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【編集長の目っ!】倖田來未の“強い想い”

 常々思っていることがあって、それはいいライブができないアーティストに未来はないということ。シングルがスマッシュヒットしたり、配信からのヒットが出たりしても、そのお客さんをライブに呼ぶことができ、さらにいいライブを見せることができなければ、すぐに飽きられる。もちろんいいアルバムも必要。でもいいアルバムを作っても、いいライブができなければ、息の長いアーティストにはなれないと思う。2時間のライブでその音楽性はもちろん、人によってはそのキャラクターも含めて、真剣に音楽に取り組んでいるんだという姿勢を伝え、お客さん一人ひとりに感動を与えることが出来なければ1回は足を運んでくれても、次はない。

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 デビュー当時からとにかく足元を固めるために、テレビ露出でのプロモーションよりも地道にクラブでのパフォーマンスを行っていたのが倖田來未だ。ライブで自分の音楽性をしっかりと伝えてまわり、同時にクラブで触れる音楽=R&B/HIP HOPをしっかり体の中に叩き込んで、自分の色にしようと奮闘していた。R&Bには不可欠の、エロティシズムの追及も、彼女はその“マナー”を身につけ、その後の活躍は周知の事実だ。最近でいうと昨年も4月から自己最多公演数となるホールツアーを行い、音楽番組以外でのテレビ露出はほぼなく、徹底的に自分の世界観をファンに伝えるべく、全国を廻った。

 そうやって常にファンの反応をリアルに感じ続けてきたからこそ、彼女は12年という長きにわたってアーティスト活動が出来ていると思うし、今年記念すべき10枚目のアルバム『JAPONESQUE』をリリースし、見事1位を獲得できたのだと思う。これでアルバム首位獲得連続年数が8年となり、ソロアーティストでは、松田聖子、中森明菜、渡辺美里に並ぶ歴代3位という記録を達成した。

 この作品は「改めて日本という国の素晴らしさ、そして、大切さを学び、今回のアルバムのテーマを「日本百花繚乱」とさせて頂きました。『JAPONESQUE』は日本を想い、ファンの皆様を想って作ったアルバムです」と本人が言っているように、国内外で通用する音楽を目指す彼女の強い気持ちが溢れている。歌謡曲の匂いを湛える親しみのあるメロディーと、最先端の洋楽サウンドとを絶妙の塩梅、バランスで表現し、スケールの大きな世界観を構築している。そして彼女の真骨頂ともいえる攻めの姿勢もしっかりと伝わってくる。同性が憧れるようなセクシーでカッコいい女性像を追求しているところも共感されているのだと思う。そして伝えたいことをよりはっきりと伝えるべく、映像作品に徹底的にこだわっている彼女らしく、17曲すべてのミュージックビデオが付いている。

 この“強い”アルバムを引っ提げてのパフォーマンスを観たいところだが、現在彼女は妊娠休養中のため、しばらくの間お預けということになりそうだ。でも、2月8日に前出の、昨年59公演で15万人を動員したキャリア史上最多のホールツアーをシューティングした、2枚組のライブDVD『KODA KUMI LIVE TOUR 2011〜Dejavu〜』が発売された。自分のメッセージ、世界観をダイレクトに、リアルに感じて欲しいという彼女と想いが伝わってくる。実はこの作品にも“記録”がかかっている。音楽DVD首位通算獲得数と音楽DVD首位獲得連続年数で、それぞれ単独首位、記録更新と、長く一線で活躍しているアーティストだからこそ打ち立てることができる記録だ。

 さらに3月14日には、シリーズすべてがトップ10入りを果たしている、好評のリミックスアルバムシリーズ『Koda Kumi Driving Hit's 4』が発売される。体調が心配される彼女だが、こちらに関しては制作が進んでいるとのこと。最新曲「Love Me Back」まで全17曲収録予定だ。

 彼女は今、母になるべく時間を過ごしているが、彼女が目の前に元気な姿を見せてくれるまでの間、その“強い想い”は作品になって、ファンの心を潤してくれる。

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関連写真

  • 倖田來未
  • 10枚目のアルバム『JAPONESQUE』(CD+DVD)
  • ライブDVD『KODA KUMI LIVE TOUR 2011〜Dejavu〜』(2月8日発売)

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