俳優の山田孝之（33）が、今年6月公開の映画『山田孝之3D-山田孝之 全告白-』、漫画原作の映画『ハード・コア』（18年公開予定）に続く、3作目の映画プロデュースに挑戦することがわかった。同じ事務所でありかつ旧知の仲である俳優・阿部進之介（35）が主演を務める映画『デイアンドナイト』（2018年公開予定）で、今回は俳優として出演することは一切せず、初めてプロデューサーに専念する。

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　今回、選んだテーマは「人間の善悪とは」。実直で正義感が強かった父親の自殺をきっかけに、実家に帰ることになった主人公が、父親の死の真相を探るうちに裏の顔があったことを知る。昼と夜、表と裏、善と悪、人間の持つ二面性に振り回されるうちに、やがて自分も裏稼業に染まっていく…。自分の定義する善悪によって翻弄される人間を描き、観る者の「善悪」の定義について一石を投じる野心作だ。

　山田は「優しさと厳しさ、理想と現実を見せたとき、そこに善と悪を決めつけることで自分を保つ人は多いのではないかと思う。善と悪など答えはないけれど、自分の中で決めなくては生きていられない。しかし、それでも問いたい。生かされることを人生と思ってほしくないから。そんな映画を作りたくて『デイアンドナイト』は始まりました。荒削りかもしれない、下手くそかもしれない、でも挑戦しないなんて賢い生かされ方はしたくない」と、熱い思いを語っている。

　企画・原案は、主演の阿部によるもの。長編映画初主演となる阿部は、山田とともに、脚本開発会議を積極的に主催し、自らせりふを読み上げ演技を交えながら、言い回しなどの細かい部分まで確認しながら進めてきた。脚本会議は12時間以上にわたったこともあったという。「私と藤井監督との出逢いで生まれたこの企画が、多くの仲間の助けを得て一つの映画に成ろうとしている事を、大変うれしく思っています。今はただ、私が演じる『明石幸次』という人間を愛することに注力したいです。そして、その先に何が待っているのかを確かめたいと思います」と、撮影が待ちきれない様子だ。

　監督を務めるのは、ドラマ『100万円の女たち』や映画『7s/セブンス』『光と血』などを手掛け、ポケットモンスターの広告をはじめMV、CMなど幅広い分野で活躍する藤井道人氏（31）。脚本づくりには、映画を中心にドラマ、CMなどを手がけている小寺和久氏、藤井監督も参加している。

　主演以外のキャストは現在検討中だが、さまざまな役をオーディションで広く募集する。オーディションには山田と阿部も参加し、相手役を務め、審査にも加わることになっている。オーディション情報については俳優志望者のためのWEBサービス「ミラーライアー」（https://mirrorliar.com）を通じて応募を受け付ける（8月18日〜31日）。また、ロケ地の秋田でもオーディションを行う予定。

　山田は、連日の長時間にも及ぶ脚本会議、プロモーションプラン、キャスティング、スポンサー集めなど、一から企画に携わるオリジナル作品は初めてとなり、これまで以上に気合が入っている。撮影は11月を予定しており、約1ヶ月間、ロケ地である秋田県鹿角市と三種町に出向き、プロデューサーとして現場を支えていく。

■ロケ地選定の経緯

　ロケ地選定のきっかけとなったのが、本作の制作を手がける「and pictures」が企画制作した映画『サブイボマスク』（16年）を観た、秋田県鹿角市在住の女性から「映画を誘致して、地域の人々に刺激を与えたい、地域を絡めた映画作りをしてみたい」という声が届き、映画を通じて地域活性に力を入れたいと考えている同社の思いと合致。今回の企画を鹿角市役所に相談したところ、賛同を得た。作中に出てくる「風車のある町」と同じ風景が広がる三種町にも同様に声をかけたところ、「町ぐるみで映画を盛り上げたい」との快諾を受け、秋田県鹿角市と三種町でロケを行うことが決定した。

　山田は「今年2月にあいさつを兼ねてロケハンに行った際、自然が多く素敵な環境に撮影がとても楽しみになりました。撮影は早朝から深夜に及ぶこともありますが、皆さまにご迷惑とならないよう、チーム一丸となり心に響く作品を完成させたいと思います」と、コメントしている。