「リトルトゥース（番組リスナーの愛称）で良かった」。心からそう思った3時間半だった。お笑いコンビのオードリーが2日、東京・日本武道館で冠ラジオのイベント『オードリーのオールナイトニッポン 10周年ツアー in 日本武道館』を開催。通常は開放することが少ないバックスタンド席を設けた上に、全国41館の劇場でのライブビューイングも実施。武道館は1万2000人、ライブビューイングは1万人と合わせて2万2000人を笑いの渦に巻き込んだ。

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　番組スタッフの総称である「チーム付け焼き刃」の面々が本番前の影ナレを担当し、会場の空気が温まりきったところで、これまでの軌跡がVTRで紹介されると、額の部分に「ミレニアムズ」との刺繍が施されたマスクを被った若林正恭、いつもどおりの春日俊彰が客席後方から登場。観客から大きな声援が送られる中、若林の第一声で「いや、岡田よ」とラジオでもおなじみのマネージャーの名前が飛び出すと、春日も「いや、もうないだろ」とツッコミを入れる。若林が「オレたち、内輪ウケを本気でやりに来ていますから」と宣言していたが、有楽町の同局で行っているラジオの雰囲気そのままに、日本武道館という大舞台を使ったイベントが始まった。

　春日俊彰が先月15日発売の写真週刊誌『FRIDAY』で、「狙ってる女」ことクミさんと結婚を決意したと報じられたことを受けて、イベントはその話題から始まった。若林発信で「狙女（そじょ）」と「狙氏（そし）」という“新語”も生まれたが、春日も乗っかり「いや、そこは彼氏の氏じゃなくて、狙男（そだん）とかでいいんじゃないの」と提案。さらには、若林がいつものラジオでも言っているように、いきなり「なんか、コンビ組んでくれてありがとな」と改まったトーンで感謝の思いを伝える場面も再現されると、春日は「カーテンコールでもやめてほしかったけど、せめてそれを言うなら最後だろ」と笑いながら指摘した。

　番組同様、それぞれのフリートークゾーンも用意されており、若林は自身の父親を降ろしてもらって相談するために青森県のイタコを訪問した話、春日は“フライデー騒動”のお詫びを兼ねて、クミさんと旅行をしたと報告。”ケチ”で知られる春日だが、今回は奮発して、11万円の高級旅館での宿泊を楽しんだと明かすと、若林正恭は大きな声で驚き、会場からも大きな歓声が上がった。

　若林がハッスルした「ひろしのコーナー」で、大盛り上がりした後に15分間の休憩。後半戦のトップバッターは、ショーパブ時代から親交のあるバーモント秀樹、ビトタケシが武道館を舞台に大暴れ。番組での共演をきっかけに、春日が「お姉さん」と親しみをこめて呼んでいる松本明子、さらにはシークレットゲストとして梅沢富美男が登場。梅沢が代表曲「夢芝居」を歌唱している間に、若林が乱入して得意のラップをかぶせて、リミックスを披露した。

　番組の進行と同じく「死んでもやめんじゃねーぞ」のコーナーを終えると、エンディングトークを行って、エンドロールのVTRが流れると、おもむろに舞台中央にセンターマイクが設置。漫才用の衣装に着替えた2人が再び登場すると、会場からは割れんばかりの拍手が送られた。その期待のさらに上をいくように、30分間にわたって漫才を行った2人。若林が「一言で言えば、トゥースですね、トゥースとしか言いようがない。そう思う時あるよね」と話すと、春日が「そんなに万能じゃないよ」と反論。最後は、若林が「リトルトゥースのみなさん、おやすミッフィーちゃん」、春日が「この後また、1時にお会いしましょう。アディオス」と続けて、イベントを締めくくった。

　それから約5時間後の深夜1時。大仕事を終わらせたと感じさせないくらい、ラジオからいつもと同じトーンで番組タイトルをコールする2人の声が聞こえてきた。若林が冒頭に「いやー迷ってる。真剣に犬を飼いたい。タイプ的にチワワとかカワイイ系か、シェパードみたいにシュッとしたものがいいか、どっちが合っているのかな」と切り出すと、春日が「そしたら、子犬の方がいいんじゃない」と返答。オードリーと一緒になって繰り広げる“内輪ウケ”がずっと続いている喜びを実感する時間が流れた。

　本イベントは、2009年10月10日に開始したラジオ番組『オードリーのオールナイトニッポン』（ニッポン放送／毎週土曜 深1：00）の放送10周年を記念して開催中の全国ツアーのファイナル公演。昨年6月の青森公演、9月の愛知公演が大盛況で、12月に行われた福岡公演もチケットは即時完売した。