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【編集長の目っ!】20周年目前、GLAYの未来予想図

 1994年メジャーデビューのGLAY、間もなく20周年。人に感動を与え続けること約20年。20年を文字にするとたった2文字で済んでしまう。それは例えば“人生”でも同じことだけど、この2文字にたどり着くまでに、どれだけ苦労を重ねてきたことか。その活動を継続させることだけで大変なのに、第一線で20年やり続けることがどれぐらい大変なことなのか、それは想像を絶する時間の流れだったと思う。

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 GLAYの20年は、あまりにも濃く劇的な20年だったと思う。94年のメジャーデビュー以降、CDセールスやライブ動員で数々の金字塔を打ち立て、伝説を作ってきた。15周年を終えた彼らは、メンバー主体の自主レーベルでの活動に切り替え、これまで真摯に音楽に向き合ってきた彼らが、さらに真摯に、そして真っ直ぐに音楽と向き合うことに決めた。そしてファンに直接それを届けるために、さまざまなアイディアで、ファンと向き合っている。

 アーティストは、身を削って作品を生み出し歌い、さらに常に“新鮮”さを届けなければいけない。なんとも過酷な商売だと思う。聴き手に新鮮さを届けるためには、まず自分たちが新鮮な気持ちを持って、鮮度を失わずにその活動を続けることができるかにかかっている。そして常に開拓者精神を忘れずに、進化をしていく。彼らは20年間それをやり続けてきた。だから第一線で活躍し続けることができた。

 昨年7月、大阪で行った2日間で10万人を動員した野外イベントで、“7 BIG SURPRISES”を発表し、ファンを喜ばせるとともに、自分たちを奮い立たせた。(1)2012年年末にシングル2枚を同時発売、(2)2013年1月23日アルバム『JUSTICE』、『GUILTY』2枚同時発売、(3)2013年2月から25万人動員アリーナツアー、(4)2013年春、海外ツアー開催、(5)2013年7月、故郷・函館で同所史上最大の野外ライブを開催、(6)デビュー20周年、2005年以来の“約束”の東京ドーム公演開催、(7)2014年、東北地方で『GLAY EXPO』開催――いよいよ2つ目の約束を果たす時が来た。それが、GLAY史上初のオリジナルアルバム2枚同時リリースだ。2年3ヶ月ぶりとなるそのアルバムは『JUSTICE』と『GUILTY』だ。

 彼らはどこまでも“新鮮”だった。そんな彼らの溢れ出る想いが1枚に収まりきらなかった、そんな感じがした。11th『JUSTICE』は彼らの初のセルフプロデュース作品で、新しいサウンドを聴かせてくれている。一方、12th『GUILTY』は、おなじみ佐久間正英氏をプロデューサーに迎えての、GLAYの王道サウンド炸裂の1枚だ。

 激しくもどこまでもメロディアスな“GLAYロック”に、この時代に生きていることの意味をしっかりと足跡(メッセージ)として残している言葉が相まって、彼らのひとつの想いとして伝わってくる。セルプロデュース作品『JUSTICE』は、剥き出しの4人がそこにいて、4人全員が曲提供していることもあるが、音はヒリヒリするほど研ぎ澄まされている。でも、どこか温かさを感じさせてくれるのが彼ららしい。『GUILTY』は彼らを育て上げたといってもいい名プロデューサー・佐久間氏が、“いま”の4人の温度を、きっちり伝える音に仕上げている。

 また今回のアルバム制作では、新たなエンジニアとして小西康司氏を迎えたほか、ゲストドラマーとしてピエール中野(凛として時雨)も参加、新しい空気を積極的に取り入れ、自分たちに刺激を与えている。

 新しい音と王道の音と……別々のアルバムだけど別々ではない何か。それは両作品とも“GLAYの言葉”を紡ぎ続けているTAKUROの言葉の存在だ。その時代時代への想いを言葉に映し、GLAYの言葉として発信し続けてきたTAKUROの詞が、“ドキドキ感の中の安定”になっている。例えどんなに奇をてらったことを仕掛けたとしても、この“ドキドキ感の中の安定”がある限り、それは変わらぬ感動と心地よさになって、聴き手の心に伝わってくるのではないだろうか。

 この2枚のアルバムは、20周年を目前にした彼らが、自分たちの未来予想図をファンにきちんと提示したことになる。そして2つの“大きな流れ”は、どこかで太く大きな道になり、その上を彼らはまた先の10年、20年目指して歩いていく。

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関連写真

  • GLAY
  • 11thアルバム『JUSTICE』(2013年1月23日発売)
  • 12thアルバム『GUILTY』(2013年1月23日発売)

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