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【編集長の目っ!】前略ティーンの皆様、アーティスト達が困ってます

■違法DLで困るのはアーティストであり、そして自分、ということを理解して欲しい

 今に始まったことではないが、このところ音楽業界が置かれている状況は非常に厳しく、CDなどのパッケージの売上げが下向きになった等、逆風が吹きまくっているが、その大きな原因のひとつは間違いなく違法ダウンロード(DL)だろう。違法な音楽配信が、正規配信の拡大を邪魔しているという言い方の方が正しいだろうか。

日本レコード協会「守ろう大切な音楽を」キャンペーンサイトTOPページ 

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 日本レコード協会(RIAJ)の調査資料(08年10月実施)によると、携帯電話による違法音楽ファイルの推定DL数は、約4億700万曲。それに対して正規の着うた・着うたフルのDL数は約3億2900万曲。一方パソコンでのファイル交換ソフトによる、違法音楽ファイルの推定DL数は約5億300万曲、正規のパソコン向け音楽配信DL数は約4400万曲(ACCS・RIAJ調査08年9月実施)と、携帯、PC共に違法DL数が正規のDLを大きく上回っている。

 ここまで来るとハッキリいって音楽文化の死活問題だろう。音楽に携わる全ての人間が正当な対価を得られなくなり、次の作品、新しい音楽、新しいアーティストが生まれなくなってしまう――――ということを、違法サイト利用者の中心、10代の若い人たちがほとんど理解していないという現実がある。罪悪感を感じずにやってしまっているというのが1番の問題だ。

 著作権については、その啓蒙活動をRIAJ他、音楽関連団体がずっとやってきたわけだが、まだまだ浸透していないというのが事実だろう。だから違法DLは万引きと同じ、ということが理解できていない。モノ、形があるものを盗むのは悪いことだけど、音楽のように形がないものを勝手にDLしても別に悪くないのでは?自分だけは大丈夫、というのが若い人達のホンネだろう。

 そもそもは、その違法サイトの運営者が悪いわけだが、そういう悪質行為者は現実に逮捕〜懲役刑という制裁を受けており、“犯罪”という意識をより啓蒙していかなければいけない。入口となる携帯やPC、ハードそのものへの技術的対策にはもちろん取り組んでいるが、まだ時間がかかりそうだ。ということを鑑みると、やはり特に若い人への意識付けをこれまで以上にわかりやすく、徹底的に行なっていくということが違法DL撲滅への、1番の近道になるのかもしれない。

 そんな状況の中、来年1月1日から著作権法が一部改正されることが決まった。音楽などのファイルを、権利者の許可を得ずインターネット上にアップロードし、ダウンロードを可能にする行為に加え、違法なインターネット配信であることを知りながら、ファイルをダウンロードする行為も違法となることが、いよいよ明文化される。

 これを受けてRIAJでは10月1日から『守ろう大切な音楽を♪』キャンペーンをスタートさせた。これは改正著作権法の内容周知、徹底を目的として、「エルマーク」や「やめよう違法ダウンロード、守ろ大切な音楽を♪」をテーマとして標語、ポスター、キャラクターを募集するもので、特に中高生、ティーンの著作権法遵守の意識を高めていく狙いだ。

 このキャンペーンの応募に関して特長的なのが、個人での応募は受け付けておらず、必ずグループ単位ということ。クラス、部活、サークルなど、個人ではなく、周りの仲間と問題を共有し、意識を向上させようということだ。

 また『ハッピー ミュージック サークル』という言葉、つまりCDやDLを購入するときの対価が巡りめぐって、“いい音楽”の創造につながっているということを理解してもらおうと、親しみやすいイラスト&わかりやすい内容の小冊子を作成し、配布している。

 新しい音楽、アーティストは、聴く人が作っているんだ―――そんなわかりやすい内容をアピールすると共に、法律を守らなければ、結局困るのは自分達が愛するアーティストであり、さらにいうと、より良い音楽に出会えなくなる自分達である、ということを声を大にして、若い人に伝えたい。

『守ろう大切な音楽を♪』キャンペーンサイト

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