■北の大地のストリートで、圧倒的な動員を誇った女子デュオ・ひいらぎが、今注目を集めている。
昨年、レコード会社のスタッフから、来年デビューする新人の音だと渡されたCDの中の1曲のあるフレーズが、しばらく繰り返し頭の中を流れていた。
<泣きたい時は上を向かないで 道端に咲く花に泪のみずをやればいい>
ひいらぎのデビュー曲「みず」の中のこのフレーズ、言葉を聴いたとき、ショックを受けた。
<上を向いて歩こう 涙がこぼれないように>―――そんなフレーズに慣れ親しんでいる頭の中で、何かが弾けた気がした。ハタチそこそこの女子がこんなに深くて、優しくて、瑞々しい言葉を綴ることができるなんて、となんだか嬉しくなった。
ひいらぎは00年に北海道・札幌でゆずに影響を受けた、恵梨香、千晶、愛美の3人で結成。ストリートで歌い始めた3人は注目を集めるようになり、01年10月には初ワンマンを行なった。その名前はジワジワと道内で広がっていき、自主制作CDを手売りしながら精力的にライブ活動を行っていたが、05年に一度解散。06年3月に活動を再開し、札幌のストリートの聖地・狸小路で毎週ライブを行うようになり、現在も続けている。
そして今年2月「みず」でメジャーデビュー。この曲は全国33局のFMステーションでパワープレイを獲得し、3人はその全国33都道府県を行脚して、生の歌を届けた。
彼女達の音楽は最初にも書いたが、“北のゆず”の異名を持つほどの完璧なハモり、そして詞もメロディーも優しくて、瑞々しくて、力強くて、そして温かい。とにかく心に響く。特に言葉は決して押し付けがましくなく、「そんなに頑張らなくたっていいんだよ、無理しなくていいんだよ」、そう肩を抱いて励ましてくれているような気持ちになる。強烈なメッセージで引き寄せてくれるアーティストもいるが、ひいらぎはどこか不器用なんだけど、横にそっと立って、同じ歩幅、歩調で歩きながら励ましてくれる感じ。とにかく温かい。だから同性からの支持が圧倒的に高い。
09年8月1日、メンバーの憧れでもあった地元・札幌のZepp Sapporoでのライブを観た。CDもいいが、やはりストリートで“鍛えられた”彼女達の良さはなんといってもライブだ。この日のライブを最後に、メンバーの愛美がひいらぎを卒業するという特別なライブだった。冒頭の2曲を3人で歌い、一旦はけて、そして3曲目からは2人で新たなスタートを切るという、珍しいスタイルのライブだったが、メンバーそしてファンにとっても忘れられないシーンになったのではないだろうか。
とにかく彼女達のライブは、その“温度感”が抜群にイイ。メロディー、言葉、ハーモニー、そしてMCとがいい具合に相まって、最後まで心地イイ温度で包んでくれる。ストリートで人の足を止める“ツボ”、どうやったら耳と心に届けることができるかを知っている。欲をいうと、曲にもう少しバリエーションが欲しいところだが、新人のライブとしては出色だったと思う。
ひいらぎはもうひとつ定期的に行なっているライブがある。『歌声喫茶 ひいらぎ』だ。毎回テーマになっている曲を、お客さんと一緒に歌い、最後は全員で記念撮影をするという、ストリートライブの“距離感”を大切にする彼女達ならではの企画だ。先日東京で行ったが、今後これを全国で行っていこうと、現在企画中だ。
そんな“新生”ひいらぎの2ndシングル「かけら」が、8月26日にリリースされる。やはりここにも、不器用だけど真っ直ぐ生きていく主人公=聴いている人、が存在する。カップリングの「最後のうた」も、誰もが持っている心模様を見事に描いている。
こんな無機質な世の中だから、今“つながる”ことを求めている若い人たちが多いという。携帯やネットの歌詞サイトで泣ける歌詞を探して、共感できる人たちと“つながろう”としている行動もその1つだろう。
ひいらぎの歌は確実に心と心をつなげてくれる。
ひいらぎ
⇒ 『編集長の目っ!!』過去記事一覧ページ
