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小橋賢児、24年前の実写版『打ち上げ花火〜』を振り返る

 現在、大ヒット中のアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。元々は1993年に放送された岩井俊二監督によるドラマ作品であり、同監督の評価と知名度を一気に上げ、映画製作に進出させるきっかけとなった作品。そんな“記念碑的”作品に出演していたのが、国内最大のダンスミュージックフェス『ULTRA JAPAN』のクリエイティブディレクターを務める小橋賢児だ。今回ORICON NEWSでは、貴重な“当事者”たる小橋に話を聞きたく取材を申し込んだところ快く承諾。24年を経過した今もなお色あせない同作の魅力や撮影時の様子などを明かしてくれた。

■あの撮影自体が僕たちにとって“夏休み”だったんです

 1993年に、オムニバステレビドラマ『If もしも』の一篇としてフジテレビで放送された同作は、夏休みの花火大会を夜に控えるとある海辺の町を舞台に、母親の再婚が決まり転校することになった中学生のなずなと、彼女に思いを寄せる典道の繰り返される1日を描くラブストーリー。岩井監督は同作で、テレビドラマとして異例の『日本映画監督協会新人賞』を受賞。その後、1995年8月12日には再構成されたバージョンが映画として劇場公開。岩井俊二の評価と知名度を一気に上げ、映画製作に進出させるきっかけとなった“金字塔”的作品である。

 『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)で人気だった俳優の山崎裕太、ブレイク前の女優の奥菜恵などと共に、当時14歳だった小橋賢児も、山崎扮する典道の友人・純一役で出演。小橋は様々な映画やテレビに出演する人気子役として活躍していた。当時を振り返り小橋は「それまでの撮影現場というと、“監督”っていわゆるコワモテで、僕たちのような子どもと、大人である制作スタッフを明確に差別化してる方が多かったと思うんです。そうしたなかで、自分たちと等身大の目線で、ナチュラルに僕たちを引き出してくれたのは岩井監督だけでした。今思うと、それも岩井さんの“無意識の演出”だったんでしょうね」と回顧。

 それまで役者(子役)という仕事にどこか本気で向き合えないでいた小橋だったが、“役者と監督”“子どもと大人”の垣根を無くして接してくれた岩井監督に、真正面から向き合うことを決めた。夏休みの一コマを切り取ったストーリーが展開される同作だが、小橋自身、「あの撮影自体が僕たちにとって“夏休み”だったんですよ…」と懐かし気に語る。「演じているのか演じていないのか区別がつかなくなるくらい、もうずっとスタッフ&キャスト皆、泊り込みで撮影していたんです。撮影以外の“物語”も含めて、僕らにとっては1つの作品になっているような感覚でした」(小橋)

■関わっている人のエネルギーや想いが、時代を超えて残っていく作品へと繋がった

 24年も前の作品だが、撮影風景やセットの細かな美術品、さらにはオフシーンに至るまで、まるで昨日のことのように思い出され、鮮明に記憶として残っているという小橋。それだけ自身の人生観や後の生き方にまで多大な影響を及ぼした。
「忘れられない作品です。演者にとっても忘れられない作品だからこそ、作品を観た方にとっても忘れられないモノになっているんじゃないかなって思うんです。それって凄く大事なことで、役者とか台本とか、今ボクが関わっているフェスなどもそうなんですけど、あくまでもその時代の“ツール”なんですね。一番大事なのは、その作品を作っていく人、関わっている人のエネルギーや想いなんです。そういった“目に見えない力”が、おそらく時代を超えて残っていく作品へと繋がっているんだと思います」(小橋)

 監督を筆頭としたスタッフと演者たちの熱量が、ブレることなく一点に向かったことで“時代の象徴”足りうる作品にまで上り詰めた同作。現在のアニメ版について小橋は「岩井さんを筆頭に、あの作品に関わった全てのスタッフの思い、熱量が23年の時を経てアニメという違う形でアウトプットされていくのは非常に興味深いですし、嬉しく思いますね」と頬を緩ませる。「『俺は凄い現場に携わっているんだ!』という感覚はあったのですが、当時はここまでヒットするとは思いませんでしたし、ここまで時代を超えて愛される作品になるとは正直思いませんでしたね。岩井さん自身も『そこまで思ってはいなかった』と仰ってましたね(笑)」。

■岩井さんから「同窓会やろうよ!」と連絡を頂いたけど…

 近年、小橋は、国内最大の屋外ダンスフェスティバル『ULTRA JAPAN2017』を筆頭に、様々なイベントをオーガナイズし、いずれも成高い評価を得ている。今年の5月には伝統を革新させた未来型花火エンターテイメント『STAR ISLAND』も大成功を収めたが、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の影響はあったのだろうか?
「直接的な影響は無かったんですけど(笑)……でも、やはり無意識の内にどこかであの作品の“花火”を思い描いていたのかも知れませんね」。

 最後に、「そういえば…」と満面の笑みで話を切り出した小橋。「今回のアニメ版公開にあたって、先日、岩井さんから連絡いただいて『同窓会やろうよ!』って言って下さったんです。ただ(当時の出演者)全員忙しくて、結局、岩井さんが皆のスケジュールを聞いて調整してもらっているんです。申し訳ないなって思いますね(笑)」。



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