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【編集長の目っ!】しつこいようですが、違法DLにアーティストが泣いています。

■“著作権法違反”はもちろん犯罪です。

 ここのところ、“著作権法違反の疑いで逮捕”というニュースが、毎日のように飛び込んでくる。オークションサイトで海賊版音楽DVDを販売、インターネットラジオサービスを利用した違法配信、海外のストレージサイトにアップロードした音楽ファイルへのリンク設定により、違法な音楽配信を行なっていた…等、数え切れないほどの“著作権法違反”の摘発が続いている。

『守ろう大切な音楽を♪』キャンペーンサイト 

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 これは今年1月、著作権法の一部が改正され、音楽などのファイルを、権利者の許可を得ずインターネット上にアップロードし、ダウンロード(DL)を可能にする行為に加え、違法なインターネット配信であることを知りながら、ファイルをDLする行為も違法となることが明文化されたことにより、当局側も取締りを強化した結果だろう。

 しかし当局の監視が厳しくなる一方で、違法DL=犯罪という意識は、若年層を中心に、まだまだ薄いというのが現状ではないだろうか。昨年から、音楽を違法DLから守る、いわば“音楽業界の番人”的役割を担う日本レコード協会(RIAJ)では、『守ろう大切な音楽を♪』キャンペーンを実施し、若年層の著作権遵守意識の向上と、音楽創造のサイクル(ハッピーミュージックサークル)を守ることの重要さを認識してもらうことを目的に、様々な施策を行なった。中高生を中心に、キャンペーンの標語やポスター、キャラクターを募集したり、それがきっかけとなって、情報モラル教育の一環として、著作権をテーマに含む授業を行う学校が増えてきているという。

 さらに修学旅行生の職場訪問を、レコード会社が積極的に受け入れ、その際、レコード会社の役割や、音楽制作の内情などともに、違法DLが音楽創造サイクルに与える影響なども、社員が直接伝えている。修学旅行生と向き合った担当者も、総じて、やはり若年層における音楽の価値観が、相当低くなっているという感覚は感じているいるようで、もっと積極的に音楽創造のサイクルを伝えていこうと、出張授業という新しいアプローチを始めている。音楽はより身近なもので、そして大切なものなんだ、ということを直接生徒達に“届ける”という作業を、地道にそして徹底的に行なっている。この積み重ねが、結局違法DL撲滅の近道になるのではないだろうか。

 昨年の『守ろう大切な音楽を♪』キャンペーンは、応募資格が高校生までだったが、今年は大学生までに広げ、より幅広い啓発効果を期待している。携帯電話もそうだが、PCと向き合う時間が多いであろう大学生は、より違法DLがしやすい環境にさらされている。

 結果的に、そんなに意識することなく当たり前のように著作権侵害に手を染めている―――誰もが犯罪者になりうるこの状況は、大問題だと思うが、そんな中で、やはり音楽業界と教育の現場の連携こそがこれからは欠かせないと思う。そのきっかけとしてのこのキャンペーンは、入口として親しみやすいし、まずは、どちらかというととっつき難いイメージがある著作権というものに、目を向けさせるいい“機会”になっていると思う。

 昨年もこのコーナーでこの問題を取り上げたが、やはり何度も何度も取り上げなければ伝わらないと思うので、同じことを書くが、違法DLで泣くのはアーティストであり、なにより違法DLをした本人だ。アーティストにきちんと対価が支払わなければ、創作活動が困難になり、いい音楽、いいアーティストに巡り会うことができなくなる。めぐりめぐって、一番ダメージを受けるは自分なんだと、いうことを認識して欲しい。

『守ろう大切な音楽を♪』キャンペーン2010

⇒ 『編集長の目っ!!』過去記事一覧ページ 

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  • 『守ろう大切な音楽を♪』キャンペーンサイト 
  • 2009年キャラクター部門グランプリ 
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  • 2009年キャラクター部門準グランプリ 
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