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【編集長の目っ!】MONKEY MAJIKのマジック

■メロディそのものがメッセージ――MONKEY MAJIKの心地良さ。

 デビューから“もう”11年かぁ……。

 某アーティストがパーソナリティを務めるラジオ番組に「しゃべりに来ませんか?」とゲストで呼ばれた時、そのアーティストが「仙台に面白いバンドがいるんですよ」と紹介してくれて、番組内でオンエアしたのがMONKEY MAJIKの曲だったことを、今でもはっきり覚えている。

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 あれから10年以上経ってるなんて信じられないけど、改めてMONKEY MAJIKの資料を見直してみると、きちんとコンスタントに作品をリリースして、ライブ活動をやってと、本当にファンを大切にしているバンドなんだということがわかる。

 去年デビュー10年を記念したベスト盤をリリースして、次の10年へ向け走り出した彼らからの最初のメッセージが、2/2にリリースされたニューアルバム『westview』だ。インディーズ時代の2005年に『eastview』というアルバムをリリースしていて、今回の作品はそのアンサーアルバムという位置づけだ。
 だから、メンバー全員が原点回帰+自分たちの未来へ向けて、という気持ちでレコーディングに臨み、大きなメッセージを込めた1枚になっている。


 それにしても、MONKEY MAJIKの音楽って、すごく情緒を感じさせてくれる。今さらながらかもしれないけど、今回のアルバムを聴いてそう感じた。洋楽と邦楽の融合――彼らの音楽を表現するときによく使われるフレーズだけど、“融合”という言葉が果たして適切なのかどうか……。そもそも邦楽は洋楽の影響を多分に受けた人たちが作り、歌っているのだから。彼らのメロディ、サウンド、声、コーラスワークは、当然英語詞のほうが“すんなり”入っていけるし、“しっくり”くる。それはメロディを大切にしているからだろう。でも、日本語詞が乗った時も、これがしっくりとくるから不思議だ。その大胆かつ繊細なメロディに、日本語が本当によく合う。そんなメロディに、日本語の繊細さが加わって、“化学反応”が起こることで、情緒的な空気が流れてくるのだろうか。

 でも彼らのメッセージは、決して押し付けがましいものではなく、彼らの音楽の最大の武器である“聴き心地の良さ”から生まれてくる、その“雰囲気”が丸ごとメッセージなんだと思う。日本語も英語も含めて、それを包み込んでしまう懐が深いメロディ自体が、メッセージなんだと思う。

 非常に心地良くて、温かい感じの作品が多い今回のアルバム。音数も少ない作品が多い。あくまでバンドサウンドを主張しつつも、時にはハードに、時にはストリングスで温もりを感じさせてくれつつ、1枚を通して、全体的にやっぱり心地イイ。そうだ、“塩梅”がいい。塩梅=バランスがいいんだと思う。塩梅という言葉も情緒がある言葉だ。音と言葉がひとつになったときの、その塩梅が絶妙で、それが心地良さにつながっているのだと思う。

 アルバムに収録されている「夢の世界」、いい曲です。Bee TVドラマ『パーティーは終わった』(監督:行定勲、主演:仲里依紗)の主題歌で、メンバーが脚本を読み、書き下ろしたラブソングだ。MONKEY MAJIKがJ-POPシーンで支持されて、10年間ファンの心を掴んで離さなかったその“理由”がわかる1曲だと思う。
 原点に戻りつつも、“今までとこれから”が見事な“塩梅”で1枚の作品になっている−−それがアルバム『westview』だ。


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