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「殿堂入り」しないポルノグラフィティ、アーティストから見たフェスの変化を語る

 1999年、1stシングル「アポロ」で一世を風靡して以来、とどまることなく走り続けてきたポルノグラフィティ。発売したシングルは実に45枚。メンバーの岡野昭仁新藤晴一はともに40代を迎えているが、まだまだ「殿堂入り」はしたくないという。久々にロックフェスに出演して刺激を受けたという彼らが、アーティスト側から見たフェスの変化、そしてモチベーションの在り処を語った。

◆「20代は多いけれど、40代はいない」若手からのリスペクトに自信

――今年の夏は大型のフェスにたくさん出演され、先輩や後輩アーティストに会って、今までと違う立ち位置を感じることもあったのでは?
【新藤晴一】音楽業界は終身雇用じゃないから、僕らと同年代の人たちがだんだん減っていくんですよね。20代は多いけれど、40代はいない。僕らがそこにいられるということは、それなりに自信を持っていいことだと思うし、お客さんや周りのミュージシャンが一定のリスペクトを持ってくれるのは、とても嬉しいことだと思いました。

――キャリアが長い人は、伝説化してきたり殿堂入りし始めたりしますからね。
【岡野昭仁】僕らはあまりフェスに出てこなかったからこそ、今年出演してみて、そういう立ち位置みたいなものがわかりました。若い、いかつい感じのミュージシャンたちが、「中学の時にポルノのコピーバンドをやっていました!」と言ってくれたんですけど、「ホンマかーい!」って思ったりして(笑)。これまで、自分が勝手にコンプレックスを抱いていて、そういう中には入れないと思ってきたんです。でも、僕らの背中を見てくれていた子たちがいると知れたのは嬉しいですね。それとともに、彼らが「この人たちはやっぱりカッコイイ」と思うようなステージで圧倒しないといけないという、今までにない刺激も受けました。殿堂入りするわけじゃなくて、後ろから見ている人がいるのならば、ちゃんと前を走り続けたいという気持ちになりましたね。

◆「二極化していたものが融合した」アーティスト自身が感じるフェスの今昔

――これまでフェスにあまり出なかったのは、苦手意識があったから?
【岡野昭仁】そういうわけではなく、たまたまですね。「俺たちあんまりフェスに出てないね、出ようよ!」と気づいたのが2、3年前…。

【新藤晴一】ワンマンライブに力を注いでいた結果かな。それとロックフェス自体、もともとはテレビのカウンターカルチャーみたいなものだったと思うんです。でもそんな時代を経て、今はテレビとフェス、二極化していたものが融合した気がする。僕もフェスで、自分たちと同じようないわゆる“お茶の間派”ミュージシャンのステージを見たけど、お客さんもすごく楽しそうでした。今は、20年前にはあった「テレビに出ているからダサい」という風潮はもうないですよね。偏狭な価値観が薄れてきて融合されてきた気がします。

【岡野昭仁】フェスの間口が広がってきたぶん、僕らがそこに出ない理由はないなと思います。

◆「まだまだ踏み込んでいける領域はたくさんある」、ギアを下げない理由

――新作「キング&クイーン/Montage」は、なんと通算45枚目。長い間、殿堂入りすることなく全力疾走できる、モチベーションはどのように保っていますか?
【岡野昭仁】ライブをやって、お客さんの声をちゃんと聞くことですかね。この夏もフェスに出演したので、エゴサーチなんてこともしました(笑)。ワンマンライブを見てくれる人たちの反応はもちろん、フェスのお客さんの感想は自分たちにとっても新鮮。まだまだ、踏み込んでいける領域はたくさんあるなと感じたんです。今までと同じような活動もしつつ、少しの変化で喜んでもらえるのが嬉しい。そういうのがモチベーションになっているのかな。

【新藤晴一】例えば車で言うと、日頃からほどほどにギアを上げていないと、いざというときにスピードは出ないと思うんです。現役でありたいと思うなら、ある程度の大きいギアを入れなきゃいけない。下げることもできるんだけど、そうすると違うステージに行かなきゃいけないわけです。それこそヒット曲があれば、お金を儲けるためにやるというシフトダウンもできるかもしれないけど、そうはしたくないから、走るしかない。ゆっくり走るのは嫌だから、ギアは下げないんだと思います。
(文:川上きくえ)



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