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3・11後の日本と僧侶たちの苦悩を描く 映画『典座 TENZO』カンヌ映画祭で公式上映

 仏カンヌで開催中の『第72回カンヌ国際映画祭』批評家週間「特別招待部門」へ選出された空族・富田克也監督の最新作『典座 TENZO』(今秋公開予定)が20日に公式上映された。今の時代にあって信仰はいかにあるべきか、二人の若き僧侶の苦悩を通して描かれる本作。上映前に富田監督、製作・出演を務めた全国曹洞宗青年会の僧侶、河口智賢と倉島隆行らが登壇した舞台あいさつ時の写真とコメントが到着。海外版特報もあわせて解禁された。

『第72回カンヌ国際映画祭』批評家週間に公式上映された『典座 TENZO』の富田克也監督ら登壇

『第72回カンヌ国際映画祭』批評家週間に公式上映された『典座 TENZO』の富田克也監督ら登壇

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 富田監督は「かつて日本は世界第2位の経済大国と言われ、仏教は葬式の時のものでした。ただ、2011年に起きた東日本大震災による津波の被害、そして原発事故によって、日本は大きな危機を迎えました。それ以降、僧侶たちは皆から必要とされ始めているように感じていると言います」と切り出し、この映画を制作した動機として「今こそ、私たち日本人は変わらなければいけない。加えて、仏教界も変わらなくてはいけないという僧侶たちの思いを映画に込めました」と力強い口調で語った。

 続けて製作と出演者を兼務した僧侶の河口は「カンヌ映画祭とご縁をいただいて本当に心から感謝しています。私たち日本人は8年前に深い悲しみを迎えました。その中で、私たち僧侶ができることは何なのか、それを日々考えてきました。私たち僧侶も一人の人間です。時に苦しみ、葛藤しながら日々生活をしています。それでも、いつも人々の心に寄り添う仏教の素晴らしさを伝えたいという思いで、この映画を制作しました」と語った。

 富田監督は、2011年に公開された『サウダーヂ』が、ロカルノ国際映画祭の国際コンペティションに招待され、ナント三大陸映画祭ではグランプリを受賞。国内では、高崎映画祭最優秀作品賞、毎日映画コンクール優秀作品賞&監督賞をダブル受賞して一躍脚光を浴びた。タイ・ラオスでオールロケを敢行した16年公開作『バンコクナイツ』がロカルノ国際映画祭の国際コンペテ ィションなど世界中の約30の映画祭に招待され、再び毎日映画コンクーで監督賞、音楽賞を受賞。その年の『キネマ旬報ベスト10』では6位に選出された。

 縁あって世界三大映画祭の一つ、カンヌにまで上り詰めた本作は、富田監督が全国曹洞宗青年会より依頼を受け、道元禅師が遺した「典座教訓」を軸に、3.11以降の現代日本における仏教の意義、そして信仰とは何かを探求した作品。海外版特報は、ラッパー・NORIKIYOの楽曲「1人の人として」に乗せて、自殺未遂を繰り返す女性の「いのちの電話」を受ける僧侶の河口。そして 東日本大震災の津波で寺も檀家も無くし、土木作業員として働く倉島の姿を捉えている。フランスでも今秋に全国公開が決まっており、150館以上で公開される予定。

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  • 『第72回カンヌ国際映画祭』批評家週間に公式上映された『典座 TENZO』の富田克也監督ら登壇
  • 映画『典座 -TENZO-』2019年秋公開予定(C)全国曹洞宗青年会

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