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一青 窈、今の想いをぶつけた壮絶な新作



一青窈

 シングルとしては「指切り」(05年12月)以来、1年9ヶ月ぶりとなる一青窈の新作シングル「つないで手」が9月19日にリリースされる。すでに、ライブでは披露されているこの作品、すでに大きな注目を集めている。ライブ出演の合間をぬって、本人にインタビューを敢行したライター・青木優氏が、新作に込めた彼女の想いをつづる。


生きなければならない――ストレートなまでの心情表現

 穏やかな旋律と、どこか日本的な味わいをたたえた、美しいバラードである。しかし歌の底に込められた感情の濃密さはすさまじい――。9月19日のリリースが発表された一青 窈のニュー・シングル「つないで手」は、彼女がアーティストとしての、そして人間としての<今>をすべてぶつけたかのような、壮絶な曲だ。

 昨年末にリリースした初のベスト盤である『BESTYO』が、自身最大の大ヒットとなっている。その一方で、実は彼女は、一時はどんな作品を作ったらいいのかわからなくなるぐらいの混乱にさいなまれていたというが、この夏に入ってからはライブ出演などを徐々に再開。その場で披露された「つないで手」は、すでにファンの間で熱い話題を集めている。なお、シングルには、同じくライブで演奏されている新曲の「ドミノ」、「ささやき並木」の全3曲の収録が予定されている。

 「つないで手」で注目すべきは、やはり一青本人による歌詞。<やがて落ち葉と知りながらも/私の色/迷い風が吹く><雲の行き先なら/知らずに/ただあるもの>といったフレーズは、先が見えない心境を投影しているかのようだ。そうかと思えば<たくさんのもしもがあるのなら>というくり返しからは、かすかな光でも自分から見出していこうとする健気さがうかがえる。タイトルにあるように<つないでいて>と願う気持ちは、その不安と希望が入り組んでいるさまを伝えている。

 そして一青が最も唄いたかったのは、曲の後半の<もしも私が先に死んであなたを悲しませるなら/どんなに傷ついても今を生きるために負けない>という箇所。というのは、彼女は、一時は死を意識するほどヘヴィな感情にさいなまれていた。そこからすくい上げてくれたのは、生きなければならないと強く訴えかけてくれた友人の言葉だったという。

 ここまでストレートな心情表現がなされた背景には、信頼できるスタッフたちの存在もあったようだ。アレンジを手がけた武部聡志は一青に「そのままの自分を書くべき」とアドバイス。また、作曲の川江美奈子は初の楽曲提供となるものの、これまで何度かバック・コーラスで参加してきた間柄だけに、「窈ちゃんならこの曲にいい詞を付ける」と予言していたとのことである。

感動をもたらす、新たな作品の世界観

 一昨年のアルバム『&』、あるいは昨年のベスト盤『BESTYO』収録の「てんとう虫」で一青はリアルな自分を描くスタイルを模索していたが、この「つないで手」により、それは思いもよらぬ形で前進を見せることになった。いずれにしても、新しい作品の世界観がひとつ切り開かれたことは、彼女のキャリアにおける大きな出来事に違いない。また、現実の荒波に呑まれそうになりながらもどうにか前を向いて生きようとする姿勢には、心打たれる人も多いはずだ。今後、一青がアーティストとして、よりたくましい姿を見せながら、その歌でまた新たな感動をもたらしてくれることを期待したい。

 なお、「つないで手」は『一青窈のもそもそラヂオ』(TOKYO FMほかJFN系列)の7月29日(日)放送分からオンエア解禁される予定。また一青は、8月4日(土)のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2007(国営ひたち海浜公園)、同月14日(火)の音霊SEA STUDIO 2007(逗子海岸・音霊SEA STUDIO)、25日にはKABラストサマー・ファンタジースペシャル「アソノマツリ」(熊本県野外劇場アスペクタ)に出演する。

(文・青木 優)

一青窈のもそもそラヂオ
http://www2.jfn.co.jp/mosomoso/index.html

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