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エレジー(哀歌)とバラードの違いとは?

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 ヒット中の平井堅の「哀歌(エレジー)」。もしかしたら今回“エレジー”という言葉を初めて耳にしたという人もいるのではないだろうか。哀しい歌と書いてエレジー。あ、そうなんだと思った後にふつふつと押し寄せてくる「じゃ、バラードって何?」という素朴な疑問。なんとなくバラード=「哀しい歌」というイメージで捉えていた人もいるはず。でも、エレジーとは違うみたい。同じ哀しい歌なのに……バラードとエレジーの違いって何だろう。

 国語辞典(『広辞苑』より抜粋)を牽いてみる。エレジーとは「1:挽歌。哀歌。悲歌。2:悲哀の情をテーマとする楽曲・歌曲」とある。次にバラード。「1:フランス中世の短詩形。多くは数節から成り、各節の後に半節の折返し(リフレイン)を伴う。(中略)この形式に基づく中世フランスの歌曲。2:19世紀以降の物語的・文学的な雰囲気の器楽曲。ショパンのピアノ曲など」。さらにバラードの英語表記(バラードは仏語)であるバラッドの項目には、「19世紀以降のイギリス・アメリカなどの物語風・感傷的な大衆歌謡」との解説が。

 結局、エレジーもバラードも曲のスタイルを指す用語なのだけれど、エレジーが「哀しい」という“心情(形)”を歌ったものであるのに対し、バラードは「感傷的」という“雰囲気”を醸し出す曲調とでも言えばいいのだろうか。乱暴な括り方をするならエレジー<バラード、って感じ。「哀歌(エレジー)」を聴いて「いいバラードだね」とは思っても、レミオロメンの「海のバラッド」やRCサクセションの「スローバラード」を聴いて「いいエレジーだね」と感じることはあり得ないし、「ラブ・バラード」があるのに「ラブ・エレジー」が存在しないのもそれと同じ。バラードばかりを集めることは可能でも、エレジーは1曲1曲の哀しみの“形”が違うのでひと括りにしにくい、という違いが生まれる。

 また、「バラード」だとカッコイイ感じがするけれども「エレジー」はどことなく場末感が漂っている、って感じている人もいるだろう。それは、タイトルにエレジー(哀歌・挽歌などを含む)が含まれた作品の特徴とも無縁ではない。「湯の町エレジー」「長崎エレジー」「赤色エレジー」「江ノ島悲歌」「石狩挽歌」など地名と結びついた作品が多く、これに対して「あんたのバラード」「バラッドをお前に」「君へのバラード」「バラードのように眠れ」など、バラードの場合はスタイリッシュな響きを持つタイトルに溢れている。

 かと言って、エレジーがロックやポップスとは無縁かと言えばそんなことはなく、サザンオールスターズの「女流詩人の哀歌」や杏子の「雨のエレジー」、ユニコーンの「エレジー」にシャ乱Qには「大阪エレジー」という曲もある。加えて今回の平井堅だ。心で号泣しながら歌うエレジーの世界。この機会にいろいろ味わってみてはいかが。
(田井裕規)



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