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『進撃の巨人』ユーザー発信のパロディ動画が火付け役

 巨人が人間を喰らうというテーマで話題となった原作をアニメ化した『進撃の巨人』。萌え要素もなく、凄惨なシーンも多い作品ながら、ファンによるパロディ動画も多数制作・投稿され、アニメを入口とした新規ファンを獲得。原作の売上増にも貢献している。同作がファンを拡大させている背景を追った。

ユーザー参加でヒット中のアニメ『進撃の巨人』(4月6日より放送開始(MBSほか))/(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

ユーザー参加でヒット中のアニメ『進撃の巨人』(4月6日より放送開始(MBSほか))/(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会

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■「少年少女の成長ドラマ」を打ち出し、新規ファンを獲得

 謎の“巨人”たちの侵攻により、人類が“城壁”の内側で生活するようになって100年。ある日、出現した超大型巨人によって壁が破壊され、人類は再び絶望的な戦いに挑む――。最新刊までの累計部数2000万部を突破した人気コミック原作の『進撃の巨人』、そのTVアニメが大きな話題となっている。7月から発売予定のBD・DVDの予約も好調という。

 「萌え要素もなく、巨人が人間を食べるなど残酷描写も多いTVシリーズが、果たしてビジネスとして成立するのかと危惧する声も当初はありました。しかし、これまでのところ、原作が備える物語としての強さがやはり決定的なけん引力となっている。放送を重ねるごとにパッケージの予約が伸びるといった状況です」と製作委員会の幹事社でもあるポニーキャニオンでの同プロジェクトの中心人物のひとり、木下哲哉氏。

 若い女性たちが“進撃の巨人ごっこ”なる写真遊びを同時多発で繰り広げるなどライトユーザーをも触発。放送開始時に1200万部だった原作コミックの累計売上が2000万部に伸びるほど、アニメ由来の新規ファンも獲得している。

 「男性だけではなく女性ファン獲得のため、キャスト選定など試行錯誤しましたが、正直ここまでファン層が拡大するとは予想以上です。そもそも、原作ファンの何%を取り込めるか、そのためにどれだけ物語の魅力を伝えきることができるかという取り組みを行っていました。話題先行で読まず嫌いだった層に、少年少女の成長ドラマという軸がきちんとアピールできたのかもしれません」

■OPテーマ映像を二次利用したMAD動画が話題に

 ニコニコ動画などでファンが投稿するOP映像のパロディやMAD動画(既存の音声や動画を個人が編集・合成したもの)の質・量も話題となっている。

 「基本的には、本編をそのままアップするといった行為以外ならばMAD動画は削除しないスタンスです。現在はニコニコ動画ですと二次使用でも音楽の著作権処理はしっかりとされる仕組みもありますし、主題歌のLinked Horizon、Revoさん側のご理解もあり、悪質なものでない限り、“ポニーキャニオンの訴えにより削除されました”的な表示は避けようという結論になりました」

 OP曲「紅蓮の弓矢」は先行配信版がランキングを席巻。同じくRevo氏が手がける2クール目OP「自由の翼」も収録された7月10日発売の「自由への進撃」も予約好調だ。

 BD・DVD第1巻には原作者・諫山創の新人賞受賞作(未発表)が“0巻”特典となり、2巻に諫山監修のニセ予告ドラマCD同梱など、原作者サイドとの良好な関係も『進撃の
巨人』の特徴といえる。また、3&6巻特典のBDビジュアルノベルでは『魔法少女まどか☆マギカ』を手がけたニトロプラスが制作協力するといった座組みまで実現している。

 さらには澤野弘之が手がけるオリジナル・サウンドトラックCDも6月28日に発売した。

 一部エリアで放送内容が異なった第5話では放送局に対して問い合わせが殺到した。しかし、ファンによる検証動画へは削除要請をせず謝罪文公表に留めた。彼らが非常に熱心で真剣なファンだからこそ、自主的な“祭り”には口を出さない。その自由度こそ作品が支持される理由のひとつなのだろう。(ORIGINAL CONFIDENCE 13年7月1日号掲載)

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  • ユーザー参加でヒット中のアニメ『進撃の巨人』(4月6日より放送開始(MBSほか))/(C)諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
  • 7月17日に発売されるBDとDVD
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