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アイドルらしからぬ姿も…ジャニーズ退所、渋谷すばるのジレンマ

 15日、記者会見で関ジャニ∞を脱退することを発表した渋谷すばる。療養中の安田章大を除いたメンバー6人が登壇した会見では、それぞれが真摯に率直な気持ちを述べた。今後、「音楽を追求していきたい」という渋谷だが、これまで関ジャニ∞のメインボーカルとして、グループの音楽活動を牽引してきたのもまた、渋谷である。ソロデビューした際も、1人でステージに立ち「関ジャニ∞っていうアイドルやってます」とあいさつしていた渋谷。大阪時代から強い絆で結ばれ、いまや国民的グループとなった関ジャニ∞とって、渋谷はどんな存在だったのか。彼らの道のりを振り返りながら、今回の決断について考える。

年内をもってジャニーズ事務所を退所することを発表

年内をもってジャニーズ事務所を退所することを発表

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◆ロック好きの渋谷の影響強く、音楽を柱とした関ジャニ∞は実績を上げた

 関ジャニ∞というとコミカルソングをイメージする人も多いかもしれないが、渋谷は早い段階からロック好きを公言し、グループのバンド歴も長い。ジャニーズJr.時代から渋谷をボーカルとしたバンドを組み、関ジャニ∞のライブでもほぼ毎回、全員で演奏。渋谷自身、「音楽に対する思いをちゃんと持っているところが関ジャニ∞の武器」(エンタテイメント誌『オリ★スタ』より)と、並々ならぬ想いを抱いていたことをうかがわせる。バンドでは、錦戸亮と安田章大がギター、丸山隆平はベース、大倉忠義がドラムを担当。当初は演奏できなかった村上信五横山裕も練習を重ね、それぞれキーボード、パーカッションとトランペットをライブで披露するまでに。村上は楽器を始めたころの心境を「みんなの歌や演奏を聴いてすごいと思う。バンドもやらんわけにはいかんかな、と」(同)と語り、渋谷ら音楽志向の強いメンバーの影響が強かったことが感じられる。

 今回の会見でも、「関ジャニ∞として活動していく中で、自分の音楽を軸に大きくしていけるように活動してきたつもり」と回想していた渋谷。そんな彼の音楽への情熱は、こうしてメンバーたちへも波及し、関ジャニ∞の方向性の支柱にもなった。ライブを重視する彼らは、2007年には事務所に直談判してジャニーズ初の『47都道府県ツアー』を5ヶ月かけて敢行。2010年には、バンド演奏する曲「LIFE〜目の前の向こうへ〜」が初めてシングルのタイトル曲となり、音楽番組でも披露された。昨年は野外フェスにも出場し、関ジャニ∞のバンド力を見せつけたことも記憶に新しい。6年連続5大ドームツアー、さらにライブ映像を中心とした「DVD&Blu-ray Disc同時首位連続獲得作品数」が歴代1位(10作・オリコン調べ)と、セールス的にも実績を上げている。これらのことからもわかるとおり、関ジャニ∞の音楽、ライブを重視する方向性はしっかりと身を結んできたのである。

◆ソロのステージでも「関ジャニ∞っていうアイドルグループやってます」

 デビュー当初こそ、個人でやりたいことがあるというような発言もあった彼だが、2012年に関ジャニ∞が8周年を迎えた際には、「今は個人でどうこうはない。いろんなことを経験して、関ジャニ∞としてのプライドもあるし、グループとしても絶対負けたくない」と語っていた。2014年、ソロで出演した『テレビ朝日ドリームフェスティバル2014』では自分の名前を名乗らず、観客の前で「関ジャニ∞っていうアイドルグループやってます」とあいさつ。『味園ユニバース』で訪れたロッテルダム国際映画祭では、関ジャニ∞のTシャツを着用して出席するなど、ソロで活動しながらも、彼のグループ愛は人一倍強かったのだ。

 その気持ちは、「関ジャニ∞は間違いなく自分の中で一番大切で大きな存在。家族より長い時間をともに過ごしてきた人たち」と、今も変わらない。だがそれだけに、「命がけで取り組んできた経験があるからこそ、今回の決断には心からの感謝を送るとともに、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と、メンバーたちへの想いは一方ならぬものがあるようだった。

◆ロックで不器用な男の葛藤、前を向こうとするメンバーたち

 それほどのグループ愛がある渋谷だが、信念が強く、ある意味不器用な“ロックな男”であることも事実。一時期はロングヘアにしたり、ヒゲを生やしたりとアイドルらしからぬ姿になったこともあった。2011年には「結局のところ、歌しかできへん」と、自分自身を分析している。また、2014年に関ジャニ∞が新レーベルを設立した際には、「なんでもやると思うなよ!と言える強さも必要。わがままのように聞こえるかもしれないけど、そういうこだわりをもった僕みたいなやつが1人ぐらいいてもいいのかな」(ともに『オリ★スタ』より)と、彼らしい発言もしている。

 今回、「脱退を考え始めたのは35歳を過ぎたあたりから」と明かした渋谷。音楽への愛と、関ジャニ∞への愛の狭間で、大きな葛藤もあっただろう。若いころの勢いとは違う、様々なことを経験してきた彼自身が考えぬいた結果が、今回の決断なのだ。

 36歳にして、音楽を追求する道を掲げ、1人で切り開く覚悟をした。村上信五が、「最初は『なんでや、嫌や』しかなかった。でも腹をくくってるのは目を見ればわかった」と語ったとおり、会見中もずっと決意に満ちた目で発言していたのが印象的だった。

 錦戸は、きょうを「門出」と称し、丸山隆平と大倉忠義も渋谷の決断を認め、それでも「好きだ、嫌いになれない」と発言。横山も、「僕たちも下を向いていたらいけないと本当に思いました」と、それぞれが前を向こうとしている。個人として音楽を極めようとする渋谷と、渋谷が抜けた6人の道を模索する関ジャニ∞と。道は違えど、これまで築いた絆は変わらない。彼らが踏み出す新たな一歩、生み出す音楽に期待したいと思う。
(文:今 泉)

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