昨年、レコード会社のスタッフから、来年デビューする新人の音だと渡されたCDの中の1曲のあるフレーズが、しばらく繰り返し頭の中を流れていた。
<泣きたい時は上を向かないで 道端に咲く花に泪のみずをやればいい>
ひいらぎのデビュー曲「みず」の中のこのフレーズ、言葉を聴いたとき、ショックを受けた。
<上を向いて歩こう 涙がこぼれないように>―――そんなフレーズに慣れ親しんでいる頭の中で、何かが弾けた気がした。ハタチそこそこの女子がこんなに深くて、優しくて、瑞々しい言葉を綴ることができるなんて、となんだか嬉しくなった。
ひいらぎは00年に北海道・札幌でゆずに影響を受けた、恵梨香、千晶、愛美の3人で結成。ストリートで歌い始めた3人は注目を集めるようになり、01年10月には初ワンマンを行なった。その名前はジワジワと道内で広がっていき、自主制作CDを手売りしながら精力的にライブ活動を行っていたが、05年に一度解散。06年3月に活動を再開し、札幌のストリートの聖地・狸小路で毎週ライブを行うようになり、現在も続けている。
そして今年2月「みず」でメジャーデビュー。この曲は全国33局のFMステーションでパワープレイを獲得し、3人はその全国33都道府県を行脚して、生の歌を届けた。
彼女達の音楽は最初にも書いたが、“北のゆず”の異名を持つほどの完璧なハモり、そして詞もメロディーも優しくて、瑞々しくて、力強くて、そして温かい。とにかく心に響く。特に言葉は決して押し付けがましくなく、「そんなに頑張らなくたっていいんだよ、無理しなくていいんだよ」、そう肩を抱いて励ましてくれているような気持ちになる。強烈なメッセージで引き寄せてくれるアーティストもいるが、ひいらぎはどこか不器用なんだけど、横にそっと立って、同じ歩幅、歩調で歩きながら励ましてくれる感じ。とにかく温かい。だから同性からの支持が圧倒的に高い。
09年8月1日、メンバーの憧れでもあった地元・札幌のZepp Sapporoでのライブを観た。CDもいいが、やはりストリートで“鍛えられた”彼女達の良さはなんといってもライブだ。この日のライブを最後に、メンバーの愛美がひいらぎを卒業するという特別なライブだった。冒頭の2曲を3人で歌い、一旦はけて、そして3曲目からは2人で新たなスタートを切るという、珍しいスタイルのライブだったが、メンバーそしてファンにとっても忘れられないシーンになったのではないだろうか。
とにかく彼女達のライブは、その“温度感”が抜群にイイ。メロディー、言葉、ハーモニー、そしてMCとがいい具合に相まって、最後まで心地イイ温度で包んでくれる。ストリートで人の足を止める“ツボ”、どうやったら耳と心に届けることができるかを知っている。欲をいうと、曲にもう少しバリエーションが欲しいところだが、新人のライブとしては出色だったと思う。
ひいらぎはもうひとつ定期的に行なっているライブがある。『歌声喫茶 ひいらぎ』だ。毎回テーマになっている曲を、お客さんと一緒に歌い、最後は全員で記念撮影をするという、ストリートライブの“距離感”を大切にする彼女達ならではの企画だ。先日東京で行ったが、今後これを全国で行っていこうと、現在企画中だ。
そんな“新生”ひいらぎの2ndシングル「かけら」が、8月26日にリリースされる。やはりここにも、不器用だけど真っ直ぐ生きていく主人公=聴いている人、が存在する。カップリングの「最後のうた」も、誰もが持っている心模様を見事に描いている。
こんな無機質な世の中だから、今“つながる”ことを求めている若い人たちが多いという。携帯やネットの歌詞サイトで泣ける歌詞を探して、共感できる人たちと“つながろう”としている行動もその1つだろう。
ひいらぎの歌は確実に心と心をつなげてくれる。
ひいらぎ
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2009/08/19