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ミュージックビデオから「音楽ショートムービー」の時代?

映画業界と強く結びつき、新人の露出の機会を確保

 エピックレコードジャパンが昨年立ち上げた“cinemusica”ブランドは、音楽プロモーションを根幹としながらも、劇場公開を前提とした映画製作プロジェクトだ。PVならぬ“プロモーションシネマ”という概念のもと、新人アーティストの楽曲と映像が結びついた映画を製作している。

 第1弾の『チェリーパイ』は、主題歌をいきものがかりが、主演を北川景子が務め、昨年10月に2館で公開された。

 そして第2弾の『東京の嘘』(主題歌・nanji/07年3月公開)は4館、第3弾の『WHITE MEXICO』(主題歌・Akeboshi/07年8月公開)は8館で上映。特に『WHITE〜』は、お台場シネマメディアージュで公開週に、週間3位の動員を記録している。また第1弾の『チェリーパイ』は、北川景子の活躍もあって、その後映画DVDとして発売されたパッケージが好調だ。

「そもそもの発想の源は、新人アーティストの場合、いきなり大きなタイアップを組むのは非常に難しいけれど、自社コンテンツであれば、映画公開にあたってのパブリシティや、イベントも含めて、柔軟に露出の場を確保できるということです」(ES社執行役員・一志順夫氏)

 第4弾の『音符と昆布』は来年1月26日から全国ロードショー公開の予定。こちらは、ES社でのメジャーデビューの機会を伺う新人が主題歌を担当する。

「まだ企画段階ではありますが、年明けに完成試写を渋谷BOXXで行ない、そこで主題歌を歌う新人のお披露目ライヴも一緒にやろうかと考えています。またその後、1週間ほどBOXXを借り切って、これまでの作品を全部上映する“ワンコイン映画祭”みたいな企画も進行中です」(ES社企画戦略部部長兼企画開発課課長・林育大氏)

 この第4弾は、東宝シネマズを中心に全国20館規模で上映予定。まさに右肩上がりで成長してきたといえるだろう。

「当初こちらが考えていた以上に、音楽業界よりも映画業界から注目していただいているようです。映画祭のお誘いがあったり、著名なクリエイターさんに参加したいと手を挙げていただいたり。クリエイティブの自由度が高いのが、クリエイターの方々からは魅力のようですね」(林氏) ところが、拡大に伴う壁も生じてきた。cinemusicaの作品はすべてブルーレイ・ディスク規格に対応するかたちで製作され、上映されているが、デジタル上映の環境が整っていない劇場がいまだ多いのだという。

「デジタル上映の場合、本編の前に予告編が入れられないんです。予告編はどんな作品もフィルムなので、切り替えができないんですね。そこを逆手にとって、アーティスト・プロモーション映像を本編の前につけるのはどうか、というアイデアも出ています」(一志氏)

 本来の音楽プロモーションに立ち返ってみると、cinemusicaを直接的なCDの売上に繋げるのは、まだ先の話になりそうだ。しかし、製作委員会方式をとることでDVDパッケージ、今後増えてくるという放送での二次使用など、何段階にもわたる回収のスキームが確立されているのが、このプロジェクトの強みだ。もちろん、アーティスト・プロモーションの多元化には確実に繋がっている。

「例えば第1弾のいきものがかりも、この主題歌でブレイクしたわけではないですが、DVDで見る方は「ここで使われてたんだ!」と思うでしょう。それだけでも充分なプラスですよ」(林氏)

 楽曲の世界観をより立体的に伝えるために、またアーティストの特性や存在のアピールに、ショートムービーの活用の幅は広い。さらに、動画配信サービスの充実やDVD商品の定着など、レコードメーカーが映像作品を送り出す方法論も、ユーザーの目に触れる機会も飛躍的に増加している。音楽と映像は、今後ますます深く、多角的に結びついていくに違いない。


 

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