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【釜山映画祭】韓国映画界のバックアップでタブーに挑む 『道〜白磁の人〜』制作報告会見

 韓国で開催中の『第16回釜山国際映画祭』で8日、吉沢悠主演で韓国併合期の朝鮮半島を日本映画として初めて本格的に描く映画『道〜白磁の人〜』の制作報告会見が行われ、出演する韓国俳優ペ・スビン、高橋伴明監督、配給会社ティ・ジョイの常務取締役與田尚志氏が出席した。

韓国併合期の朝鮮半島を日本映画として初めて本格的に描く映画『道〜白磁の人〜』。制作報告会見に登壇した韓国俳優ペ・スビンと高橋伴明監督

韓国併合期の朝鮮半島を日本映画として初めて本格的に描く映画『道〜白磁の人〜』。制作報告会見に登壇した韓国俳優ペ・スビンと高橋伴明監督

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 同作は、日本が朝鮮(当時の一般的な呼び名)を統治していた時代に、23歳で朝鮮半島に渡り、40歳で亡くなるまで民族の壁を越えて活躍した浅川巧氏の生涯を映画化。これまでタブー視され、映像化されることのなかった日本統治時代の朝鮮半島を舞台にしていること、KOFIC(韓国映画振興委員会)の支援を受けて製作される初の日本映画であること、スビンが日本映画に初進出することなど、韓国での関心も高く、会見には約100人のメディア・映画業界関係者が殺到した。

 山梨県出身の浅川氏は、朝鮮半島で林業技手として山林の緑化復元に貢献し、白磁に代表される朝鮮工芸の美しさを伝え守り、民芸運動の祖である柳宗悦にも多大な影響を与えた歴史的人物。民族の壁を越えて朝鮮半島の人々と深い友情を育み、私財を与えて貧しい子どもたちを学校に行かせるなどして尊敬を集めた。彼のお墓は今もソウル市忘憂里(マンウリ)の共同墓地にあり、韓国の人々によって大切に守られ続けている。

 制作は日韓共同のスタッフ体制で、約1ヶ月に渡る韓国での撮影を敢行。ロケーションにハプチョンやブアンにある韓国有数のオープンセットを使用し、9月10日にクランクアップした。VFX 制作や編集・録音などの仕上げ作業も、韓国のポストプロダクションカンパニー、CJ Powercast の制作協力のもと、すべて韓国で実施される。

 会見で高橋監督は「映画の中で、吉沢が演じる浅川巧が韓国と日本が信頼しあうことの難しさに絶望していると、ペ・スビンが演じる友人の李青林が『例えどんなに無理な夢でも、それに向かって行動をし続けることが大切なのではないですか?』と応える。このシーンに私が語りたいテーマが象徴的に表れています」。

 主演の吉沢は主演舞台のため会見に出席できなかったが、ビデオメッセージを寄せ、「この映画は日本映画ですが、韓国のスタッフの情熱とさまざまなロケ地での協力により実現できた韓国映画でもあります。この映画を通じてペ・スビンさんと本物の友情を育み、一生の宝物になりました。映画というエンターテインメントを通じてたくさんの人に見ていただきたいです」と同作への思いを伝えた。

 スビンは日本でもヒットした韓国時代劇ドラマ『朱蒙 チュモン』『トンイ』などに出演し、「視聴率の帝王」とも呼ばれる人気俳優だが、「脚本を読んで出演を決めた。非常に説得力があり、観客にアピールできる力がある。衝撃的な実話だし、やらなければいけない映画であると感じた」と出演経緯を語った。日本映画の撮影を初体験し「目と動作で会話した。コミュニケーションにおいて国や言葉の違いは何の障害にもならないことがわかった」と話していた。

 日本ではティ・ジョイ配給で、2012年初夏に100館規模で公開予定。韓国での上映に関してはCJ E&M が配給をする予定。

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