん」の世界観とマッチしていたのがこの曲を主題歌に選んだ一番の要因です。この曲が最後に流れることで、見終わった後にホッとした気持ちになっていただけるのではないかと思います」と語っている。彼女の優しい声、そしてその温もりがある人間性が曲から滲み出ている・・・ホッとするというか、癒されるというか・・・・・・さわやかな余韻が残る。でもその中にも彼女の“強さ”はしっかりと感じさせてくれる。強い部分があるから人に優しくできるのだ。

 彼女はデビュー前からラジオのパーソナリティとして活躍していて、昨年10月シングル「ギンモクセイ」でデビュー。さらに12月にミニアルバム『スマイル』をリリースし、ピアノの弾き語りライブを精力的に行い、その“想い”をたくさんの伝えてきた。ラジオを通じてリスナーとつながり、そしてライブで、彼女の人となりや声、そして歌に助けられたり、癒されたり、勇気付けられた人がたくさんいるのではないだろうか。

 こんな時代だからこそ、こんな“今”だからこそ、彼女の目に映る“日常”を考えさせられるし、彼女の歌が胸にしみる・・・。

⇒ 『編集長の目っ!!』過去記事一覧ページ 

関連写真

  • 曽根由希江 
  • 曽根由希江の2ndシングル「HOME」通常盤 
  • 曽根由希江の2ndシングル「HOME」初回限定盤 

オリコントピックス

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索