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『リッチマン、プアウーマン』で描く「男のカッコ良さ」の今

 小栗旬主演の月9ドラマ『リッチマン、プアウーマン』は、IT企業を舞台としながらも、きらびやかな恋愛模様を描いて、月9の王道路線もふまえた人気作。そんな企業ものと恋愛ものという2つの異なる要素を巧みに融合させた増本淳プロデューサーに、ドラマ作りの難しさと、今後に向けての展望を聞いた。

プロデューサー・増本淳氏(フジテレビジョン 編成制作局ドラマ制作センター)

プロデューサー・増本淳氏(フジテレビジョン 編成制作局ドラマ制作センター)

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 恋愛ドラマの王道路線として、長く視聴者に愛されてきたフジテレビの月9枠。そこへ、ビジネス要素をふんだんに盛り込んだ新機軸でお目見えしたのが、小栗旬主演の『リッチマン、プアウーマン』だ。もちろん従来からの月9ファンに向けて、恋愛エピソードもたっぷりと描かれるが、いちばんのメインに据えたのは「男のカッコ良さ」だと、増本淳プロデューサーは語る。

「価値観が多様化しているなかで、何がカッコ良いのかなとみんなで考えたのですが『なんだかんだ言っても仕事を頑張っている男ってカッコ良いよね』という話になりました。なかでも、絵空事じゃない地に足のついた夢を語って、世の中に発信できる男こそがドラマの主人公として相応しいと。IT企業という設定にしたのは、単なる金持ちや成功者ではなく、世界を劇的に変えたイノベーターがここ数年で実際に登場した分野だからです。と言っても、ドラマの主眼はこのITという世界の複雑さを伝えたいのではなく、あくまで主人公・日向徹の魅力を最大限に発揮させ、彼に感情移入してもらうための舞台が、現代だとたまたまITだったということだと思いますが」

 ドラマの舞台となるベンチャー企業・ネクストイノベーションは、従来の企業とはかけ離れた、遊び心あふれる空間となっている。美術スタッフが全国のベンチャーを取材して作り上げたもので、オフィスでありながら登場人物に負けないキャラクターを持っている。

「ここで新たに働くことになったヒロインの石原さとみさんは、現役東大生の役ですが、それは優秀ということを表現したいのではなく、日本の教育システムに従って誰よりも努力してきた女性ということの表現のつもりです。そしてその努力にもかかわらず、就職では悪戦苦闘しています。多面性を持って描くことで、人間の持つあいまいさを、表現できればと思っています」

 『リッチマン、プアウーマン』に限らず、オリンピックシーズン中の連続ドラマは、視聴率的にはきびしい戦いを強いられてきた。そんな状況下において、スタート回から開催中もろにぶつかるなかでのオンエアまで、常に二桁をキープできたことは、大健闘といえるだろう。

「1人でも多くの人に見てもらいたいという強い気持ちで作っています。だから健闘と言われても今の数字はとても悔しく感じています。がんばって作っているので、オリンピックで感動した方も、閉幕後はドラマに戻ってきて、こちらでもまた別の感動を味わっていただきたいです」

 新機軸をもって見る者に新鮮な感動を与える作品は、同時に、ながら見をしていると重要なことを見落としかねない作品でもある。主人公のIT業界での奮闘と、恋の行方を同時進行で描いていくだけに、その配分にはかなり悩まされるという。

「脚本家とはなるべく仕事のシーンは減らそうね、と話しています(笑)。というのも、もともと医療ドラマなどヒューマンなものを多くやってきたので、油断するとつい慣れ親しんだ職業エピソードに走りがちなので…。編集されたものを見ると、やっぱり恋愛にまつわるシーンが素敵でして。失敗して傷ついたときに支えたいと相手を深く想う表情だったり、成功した時にともに喜ぶ笑顔などをよりよく見せるために、仕事のシーンがあるんだと思っています」

 メディアの多様化が浸透したことで「とりあえずテレビをつける」層が確実に減少している。だからこそ、これまで以上に見てもらうための努力が必要と、増本氏は語る。

「プロモーションをどう展開するのかを含めて、他のメディアと熾烈な競争をしていく覚悟が大事になってきていると実感しています。ただ、もっとも重要なのは観てくれた人がどれだけ満足してくれるかだとも思います。それによって、ドラマの続きが楽しみというだけでなく、明日もテレビを見てみようと思ってもらえるはずですから。そう信じて必死で努力していきたいです」(オリジナル コンフィデンスより)

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  • 月9ドラマ『リッチマン、プアウーマン』1シーン
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