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宮藤官九郎が語る、脚本家と映画監督、映画とテレビ

 4月の番組スタートから視聴率、話題性ともに絶好調のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』。そんな追い風のタイミングで、同作の脚本を手がける宮藤官九郎の映画監督3作目となる『中学生円山』が公開された。脚本家、映画監督としての顔をもつ宮藤に、それぞれの仕事への意識と関わり方について、また活躍の場であるテレビと映画の違いについても聞いた。

映画監督3作目となる『中学生円山』が公開中の宮藤官九郎

映画監督3作目となる『中学生円山』が公開中の宮藤官九郎

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 宮藤は脚本家として携わる作品は、撮影現場には入らないという。「シナリオライターとして映画に携わると、完成作を観た時“このセリフ、こんなに大きな声で言うんだ!?”“このシーンをこんなに長く撮るんだ!”とか、監督の(シナリオに対する)誤解が新鮮で嬉しい。人にはいろいろなものの見方があるんだって改めて気づかされます」。一方、映画監督としてはの場合は、意識がまったく変わってくる。「自分で監督すると、誤解のないぶん、意外な驚きはない。でもいちばん理想には近い。何より(監督の)僕が“まいった!”って言わない限り、いつまでも映画は完成しないので、どこまでもこだわれる。そこが楽しいですね(笑)。本当のことって恥ずかしいんで、エッセイにもほとんど書かないんですけど、この映画に関しては、照れずに自分を出してみようと思っていました」。

 前作『少年メリケンサック』のスタッフが集結した今作は、宮藤にとって勝手がわかっているだけに自信と新たな挑戦のある現場になった。「シナリオライターとしての自分が、初めて映画監督としての自分を信用してもいいかなって思えたんです。それでシナリオで保険を打つのを止めました。セリフにギャグが入っていないので、読みものとしては、さほど面白くなかった?と思います(笑)。そのぶん、撮影前にスタッフと何度も打ち合わせを重ねて、僕の頭のなかにあるイメージを共有し、それをいかに具体化していくか、シミュレーションした上で撮影に臨みました。言葉ではなく、克也の悶々とした表情、『……』という行間をどう演出するか?僕にとってはチャレンジでした!」。

 そして、テレビで観るドラマと映画館のスクリーンで観る映画との間にも意識の違いはもちろんある。「映画館で映画を観ている間は個人になりますから、(映画が)直接その人個人に語りかけている感じになると思うんですよ。そこがテレビとは違う気がする。例えば何かをズームで見せる時“これを見ろ!”という意味が、映画の方が強いんじゃないかな。映画を観て“あ、この監督と喋ってみたいな”と僕が思うときも、作品の善し悪しというより、スクリーンから滲み出る監督の眼差しがすごくいいなって感じるからで。自分で自分のことはわからないけれども、映画を観てくれた人から“宮藤ってこういう人間なんだろうな”って思われることも含めて、映画にはすごく人間性が出ると思います」。
 そんな宮藤が自分をさらけだした今作は、なかなか成長できない思春期の中学生を真っ正面から大真面目に捉えた特大妄想劇。『あまちゃん』ヒロイン・天野アキを演じる女優・能年玲奈は作品を観て「じぇじぇじぇ!こんな作品見せるなんて!尊敬する宮藤さんをセクハラで訴えたいと思います(笑)!」とコメント。しかし、試写会などからの手応えを得ている宮藤は「今回は下ネタをど真ん中に据えて作った映画にも関わらず、お客さんが引いていないということは、結果的に品の良い映画になっちゃったなって。案外俺って品の良い人間なんだなって、最近時々思ってます(笑)」と自信たっぷりに語る。

宮藤官九郎インタビュー「照れずに自分を出した――脚本家ではなく映画監督のおもしろさ」

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