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　プロ野球の新人選手選択会議（ドラフト会議）が29日に東京・グランドプリンスホテル新高輪で行われ、注目の超高校級左腕・菊池雄星投手（花巻東高）の契約交渉権を埼玉西武が獲得した。6球団が1位指名するなか『交渉権確定』と記されたクジを引き当てた渡辺久信監督が手を上げると、1000人のファンが詰め掛けた会場には、歓声とため息の入り交じったどよめきが鳴り響いた。

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　「素直にうれしいです」と興奮を隠しきれない渡辺監督は、菊池投手の印象について「スピードもそうですが、やはり野球に対する姿勢や、投手にとって大事な打者に向かっていく姿勢は一番だと思っている」。続けて「将来的にも素晴らしい素晴らしい可能性を秘めた投手だと思うのでしっかり育てたい」と絶賛した。最後に「雄星くん、すごい運命を感じています」と菊池投手へのメッセージで会場の笑いを誘い、「心置きなく我が埼玉西武ライオンズに入団してください」と締めくくった。

　150kmを超える快速球や、キレ味抜群のスライダーが持ち味の菊池投手は、高校1年の夏に全国高校野球選手権大会（甲子園）に出場。2年秋にエースナンバーの“1”を背負い、今春の選抜高校野球大会では準優勝、2季連続出場となった今夏の甲子園ではベスト4進出を果たして、旋風を巻き起こした。

　その卒業後の進路については国内はもちろん、海外からも熱視線が送られた。まず16〜17日に国内全12球団と面談した菊池投手は「12球団OK」の姿勢を見せた。続けて19〜20日にはメジャー8球団とも面談を行い、直後に「（国内もメジャーも）どちらも行きたいのが正直な気持ち」と揺れる心境を明かしていた。

　ドラフト会議を前に注目が高まるなか、25日に会見を行った菊池投手は「監督と両親との話し合いの結果、日本でプレーさせていただきたい」と表明。「高校の時、日本一を目指していたのですが、あと一歩で届かなかった。もう一度日本一を目指したい。日本で認められてから世界に挑戦したい」と宣言するも、会見後には大粒の涙をこぼした。

　45回目となる今年のドラフト会議は『プロ野球ドラフト会議 supported by TOSHIBA』と銘打ち、初めてスポンサーを導入。また、こちらも初の試みとして会場にファン1000名を招待したほか、各球団の指名が重複した際に行われる抽選のボックスを今年から半透明仕様にしてスリリング感を高めるなど、“新生ドラフト”をアピールしている。

　入札制となる1巡目、菊池投手に対しては、6球団（北海道日本ハム、東北楽天、埼玉西武、中日、東京ヤクルト、阪神）が入札。その結果、埼玉西武が交渉権を獲得した。なお、オリックスは古川秀一投手（日本文理大）、千葉ロッテは荻野貴司外野手（トヨタ自動車）、福岡ソフトバンクは今宮健太内野手（明豊高）、横浜は筒香嘉智内野手（横浜高）、広島は今村猛投手（清峰高）、巨人は長野久義外野手（ホンダ）をそれぞれ単独指名した。

◆なお、以下は全12球団の1位指名選手（※交渉権確定）

北海道日本ハム：中村勝投手（春日部共栄高）、東北楽天：戸村健次投手（立教大）、福岡ソフトバンク：今宮健太内野手（明豊高）、埼玉西武：菊池雄星投手（花巻東高）、千葉ロッテ：荻野貴司外野手（トヨタ自動車）、オリックス：古川秀一投手（日本文理大）

巨人：長野久義外野手（ホンダ）、中日：岡田俊哉投手（智弁和歌山高）、東京ヤクルト：中澤雅人投手（トヨタ自動車）、阪神：二神一人投手（法政大）、広島：今村猛投手（清峰高）、横浜：筒香嘉智内野手（横浜高）