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“犬(ビクター)の遺伝子”を受け継ぐ新レーベル

 “フライングドッグ”。40代以上のコアな音楽愛好家にとっては懐かしい響きを持つレーベル名だろう。PANTAやサンハウスをはじめ、ミュージシャンズ・ミュージシャンともいえる個性派アーティストの数々を輩出してきた伝説のレーベルだ。そんな“フライングドッグ”が復活するという。といっても、全く新しいスタイルで、である。日本ビクターにおけるソフトグループの再編により、グループ会社であるJVCエンタテインメントに事業が移管されたV社のアニメーション映像/音楽制作事業部門が、それを機に「flying DOG」の名を冠して再スタートを図ることになったのだ。

「新会社への移管を機に、今まで“ビクターのアニメーション”として慣れ親しんでいただいた商品にレーベル名をつけてユーザーにわかりやすく訴求しようと考えたわけです。他社でいえば、キングさんの“スターチャイルド”のイメージです」

 
日本ビクターにおけるソフトグループの再編により、グループ会社であるJVCエンタテインメントに事業が移管されたビクター社のアニメーション映像/音楽制作事業部門が、それを機に「flying DOG」の名を冠して再スタートを図ることになった。
 そう話すのはJVCエンタテインメント取締役の佐々木史朗氏だ。佐々木氏は入社以来20数年間、アニメーション制作に携わってきた。それだけに今回のflying DOGレーベル立ち上げとそのブランディングに対する思い入れは並大抵ではない。

「レーベル名を決めるにあたっては、ビクターのシンボルである“犬”をどうしても使いたかったんですが、その時思いついたのがflying DOGです。昔のイメージがある人もいるのでやめた方がいいという意見も少なからずあったのですが、“飛ぶ”という言葉は僕たちが発信していくメッセージとして、ものすごくいい響きだなと思いました。復活とかいうのではなく、新しいアニメのレーベルの名前が単にflying DOGであるということです」(佐々木氏・以下同)

 ロゴマークは、しっぽを立ててジャンプしている犬のシルエットの下にflying DOGのロゴが置かれ、「WE CAN fly, WE ARE “flying DOG”s!」というキャッチフレーズが入る。『ピーターパン』のなかの楽曲「WE CAN FLY」に象徴されるような、「飛べると信じれば飛べるんだ」という強い意志を打ち出したかったという。「宮崎駿監督の『紅の豚』に“飛べねえ豚はただの豚だ”という名セリフがありますが、僕らもただの犬にはなりたくないなと。犬が飛ぶというのは尋常な行為ではないんですが、信じれば実現できるということと、常にしっぽを立てて仕事を面白がっていたいという思いを込めています」

新しい試みにも挑戦しつつ常に「しっぽを立てて」仕事を面白がっていく

同レーベルは10月1日に発足し、それ以降に発売する商品や制作を手がける映像作品をはじめ、V社時代の旧譜も順次flying DOGの名の下に展開されていく。映像作品に関しては、flying DOGの名を冠した初の制作作品として10月から『バンブーブレード』という女子高の剣道部を舞台にしたTVアニメーションをテレビ東京系の深夜枠でスタート。また音楽については、4コマ漫画をアニメ化した『スケッチブック』(10月よりテレビ東京系にて放送開始)のオープニングテーマを歌う清浦夏実(きようら なつみ)と、『超時空要塞マクロス』のシリーズ最新作の歌姫(ヒロイン)に決定した中島愛(なかじま めぐみ)という2人のアーティストを、flying DOG初の新人としてCDデビューさせる予定だ。さらに、これまでに数多くのヒット曲を世に送り出してきたビクターアニメーションの楽曲をコンパイルしたCDをflying DOGレーベルとしてリリースする予定もあるという。なお9月28日には、アニメーション制作会社やマスコミ、全国のディーラーなどを迎えてのスターティングレセプションを都内で行う。

「アニメーション事業も長くやっていると業界の慣習や前例、常識などにとらわれがちですが、それらからもチャレンジングに飛んでいこうと思います。飛ぶってことはある意味、今まで持っていたものを捨てるということだと思うんです。いろんなしがらみを背負ってちゃ重くて飛べませんから。これまでに培ってきた良い面を継続しつつ積極的に新しい試みを行っていくことが重要だと思っています」

「この作品、flying DOGっぽいね」とユーザーから言われるようになりたいと話す佐々木氏だが、レーベル名を浸透させていく秘策を持っているのだろうか。

「今までどおり良いアニメーション映像、そして良いアニメーション音楽を作っていくことに変わりはありません。それこそがユーザーにflying DOGを認知してもらうための一番の告知効果だと考えています」

 質の高い映像作品はもとより、従来からアニメーション主題歌とアーティストとのユニークかつ絶妙なマッチングにも定評がある同社だけに、今後どんなアーティストとのコラボが実現するか期待は高い。

「先輩方から教えていただいた“犬(ビクター)の遺伝子”を受け継いでいくつもりです。flying DOGという名をつける限りは責任重大ですから」と意気込みを語る佐々木氏。日本のみならず世界でも充分に通用するマーケットだけに、flying DOGが手がけていくアニメーションに対する期待は広がる。“飛び犬”はどこまでしっぽを立てながら飛翔して行けるのか。今後の動きが注目される。 (取材・文/伊波達也)


       

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