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気鋭の若手映画作家・石井裕也監督「悪ノリできた」と納得

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 公開中の映画『川の底からこんにちは』で商業映画デビューを果たした石井裕也監督が並行して制作していた映画『君と歩こう』が15日、東京・渋谷のユーロスペースで公開された。初回の上映後、舞台あいさつに登壇した石井監督は「向こう(『川の底から〜』)でできなかった感覚的な部分をこの映画では出しきれたと思う。若いスタッフとキャストがいい意味で、今しかできない悪ノリができた」と納得した表情を浮かべた。ほかに主演の目黒真希森岡龍、中村無何有、前野朋哉が登壇した。

映画『君と歩こう』初日舞台あいさつに登壇した石井裕也監督 (C)ORICON DD inc. 

映画『君と歩こう』初日舞台あいさつに登壇した石井裕也監督 (C)ORICON DD inc. 

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 同作は、34歳のダサめの女教師と冴えない男子高校生が田舎を捨て、駆け落ちする奇妙な顛末を描いた物語。あてもなく上京したふたりが都会の片隅で試行錯誤の同棲生活を描く中で、生活苦による自殺や女子高校生の妊娠など、現代社会のひずみを巧みに取り入れながら、人生の機微にさりげなく触れていく。石井監督は制作の意図を「現代人はいろいろなものを所有しすぎていて、本当に大切なものを見失っているのではないか。とりあえず一回全部捨ててみると、本当に大事なものが最後に残るはず。今作では駆け落ちを通して、“やさしさ”を描きました。“やさしさ”とは何かをひと言では言えないので、映画にしたんです」と話した。

 石井監督は大阪芸術大学の卒業制作『剥き出しにっぽん』が若手映像作家の登竜門『第29回ぴあフィルムフェスティバル』でグランプリを受賞したのを皮切りに、2008年には第37回ロッテルダム国際映画祭、第32回香港国際映画祭で4本の長編映画が特集上映され、第2回アジア・フィルム・アワードでは『エドワード・ヤン記念アジア新人監督賞』を獲得。国内外の映画界から次代を担う気鋭の映画作家として注目を集める。

 2008年11月の撮影当時、25歳だった石井監督の現場はかなり厳しかったようだ。目黒はそれを否定することなく、「いままで演じたことがないキャラクターで戸惑いがたくさんあった。現場に入ってからも、監督の細かい演出にまた戸惑ったが、なんとか楽しんでできました」。共同プロデューサーでもある中村は「(目黒と森岡に)モスバーガーを差し入れたら、高級料理をプレゼントしたかのような喜びようだった。その時の顔が忘れられない」と当時の過酷さを伝えた。

 『すべては海になる』『川の底から〜』『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』(すべて公開中)と出演作が相次ぐ森岡は22歳だが、学生服を見事に着こなし、高校生役をのびのびと好演している。「そんなに役作りをしなくても地のままでいけた。楽しかったです」。

 同時期に制作され、公開中の『川の底から〜』と『君と歩こう』の2作品を見比べて、石井監督の作家性の幅を感じるのも一興。『君と歩こう』は5月29日より東京・新宿K’s cinema、6月5日より大阪・シネ・ヌーヴォ、6月19日より大阪PLANET+1などで順次全国公開。

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  • 映画『君と歩こう』初日舞台あいさつに登壇した石井裕也監督 (C)ORICON DD inc. 
  • 映画『君と歩こう』初日舞台あいさつに登壇した、(左から)石井裕也監督、目黒真希、森岡龍、中村無何有、前野朋也 (C)ORICON DD inc. 
  • 映画『君と歩こう』初日舞台あいさつに登壇した目黒真希 (C)ORICON DD inc. 
  • 映画『君と歩こう』初日舞台あいさつに登壇した森岡龍 (C)ORICON DD inc. 

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