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音楽出版が手がける映像メディア

フジパシフィック音楽出版が手がける映像メディア

“芯のブレない”楽曲プロモーションを目的とした
番組作りを目指す


 フジパシフィック音楽出版に映像制作室が設けられたのが、昨年3月。以来、ショートドラマと音楽を融合させた新しい楽曲プロモーションツールとして大きな注目を集めた「ミュードラ」の開発をはじめ、DVDやPVの制作、そして音楽番組やライヴ映像の制作など、精力的な映像制作活動を展開している。

「PCやケータイでの動画配信をはじめ、ここ数年でメディアは格段に増えています。テレビ番組に関して言えば、今後はデジタル化によって番組の枠が増え、テレビ局さんはより自社番組の制作に特化していくことが考えられます。そんななか、当社としても効率よく、かつ芯のブレない音楽プロモーションに対応していくためにも、映像制作のノウハウを蓄積していく必要があると考え、“音楽出版社ならではの音楽を軸とした映像制作”を追求しているところです」(同社ストラテジック部映像制作室の鷹取努室長・以下同)

 現在、同社が手がけている3つの音楽番組は、楽曲プロモーションを目的としながらも、単なる宣伝にとまらない構成にこだわっている。昨年4月より放映している『music SCR』は3分半という小枠の中で、特にインタビューに力を入れているのが特徴だ。

「小枠だとどうしてもPVのオンエアが中心になりがちですが、イチ押ししたいアーティストのプロモーションとしては不充分です。また、視聴者もアーティストの生の声や音楽だけではない趣味嗜好や日常生活の話に興味があるんじゃないかという発想から、リリースやツアー日程などの情報はテロップで紹介し、よりアーティストの人となりに突っ込んだ内容のインタビューを長めにとっています」

 
『music SCR』
独自の視点でピックアップした邦楽、洋楽、インディーズのアーティストを紹介する情報発信プログラム。メインコーナーの「HOT SHOT ARTIST」では、洋邦問わず招いたゲストアーティストの、普段なかなか見られない素顔のトークやインタビューをオンエア。メインストリームにとらわれることなく、常にいい音楽、素晴らしいアーティストを応援することを目的としている。MUSIC ON!TVほかにて毎週水曜22:53〜オンエア中。

『エムエム MUSIC MACHINE』
ライヴイベント「George’s Government」も主催する人気VJ、ジョージ・ウィリアムズのナビゲートによるランキング&リクエスト番組。最新のヒット曲はもちろん、視聴者から届いた思い出の曲や懐かしい曲も紹介する。ミュージッククリップやアーティストインタビューなども放映。MUSIC ON!TVにて毎週火〜金曜22:00〜オンエア中。

『?洋楽』
番組をひとつの会社に見立て、レコード会社が日本で洋楽アーティストを売り出す状況になぞらえてコーナーを進行。番組の柱となる「イチ押し」コーナーでは、来日アーティストのライヴやインタビュー、オフショットなども紹介。そのほか、日本人アーティストがお気に入りの洋楽を語る「社報」、番組イチ押しの最新ミュージッククリップをオンエアする「新譜試聴会」、プロモ来日したアーティストのショーケースなどを紹介する「プロモーション稼働」などのコーナーを展開。MCはSOIL&“PIMP”SESSIONSの社長。フジテレビ721ほかにて隔週火曜17:30〜オンエア中。


 また、昨年11月からは30分の洋楽専門番組『(14)洋楽』に着手。インタビューはもとより、ライヴ映像にこだわっているのもこの番組の売りのひとつとなっている。

「洋楽を紹介する番組は少ないながらも、PVを見られる番組はやはりあるんです。けれど、ライヴの映像はだいたいがダイジェストで、1曲をフルサイズで流す番組はなかったんですね。レコード会社さんからもアーティストのライヴを露出する機会が欲しいという要望はありましたが、実際に始めてみたらライヴ会場の外で“いつオンエアするんですか?”と話しかけられたりと、ユーザーからの反応が熱く出てきています。“うちでは見られないから、CSに加入します”という人もいました」

 クローズアップするのは旬のアーティストやイチ押しの新人がメインではあるが、そのほかのコーナー展開も見どころが多い。なかでも、スタンダード楽曲や往年の名曲を当時のエピソードを交えて紹介する「音説」は、若い視聴者からも好評だという。

「当社の管理楽曲にはCMなどで使われているものも多いんですが、若い世代からしたら聴いたことはあるけど、誰が演奏しているのかは知らないという曲が非常にたくさんあるようです。また、古い楽曲を今のアーティストがカバーするケースもよくありますが、原曲を知らないリスナーも多いんですね。短いコーナーではありますが、洋楽を聴く幅が広 がったとか、好きなアーティストのルーツを知ったとか、かなり評判がいいんですよ」

 さらに、この「音説」のコーナーは、紙ジャケやコンピレーションなどのCD発売ともなるべく連動を図るという目的もある。
「ひとつの楽曲にどれだけの価値があるかを知ってもらいたいというのもこのコーナーの主旨のひとつです。今の若い人はケータイなどで音楽を取り込む“量”は多いけれど、アーティストがどんな想いで楽曲を作ったのかという“質”の部分まで知れば、音楽に対する思い入れももっと深まると思うんです」

 そして、『エムエム MUSIC MACHINE』は、リクエストをベースにランキングやインタビューをオンエアする番組。こちらの制作はMUSIC ON! TVが主体で、フジパシフィック音楽出版は制作協力という形で携わっている。

「すべての番組に言えるのが、情報番組ではなく、音楽番組を作りたいということ。雑多な情報のひとつとしてアーティストや楽曲を扱うのではなく、アーティスト側の意志がキチンと伝わるような番組作りを心がけています。そうでないと、アーティストがメディアに対して不信感を抱いてしまうことになりかねない。アーティストとの信頼関係をしっかりと築き、例えば洋楽アーティストなら“日本に行ったら『(14)洋楽』に出た方がいいぜ!”と言われるような番組を目指したいですね。それが結果的には、強力なプロモーションに繋がると思うんですよ」(取材・文/児玉澄子)


        
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