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【編集長の目っ!】せつないけど前向きさを感じさせてくれる、奥華子の声

■奥華子のこれまでの“想い”が詰まったアルバム『うたかた』

 ストリートライブを“主戦場”にしてきたアーティストは、基本的に“足腰”がしっかりしているというか、地力がある……と思っている。コブクロがまさにそう。彼らは2001年にメジャーデビューして、デビューシングルこそ4位だったが、その後二桁順位が続き、再び一桁順位になったのが2004年、アルバムで初めての1位を取ったのが2005年……でもその後の活躍は誰もが知るところだが、やはりストリートで鍛えられたしっかりとした“芯”があったからこその、その後の快進撃があったように思える。何かのきっかけで彼らのことを知り、それまでの旧譜を聴いてみると、すごくいい作品が多い、と感じた人が多かったのだと思う。しっかりとしたものを作り、残してきたということだ。

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 ストリートで道行く人の足を止めるのは至難の業だ。オリジナル曲をやるなら、よほど人の心に刺さる曲と声じゃないと無理だし、誰もが知っている曲をカバーするなら、完全なコピーか、それとも見事な“ハモリ”、ソロならやはりその声が最大の武器になるのではないだろうか?

 シンガー・ソングライター奥華子は、そのプロフィールを見ると“10万人が足を止めた魔法の声”と書いてある。ちなみにその続きも紹介すると、“聴いた瞬間から心に染み入るメロディと歌詞、まっすぐな歌声は老若男女問わず幅広い世代の人々から支持を集めている。“声だけで泣ける”と称される彼女の歌声は、まさに初めて聴く人の耳を捉えて離さない――――”とある。まさにストリートライブの申し子だったわけで、とにかく地道にストリートで演奏を続け、2005年にメジャーデビューを果たした。

 数字的にいうと、正直まだまだ満足できる数字ではないと思うが、でも日本中で、彼女の声を聴かない日はないというほど、CMで彼女の声は年中ヘビーローテーションされている。『ガスト』、東京電力『TEPCOひかり』、JR東日本『エキナカ』、オリックス自動車『いまのりくん』、『お部屋探しMAST』等で、その声を一度は聴いたことがあるはずだ。そして忘れられない声になっているはずだ。彼女のプロフィールを見ると、CM業界が放っておくはずもなく、これだけひきがあるということは、そのCMが効果的に視聴者に届いているということだろう。

 彼女の声は、せつないけど、すごく前向きさを感じさせてくれる――個人的にはそう感じる。だから8月18日に発売された5枚目のアルバム『うたかた』の中に並ぶラブソングの数々は、どの作品も生々しく、リアルで、血が通ったコトバとメロディが、まっすぐに心に届く。でもどんな哀しい歌も、考えさせられる歌も、最後には希望の光が差して、前向きに歩いていきたいと思わせてくれるのが、奥華子ワールドじゃないかと。恋愛感情むき出しのコトバも、どこかに必ず温かさを内包していて、それはメロディにも感じることができる。だから彼女が作り出す作品は、せつなくてせつなくて涙が出てきても、どこか気持ちが優しくなって、前向きな気持ちになっていくのだと思う。

 デビューから5年。今まで彼女のことを知らなかった人は、このアルバム『うたかた』を聴けば、きっと、今までどんな作品を出してきて、このアルバムに辿りついたのだろう、と気になると思うし、彼女の歌を聴き続けてきた人たちは、改めて彼女のソングライターとしての懐の深さと、シンガーとして、その声の素晴らしさに感動するはずだ。

 10万人の足を止めたその声と歌力……強いです。

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  • 奥華子 
  • 5thアルバム『うたかた』(8月18日発売) 
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