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声優・藤原啓治、“人間臭さ”への飽くなき追求 ヒーローも父親も「根底は同じ」

 アニメ『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし、『鋼の錬金術師』のマース・ヒューズ、『ぼのぼの』のアライグマくん、『ケロロ軍曹』のナレーションなどを担当し、主役はもちろん作品に欠かせないキャラクターを数多く演じてきた名バイプレーヤー声優・藤原啓治。そんな彼が、マーベルヒーローが集結する映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(27日公開)にアイアンマン役の吹替えで出演する。「声優は個人で評価されるより、『作品全体が面白かった』と言われるのが最大の成果」「人間臭いキャラクターが好き」と語る彼に、声優論や今まで演じてきたキャラクターの魅力などについて振り返ってもらった。

アイアンマン役の吹き替えを担当する藤原啓治

アイアンマン役の吹き替えを担当する藤原啓治

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■ひとつの映画で“力強さ”と“人間臭さ”の演じ分け 「ヒューマンドラマをやっている」

 アイアンマンもアベンジャーズもシリーズが続いて、うれしくて光栄です。1作目からアイアンマンを担当し人気シリーズが続くに連れて、段々と自分の仕事に責任を感じます。ですが、責任感より、続いていることのうれしさが強い。毎回、仕事なのでもちろん緊張感はありますが。僕自身、1作目の『アイアンマン』の話をいただくまでは、「アイアンマン」のストーリーを知らなかった。それが、シリーズが続くと愛着が段々と湧いてきて、これからも続けていけたらうれしいです。

 アベンジャーズのキャラクターたちは各能力があって個性的。こんな風貌をしていますが、わりと人間的というか人間臭さが魅力的で、演じていて楽しい。印象や思い出に残っているシーンは、恋人のペッパー・ポッツに甘えているところが好きですね。ちょっと甘ったれた感じがして(笑)。言い方は悪いですが、細かいことにウジウジこだわったり。ひとつの映画の中に「力強さ」と「人間臭さ」の演じ分けの強弱があり、僕にとってアベンジャーズは、盛りだくさんな感じ。ヒーローをやっているというか、人間ドラマをやっている感じです。

■休養中は仕事への“渇望感”「作品に向き合う時間ができてよかった」

 昨年の8月まで仕事は一時休養していて、復帰後すぐに同じアイアンマン役のお話をいただきました。その時は、間が空いてしまったので緊張感はありましたね。徐々に仕事を増やしてアイアンマンを演じるのではなく、いきなりでしたので余計にプレッシャーが。休養前は忙しく働いていたので、少し休むと「こんなに緊張するのか」と(笑)。初心に戻った感じがしました。

 世界的に有名なキャラクターを演じるということは光栄なことなので、いつもより力が入りました。普段より入念に台本を読み込みましたね。サラリと収録して、「お疲れ様でした!」と変わらない感じで帰りたかった。「大丈夫ですか?」と不安を与えたくなかった。サラリと帰るために、相当台本を読み込んだ記憶があります。

 この休養を機会に1本1本の仕事がさらに大事になりました。それまでは忙しく1日に何本も収録していたので。これまでもいい加減に仕事をやっていた訳ではありませんが、今は作品に対して向き合う時間もあり仕事ができるありがたみを感じます。仕事のオファーをいただけることが、改めてうれしいことだと思いました。仕事をいただけても、断らなくてはいけない痛みと申し訳無さ。仕事に対する渇望感もありました。結果論ですが、いい時間だったのかなと。今は前向きに考えています。

■自身が選ぶキャラクター選抜 “野原ひろし”は「サラリーマンのヒーロー」

 アベンジャーズはヒーローが集結した作品ですが、僕のヒーローは両親ですね。僕を作った人なので、感謝の気持ちを込めてヒーローです。ありきたりですが(笑)。僕が過去に演じてきたキャラクターたちを集結させるとしたら、まずはサラリーマンのヒーローと呼ばれているクレヨンしんちゃんの野原ひろしですね(笑)。現実的に家族や家を守るというのが、すでにヒーローだし人間臭さを感じる。戦闘では足の臭さを武器にして戦うのではないでしょうか(笑)。

 もちろん、アイアンマンも集結させます。あとは同タイプで大好きなキャラクターである『鋼の錬金術師』のマース・ヒューズ、『交響詩篇エウレカセブン』のホランド・ノヴァクもいいですね。人間臭いキャラクターには思い入れがあり、感情移入しやすい。表もあれば裏もある、きれい事だけじゃない。裏側にあるもの。人間の感情は多面的なものだと思うんです。そういうのが見え隠れするキャラクターを演じるのは楽しい。弱さがあれば強さが目立つ、引き立つ。

 憧れとしては、(野原)ひろしに、なりたいんですよね。アイアンマンみたいに人類を守るというのを背負ってはいないと思いますが、「家族を守ること」も「人類を守ること」も“ヒーロー”の根底は一緒な気がします。サラリーマンでああ見えて、ひろしも身近な1人のヒーローなのだなと。親近感があり共感して多くの方々に愛されている理由がわかります。

■声優業は個人評価より作品の評価が「最大の成果」

 僕が思うヒーローとは、期待に応えようとする人ですね。そういう気持ちがプラスの力になるんじゃないかな。背負っているものが大きい、それに応えようとするのがヒーローだと思います。

 ただ、小さい頃、仮面ライダーごっこで遊んでいた時、必ず誰もやりたがらない悪役「ショッカーの怪人」を率先してやっていましたね(笑)。やられる役を担当するので、いつも役の取り合いでケンカが起きずトラブルなく遊んでいました。引き立て役や悪役の方が好きかも知れません。今まで演じてきたキャラクターも悪いキャラが多いんじゃないかな? そんな気がします。この頃から「主役になる」という気持ちはなかったかも知れません。目立ちたがり屋じゃなかったので「俺が俺が」ということはなく、控えめでしたね。

 (その経験が)声優の職業に何か通ずるものがあるとしたら、“裏で支える”ということ。声優さんを知らない人でも映画やアニメ作品は見ますよね。なので「作品が面白かった」と言ってもらえることが、一番うれしい。声優は個人で評価されるより、「作品全体が面白かった」と言われるのが最大の成果だと思います。

関連写真

  • アイアンマン役の吹き替えを担当する藤原啓治
  • 藤原啓治が演じるアイアンマン(C)Marvel Studios 2018 All rights reserved.
  • 映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』場面カット写真(C)Marvel Studios 2018 All rights reserved.
  • 映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』場面カット写真(C)Marvel Studios 2018 All rights reserved.
  • 映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』場面カット写真(C)Marvel Studios 2018 All rights reserved.
  • 映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』場面カット写真(C)Marvel Studios 2018 All rights reserved.
  • 映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』日本版ポスター(C)Marvel Studios 2018 All rights reserved.

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