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【編集長の目っ!】AKB、嵐、韓国、チャリティー、ガガ…年間ランキングから見えるキーワード

 先日12月19日に、この時期恒例の『オリコン年間ランキング2011』を発表した。ちなみにこの年間ランキングが、どのようなものかということを改めて説明すると、CDショップ、専門店、複合店、インターネット通販、家電量販店、コンビニエンスストアなど、音楽・映像ソフトを販売している全国約27,590店舗の“実売データ”(“出荷枚数”ではありません)を元に集計したものです。

年間シングルランキングで異例のTOP5を独占したAKB48

年間シングルランキングで異例のTOP5を独占したAKB48

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 その結果、シングルランキングでは今年発売した5作全てがミリオンヒットになったAKB48が、1〜5位を独占という史上初の大記録を達成した。そして、CD+DVD+Blu-rayの売上金額を合計して算出した「アーティスト別トータルセールス」でも162.8億円という数字を叩き出し、1位となった。昨年嵐が記録した171.6億円には及ばなかったものの、女性グループとしてはSPEEDが1998年に記録した111.5億円を上回る史上最高記録だ。イコール、2011年日本で一番売れたアーティストはAKB48だということ。

 嵐もまたひとつ大きな記録を打ち立てた。アルバム部門1位『Beautiful World』(90.8万枚)で、3年連続年間アルバムランキング1位に輝き、同一アーティストによる3年連続のアルバム首位は、ユーミンに並ぶ20年ぶり史上2組目の快挙で、男性アーティストでは史上初。井上陽水が持つ記録を36年ぶりに塗り替えた。嵐はミュージックDVDランキングでも1、2位を独占し、相変わらずの人気ぶり。

 AKB48と嵐のほかにも、今年はトピックスが豊富だった。まず韓国出身アーティストがランキングを席巻。1位になることも珍しいことではなく、シングル4作、アルバム6作が1位、そして韓国関連作品の年間総売上は昨年の約351.5万枚から大幅にアップして、約704.5万枚と史上最多を記録した。韓国では違法ダウンロードの横行など様々な理由で、パッケージビジネスがほとんど成立しない事情から、最初からアジアを始め、世界進出を見据えた戦略でアーティスト作りに取り組んでいるため、厳しいアーティスト育成が行われていて、ポテンシャルの高いアーティストが生まれる環境、土壌がある。イケメンorかわいくて、ダンス、歌のクオリティも高いとなると、その人気に国境は存在しないのかもしれない。それは男性アーティスト、女性アーティスト関係なく。

 今年上半期、CD+配信の売上高は約1570億で、日本は売り上げでアメリカを抜いて、世界一の音楽マーケットに成長した。全体に対するCDの比率は、アメリカは安い配信へどんどんシフトしているという状況なので約40%、それに対して日本は約76%とまだまだ高い。CDが売れなくなったといわれていても、世界中で日本以上にCDが売れているマーケットは存在しない。そう考えると、様々な国の音楽、アーティストが日本めがけてやってくるのは全く不思議ではないし、今に始まった話ではない。韓国アーティストはCDだけではなく、ライブの動員も凄まじい。アリーナツアーも開催できるし、チケット代も日本のアーティストに比べると一様に高い。それでも“行く人”がいるのだから、文句ばかり言っていても仕方ない。その人たちの目をこちらに向けさせるべく、日本のアーティストが頑張るしかない。

 パッケージやライブも含め、日本の音楽産業のマーケット全体の規模は、大体1兆6000〜7000億円といわれている。その取り合いなわけだから、“ホーム”である日本の音楽業界は、より魅力的なアーティスト、イイ曲をたくさん発信していくしかない。

 今年大活躍だった芦田愛菜と鈴木福の“マルモリ”も、年間8位(約50万枚)に入り、10才未満のアーティストによる年間シングルトップ10入りは41年ぶりという快挙を達成。癒しと元気、両方を与えてくれた。

 震災チャリティー作品も数多くリリースされた。音楽で少しでも被災者への心のケア、支援をしたいというアーティストの想いが、大きな力になったに違いない。震災直後、海外からいち早く被災者のための支援活動に動いたのがレディー・ガガだった。そんな彼女が5月にリリースした『ボーン・ディス・ウェイ』は、65.9万枚を売り上げ年間アルバム4位。この順位は、韓国を含めた海外アーティストとしてトップだ。

 様々な記録が生まれた2011年の音楽シーン。来年もヒーロー、ヒロイン、素晴らしい作品=ヒットがたくさん生まれることを、心から願っている。

⇒ 『編集長の目っ!!』過去記事一覧ページ

関連写真

  • 年間シングルランキングで異例のTOP5を独占したAKB48
  • KARAの2ndアルバム『スーパーガール』(11月23日発売)
  • レディー・ガガのアルバム『ボーン・ディス・ウェイ』(5月23日発売)

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