昨年、テレビ東京は長年親しんだ神谷町（東京都港区）から六本木の新社屋へと“お引っ越し”。これを題材にしたオリジナルホラードラマ『デッドストック〜未知への挑戦〜』（毎週金曜　深夜0：52）が同局ほかで放送中だ。俳優の村上虹郎が、テレ東の新人AD・常田大陸（つねだ・りく）役で連続ドラマ初主演を務めている。

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　引っ越しの際に処分された大量の廃棄テープの中から、いまだかつて誰も目にすることのなかった怪奇現象の映った古いテープが発見された…というのがこの物語のはじまり。主人公の大陸ら、テレビクルーがそのテープを手がかりに怪奇現象を解明しに、当時の現場に向かうのだが、そこで起こるのは恐ろしくも摩訶不思議な出来事ばかり…。

　ホラー＋サスペンス仕立ての作品は初挑戦だったという村上は「ホラーは…、得意ではないです（笑）。最初、テレ東のドラマで主演と聞いてうれしかったのですが、ホラーと聞いて一瞬戸惑いました（笑）。でもよし、やるぞ、と思って挑みました」。

　見るからに怪しいテレ東旧社屋の一室で大量の番組素材を整理する部署“未確認素材センター”に配属になり、先輩ディレクター・二階堂早織（早見あかり）、上司のベテランディレクター・佐山暁（田中哲司）に日々振り回される大陸。気になっていたのはその髪型。

　「クランクイン前に美容院で髪を切っている最中に、前髪パッツンにしてみようかなとひらめいたんです。ここまで思い切って髪型を変えたのは初めてでした」。連ドラ初主演の意気込みの表れとも言えるが「たまにヘルメットに見えますよね（笑）」。

　怖さの中にも笑いがあったり、はたまた悲しさがあったりと、全体的には普段“ホラーは怖くて見ない”という人でも楽しめる内容。ただ、第2話の市松人形や第5話の落ち武者など、「真面目にホラーしている」部分もある。撮影中に怪奇現象が起きたりしていなかったのだろうか。

　「僕は怖がりですが、何もなかったです。早見さんはありました。まさに市松人形が出てきた回で、撮影の翌日、人形を抱っこしていた側に首が回らくなったと。トンネルで撮ったはずの映像が、音は録れているのに画が撮れてなかったということもありました。でも、撮影前に入念にお祓いをしていたので、それくらいだったと思います」。

　ホラー作品“あるある”がここにも。しかし、本作は、ホラーというジャンルに収まりそうもない気配だ。「中盤までは1話完結のホラー・サスペンスですが、物語が進むにしたがって大陸が自分の内面と向き合う話になっていきます。すでに、感づいている人もいると思いますが、節々にちりばめられた伏線を、僕らは大胆に回収しに行きます。特に最終回は、ジャンルを超えた未知の世界、スケールの大きな話になっています」。

　同ドラマは、1話から10話までを権野元氏（『ナイトヒーローNAOTO』『楽園』など）と三宅隆太氏（『呪怨 白い老女』）が手掛ける）、最終回を、佐村河内守を追った『FAKE』（16年）やオウム真理教を内側から撮った『A』（1998年）などのドキュメンタリー監督・森達也氏が担当。かつてスプーン曲げで一世を風靡した“清田くん”こと清田益章氏が本人役で登場することも明らかになっている。

　自身初の連続ドラマ主演作を撮りきり、ありきたりだが、次の目標を聞くと、意外な答えとともに、生と死に思いを巡らす繊細な一面を垣間見せた。

　「一緒にお芝居させていた方々とまた共演したいです。今回、早見さんとまた共演できたように（15年公開の映画『忘れないと誓ったぼくがいた』以来の共演）。初共演だった田中哲司さんとも、いつかまた、と思います。何が起こるかわからないので、再会できたらそれだけで、と思うんです。だからこそ、今、自分がしたいことに正直でいたいですし、今を大切に生きたいと思います」。

　25日放送の第6話は、東京・六本木を騒がせている都市伝説に迫る。なんでも街中で、女性の変死体が発見されたという。常田大陸（村上）は、素材センターでみかけた30年前の映像に、うわさとよく似た出来事が映っていることに気づく。取材を進めていくうちに行きついたのは、とある高級クラブ。先輩ディレクターの二階堂早織（早見）と、珍しく乗り気な？佐山暁（田中）と一緒に客として潜入捜査に乗り込むが、そこで大陸が目にしたものは…。