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99歳・新藤兼人監督、NYで回顧展開催 最後の映画『一枚のハガキ』も上映

 きょう4月22日に99歳の誕生日を迎えた国内最高齢の映画監督、新藤兼人。米ニューヨークのブルックリンにある「BAM Rose Cinema」では、新藤監督の大回顧展が始まる(4月22日〜5月5日)。旧作10本と「映画人生最後の作品」として撮った最新作『一枚のハガキ』がプレミア上映される。新藤監督は、「アメリカの人に私の代表作を観てもらえるのは、私にとってたいへん嬉しいことですし、非常に光栄に思っています」と言葉を寄せた。

99歳の誕生日を迎えた新藤兼人監督(2010年12月撮影) (C)ORICON DD inc.  

99歳の誕生日を迎えた新藤兼人監督(2010年12月撮影) (C)ORICON DD inc.  

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 企画したのは、『チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙』(2008年)、『ウルフマン』(2010年)に主演し、日本でも人気のある俳優ベニチオ・デル・トロ。かねてから新藤監督の作品に感銘を受けていたデル・トロは、ディレクターとして自ら上映作品を選定した。

 その中には、原爆を扱った『原爆の子』(1952年)や放射能汚染を題材とした『第五福竜丸』(1959年)も含まれる。新藤監督はデル・トロに対し「勇気ある行動」と感謝にたえない。『原爆の子』は「被爆7年後の広島で撮影された。当時はまだGHQの占領下にあり、復旧しつつある広島の町とはいえ、生々しい原爆の傷跡が感じられるだろう」と新藤監督。

 さらに、「日本ではいま過去最悪の大地震と津波により、多大な人命が失われただけでなく、原子力発電所の被害により放射能の恐怖に覆われている。いま、原爆・放射能の問題は世界の問題となった。これからの世界を作る人々にこの世界の問題を考えてほしい。みんなが未来を作るのです」と語っている。

 上映スケジュールは、『原爆の子』/『裸の島』(4月22日〜4月28日)、『薮の中の黒猫』(同29日)、『鬼婆』(30日&5月1日)、『一枚のハガキ』(2日)、『母』/『どぶ』(3日)、『裸の十九才』/『竹山ひとり旅』(4日)、『落葉樹』/『第五福竜丸』(5日)。

 最新作『一枚のハガキ』は生き残った兵隊経験者として新藤監督の実体験を元に作られた物語で、人の命が“クジ”に左右され、兵士の死は残された家族のその後の人生をも破滅に導く、そんな戦争の愚かしさを描いた作品。

 新藤監督は「最後の力をこめて作った映画です。戦争は一人の兵士を殺すだけではなく、そのすべての家族、家庭も壊すおろかな行為です。そして、どんなことがあっても人間は立ち上がれるという人間の力強さを、僕の長い人生の中で締めくくりの映画として作りました」と同作を送り出した。

 『一枚のハガキ』は、広島原爆忌の8月6日(土)より全国で公開される。

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