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ライセンス藤原一裕、初の小説を上梓 自作コントを基にしたリズム感のよい連作短編集

 お笑いコンビ・ライセンス藤原一裕(39)が、初の小説『遺産ゲーム』(15日発売/KADOKAWA)を上梓した。魅力的なキャラクターが次々と登場し、思わず吹き出すシーンやドキリとする展開も豊富に盛り込まれ、読後には爽快感を得られる7篇からなる連作短編集。なぜこの時期に、このような小説を書いたのか。執筆のきっかけや出版の経緯、処女作に込めた思いなどを聞いてみた。

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■きっかけは溜まったコントのネタ スマホで書き上げ自ら出版社に売り込み

 自分にとって初めての本になりましたが、「本を書こう!」って決意して書いたものではないんです。9年くらいライセンスで毎月ライブをやってて、そこで新作コントを毎回1本作っていたのですが、ライブで1回限りのネタでほかに披露することがなくて。ある時に数えてみたらそんなネタが100本くらい溜まっていて、設定とかセリフ回しを一生懸命考えたのに、このまま日の目を見ないのはもったいないから「なんとかしたいな」と思って。それで2014年2月ころから、ネタの中でも文章になりそうな感じのものを選んで、漠然と「本にできたらいいな〜」くらいの気持ちでスマホで書き始めてみました。

 出版の話なんてまったく決まっていないのに書き始めたから、相談できる編集者もいなくて、完全に独学でやってました。それで9本くらい作った時に、昔KADOKAWAの『ダ・ヴィンチ』編集部の方から名刺をもらったのを思い出して、「読んでくれませんか」ってメールしました。そしたら「6本はイケると思います」って評価してもらったんですけど、「この6本をつなげる7本目を書いてもらえません?」って言われて。無茶言うなぁって思ったけど(笑)、頑張って書き上げて連作短編として完成させました。多分、最初から「短編を作って、最後にまとめてくれ」って言われたら書けなかったと思うんですけど、最後に言われたから別の思考回路で書けたんだと思います。

 それに、「本を書いてくれ」って頼まれた訳じゃなく、自分で勝手に始めてプレッシャーも締め切りもなかったのも、自分の性格的に良かったです。劇場の出番の合間とか新幹線の移動中に「書こうかな」って思った時に書く感じで、「いつまでに何ページ書いてください」って決められていたら、書くのは無理だったでしょうね。

 僕はペンを持って紙に文字を書くのができない性格で、パソコンも操作できない。ネタ作りは構成作家さんとやるのですが、僕が思いついたことをしゃべって作家さんにパソコンでメモってもらって、それを見ながらさらに練っていくというやり方です。だから、スマホがなかったら文章を書けなかったので、スマホの誕生には本当に感謝です(笑)。ただ、本を書いているっていうのは誰にも言ってなかったので、劇場の楽屋で「いっつもスマホ見てるな」って言われました(笑)。

■頭に浮かんだ映像を文章に 「おもろい」と言ってもらえる自信はある

 書いていた時は、頭のなかに映像が先に浮かんでそれを文字にしていったという感覚でした。僕はアクション映画が大好きなので、小説でも“絵としてのカッコよさ”を意識した部分もあるかな。アクション映画の主人公って、セリフを一つ言ってからカッコいいモーションに入りますけど、「別荘」っていう話のオチはその影響がモロに出ちゃってます。

 この「別荘」に登場する原と英次がカバーに描かれているのですが、漫画家のヨネダコウさんに描いていただいたこのイラストが、自分のイメージ通りの二人でした。そして、編集の方が作った帯に「シリーズ始動!」って書いてあって、ビックリしました(笑)。この2人のキャラが魅力的で、「ぜひ続編も書いてください」って言ってくれて。1冊目の発売前からシリーズ決定というのはありがたいし、何となく構想は考えてますけど、まずはこの『遺産ゲーム』が売れてくれて、2作目を期待してくれる声が出てから、ですね。

 この本を書いている時に奥さんが妊娠したことが分かって、気合が入りましたね(今年5月に妻でタレントの山口美沙が第1子女児を出産)。大きくなったら読んでくれるかもしれないけど、それを意識しちゃうと「こんなことを書いちゃいけないかな」とか考えちゃうので、そこは切り離して書きました。本が出来たことで、僕の父がすごく喜んでくれています。父親は読書が大好きで今でも暇があればいつも本を読んでいるような人。大学時代の友だちまで遡って「買うてくれ」って声をかけてくれたりしているので、関西地区の宣伝は任せています(笑)。

 芸人の本といえば、ピースの又吉(直樹)が『火花』で芥川賞を取って“芸人が書く小説”の価値を上げたけど、僕にとってはハードルが上がってしまいましたね(笑)。『火花』はちょっと読んでみたら、冒頭から「スゲー難しい」と思いましたが、僕の本は「こんなに読みやすくてエエの?」っていうくらい読みやすいので、ふだん本を読まない若い子にも幅広く読んでもらいたいです。

 発売が目前に迫って、いまはとにかく楽しみですね。こんな楽しみだったことは今までないくらい。読んでもらえたら「おもろい」と言ってもらえる自信はあるんですけど、ただ「最後まで読んでよ」と。全ての章に全部笑いがあるようにしているけど、通勤時間とか、昼休みとかに一つの章を読んでもらうのにちょうどいい感じになってると思います。

◆藤原一裕(ふじわら・かずひろ)1977年9月20日奈良県生まれ。1996年高校の同級だった井本貴史とお笑いコンビLICENSE(ライセンス)を結成。ボケ担当。第29回NHK上方漫才コンテスト優秀賞受賞。その後舞台テレビなどで活躍中。本書が初小説となる。



関連写真

  • 初の小説『遺産ゲーム』を上梓したライセンス・藤原一裕 (C)ORICON NewS inc.
  • 『遺産ゲーム』書影
  • 初の小説『遺産ゲーム』を上梓したライセンス・藤原一裕 (C)ORICON NewS inc.

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