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【コラム】シリアスとギャグがマッハの速度で切り替わる『流星の絆』の面白さ

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 東野圭吾・原作による推理小説を宮藤官九郎が脚本を手がけてドラマ化したTBS系『流星の絆』が10月17日からスタートしている。嵐の二宮和也が主役を演じるということで、数ある秋の新ドラマの中でも注目度は高いみたいだ。ドラマの改編期にはテレビ誌を片手に悶絶したりするのであるが、個人的に今回のクールで「よし、これにしよう!」と興味をそそられたのがこのドラマ。ドラマ人気も手伝って原作本もヒットして、11/3付オリコン“本”ランキングBOOK(総合)部門では3位を記録した。

 ドラマのストーリーを盛り上げる出演陣も錦戸亮、戸田恵梨香、要潤、尾美としのり、設楽統、中島美嘉 、柄本明、りょう、寺島進、三浦友和、桐谷健太と、新旧織り交ぜた濃いキャラクターが揃い、目が離せないことになっている。特に錦戸亮は前クールの人気ドラマ『ラスト・フレンズ』(DVD BOXが10月15日にポニーキャニオンより発売)で、非常に難しいDV(ドメスティック・バイオレンス)の役を見事に演じきってしまい、その迫真の演技に、幸か不幸か錦戸亮のことを実際に“DVなのでは?”としか思えなくなってしまったと話す女性も少なくないとか。『流星の絆』で彼がそのイメージをどう払拭することになるかも見どころではある。

 また、推理ドラマなのか、コメディーなのか、恋愛ものなのか、かつてないタイプのドラマのため、観る方は正直、翻ろうされっぱなしである。ひとつの話の中で、過去と現在が交錯し未来へと進んでいく。頭の中を整理しつつ観ているといきなり、これぞ宮藤官九郎!といった劇中劇が挿入される。それに、シリアスな場面からコミカルな場面へのカット割りのブレイク・タイムが1秒もない。2秒あればついていけるのだが、ある意味マッハのスピードで視聴者を置き去りにしていこうとする。その姿勢に新しさを感じた。

 コンビニに行っても、ファストフード店に行っても“お客様は神様です的”なサービス精神が溢れている。しかも、お客さん側はそれが当たり前だと思っている風潮がある。そんな中、SとMでいえばかなりSな制作者サイドの強気な態度は気持ちが良いとすら思えた。そう、視聴者を置き去りにするような強引さがかえって新鮮で、そんな刺激が面白さにも繋がっているのかもしれない。

 でも、何より驚いたのは嵐の歌う主題歌「Beautiful days」の楽曲としてのクオリティの高さ。いわゆるアイドルと呼ばれているグループにここまでやられたら、音楽のみを追求しているアーティストはどうしたらいいのだろうか? 中島美嘉の歌う挿入歌「ORION」もドラマにマッチしていて良い。それにしても、二宮和也って演技が上手いなあ。きっと、30、40、50になっても彼は芸能界で役者としてしっかり残っていくんだろう。そのときには、彼が元アイドルだったことを知っている人はひと握りなんだろうけど。(ライター・松本哲也)

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