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【編集長の目っ!】aikoという道へ続く、傑作『BABY』

■強烈な個性の14曲が、ひとつになってaikoという道になる

 aikoのレコード会社のアーティスト担当WM嬢から、このアルバムのレコーディン中から一体何回「ムッチャいいですよ」という言葉を聞いただろうか…。

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 かなり頭でっかちになっていたところに、アルバムの情報が、少しずつ色々なところで囁かれるようになってきた。「ロックなaiko」「今までやってきたからこそできたアルバム」「初めてのオレ目線の曲」……本人のコメントや記事の書き手の主観が情報になって、飛び交っていた。ますます頭でっかちになっていった。でもここまできたら、やっぱり完パケした形のものを聴きたかったし、だから取材用にと渡された、何曲か足りないサンプルは敢えて聴かなかった。

 だって、やっぱりアルバムに込めた想いは、1枚通して聴かないと伝わってこないだろうし、それにファーストインプレッションってすごく大切だと思うから…。

 そして取材直前、ようやく14曲のaikoの“BABY”達が完全な姿を見せてくれた―――2年半ぶり、9枚目のアルバム『BABY』だ。

 1回聴いて、まず頭の中に思い浮かんだ言葉は“参りました”だった。何に参ったかというと、シングル曲も含む全14曲全てが主役になりうるクオリティの高さだから。曲に対して主役とか脇役とかいうと、aikoに怒られそうだけど、全部がシングル曲になってもおかしくない、それぐらいイイ曲が多いという意味だ。だから濃い1枚だ。と言っても決して胸焼けはしないのでご安心を。

 濃いけど“シンプル”。それは表情が違う、個性的な14曲が並んでいるのだけど、でもその“BABY”達は、aikoがデビューしてから、いや、音楽に触れた瞬間から、ずっと歩き続けている“一本の道”の上でできた曲たちだからだ。“素直に想いを届けたい”というシンプルな気持ちがまずあるからこそで、そんな想いで曲を作って歌って……aikoのスタンスがより色濃く出ているような気がする。だから“シンプル”……なんじゃないかと。14曲はそれぞれが思い思いの方向で光を放ち、それが交差し、聴いた人たちに色々な想いをめぐらせ、でも遠くの方でちゃんと1つになっている。そしてaikoという道に続いている。

 アルバム制作中にツアーで全国を駆け抜けたせいか、勢いとバンド感というか、ライブの温度感が、全体を通して出ている気がする。そのせいか、aikoの気持ち=せつなさをより強く感じてしまう。勢いがあるバンドサウンドと言葉があると、余計にそこにあるせつなさを強く感じてしまう。

 自分が信じた道を突き進む強さ、それをロックと呼ぶなら、このアルバムは確かにロックかもしれない。でもその道を歩いているaikoの息遣い、視線の先にあるもの、aikoの体から放たれる熱は、やっぱりせつない…。

 自信。10年を越えるキャリアの中で、初めての英語タイトルのアルバム『BABY』。曲達への愛おしさから出た言葉、最上級の愛おしさを表す言葉なのかもしれない。同時にaikoの自信を感じる。デビュー10年で初めてシングルランキングで1位を獲った「milk/嘆きのキス」、そして続く「戻れない明日」でも1位をゲット――何か吹っ切れたのでは?と思ってしまったのと同時に、これまで自分が歩んできた道は、間違いじゃなかったんだ、という自信を手にしたのでは?そう思わずにはいられない素晴らしい出来だ。

 aikoはこの『BABY』を手に、4月24日の横浜アリーナを皮切りに初めてのアリーナツアーに臨む。大きな会場いっぱいに広がるせつなさを、是非体感して欲しい。更に、とどまるということを知らないaikoは、27枚目のシングル「向かいあわせ」(4月10日公開の映画『ダーリンは外国人』主題歌)を4月21日にリリースする。

 聴いてくれる人たちに届けたい想いや歌が、aikoの頭の中にはあふれているようだ。

◆最新インタビュー
『“ライブモード”で作ったアルバムは、ロックな魅力満載!』


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