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山寺宏一、ベテランならではの葛藤 大塚明夫と“吹き替え”語る

 声優の山寺宏一(56)が、8月20日にCS映画専門チャンネル・ムービープラスで放送される人気企画「吹替王国」の特番に出演する。「吹替王国」とは、特定の声優にスポットを当て、その声優が担当した映画を特集放送する同チャンネルの人気企画で、山寺が出演する2017年8月で“建国2周年”を迎える。これを祝し、『おかげさまで建国2周年!吹替王国SP』で特別ゲストに大塚明夫を迎え、映画吹き替えの魅力について対談を果たす。実は、大塚明夫は第2回目の声優として、すでに「吹替王国」に登場している。山寺とは『マスク』など共演作があり、デンゼル・ワシントンニコラス・ケイジなど同じ俳優の吹き替えを担当することも多く、大塚いわく「一緒だと燃えた」という“戦友”同士。ふたりの対談番組収録後の合同取材では、ともにデビューから30年ほどのキャリアを持つベテラン声優としてその道を極めてきた2人が、意外な葛藤や互いへの印象などを明かした。

CS映画専門チャンネル・ムービープラス『吹替王国SP #11 山寺宏一 特別ゲスト:大塚明夫』

CS映画専門チャンネル・ムービープラス『吹替王国SP #11 山寺宏一 特別ゲスト:大塚明夫』

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 長年、声優業界の第一線を歩んできた2人だからこそ互いの魅力はよく理解している。大塚が山寺について「あまりにもなんでもできるから、そこばかりに人の目は行きがちだけど、深みが出てきた。一緒にやりたいとすごく思う」と感心すれば、山寺も「その味とか深みを最初から持っているのが明夫さん。ギャップも持っているけどなんでも自然に見えて、どういう役でも無理している感じがない。自分の芝居をしているのにハマってしまう。そういう人、我々の世代では他にいないですね」と大塚の唯一無二の才能を讃える。

 大塚といえば、故・大塚周夫さんというレジェンド声優を父に持ちながら自身もポジションを築いてきたが「生き残らなきゃとすごく思っている」と固い意志を明かす。「30代に怠けたら40代では仕事がないぞ、40代で怠けたら50代に仕事ないぞと言い聞かせているところがある。うちのオヤジが亡くなったのは、仕事をした日の晩だった。僕も現役のまま逝きたい。『いつまでも現役でいてやる!』と思ってます」と父の生きざまに影響を受ける部分もあるようだ。

 そんな大塚の熱い想いに、“七色の声”を持ち吹き替え・アニメ、そして俳優としても活動する山寺も「そのために向上心とかね、絶対に燃料投下を怠ってはならないんです」と続ける。「いつまでも使いたいと思われる存在でいなければ」と気を引き締めながらも「ここへきてまた吹き替えの難しさを感じてます。なにがいい吹き替えなのか、自分の個性もわからないし…」とキャリアを積んできたからこその悩みを打ち明けた。

 「なにを吹き替えで期待されてるかにもよるんですが…日本語吹替版ならではの味を欲している人もいる。『無難に吹き替えてどうする、面白さをくれ』という人には、なかなかお応えできない。そこまでの個性の強さやアドリブにかけるセンスはない。なので『吹き替えしてるって感じがしない、吹き替えだっていうのを忘れて観ました』っていうのが最高の褒め言葉ですね」。こちらからすればどんな役でもこなせるイメージを持っていただけに、自分へのストイックな姿勢に驚かされた。

 山寺は「年齢を重ねてきて見る目は肥えてきたと思うんです。いろんなものを冷静に見ることができるようになった。昔は勢いで『俺、やれてるんじゃないのか』と思ったことでも、今では冷静に自分のことを見られるようになってきたし、周りのうまさもすごくわかるようになった。顔出しの仕事で舞台をやったりすると、自分のできなさ加減もわかってきて、声だけでもなんとか…と思うけどそれも難しいことだと改めて思う。『やっぱり難しいな』と思ったり、自信ができたり『俺やれるじゃん!』って思うことの繰り返しです。そういうもんなんでしょうかね。でもなんでもこんなもんだ、と思ってはいけない」と力を込める。

 デビュー当時と比べ、養成所や事務所も格段に増え声優業界もにぎわいをみせている。吹き替え映画といえばかつてはその俳優専任の声優もいたほどだが、現状は複数の声優が担当するというスタイルに変化してきているという。山寺は「それだけチャンスを与えていただけるということ。いろんな俳優さんをやれるチャンスはあるけど、占有率は下がっていく。でも一回は見てもらえるわけですから、それで次にオファーが来ないのは実力不足。チャンスを与えてもらっただけでも喜ばないと…。ずっと固定で来ていたら俺もこれだけやれていないと思います」。

 そんななか同じ俳優の吹き替えを別作品で担当することも多い2人。「なにが勝ちだか負けだかもわからないので、自分がやる以上は全うすることが礼儀だと思ってます。お互いの信じるところを手を抜かずにやるべき」という大塚に、山寺は「やっぱり複数やっている俳優さんの吹き替えは、他の方に負けたくないという気持ちはありますが、明夫さんには思わないですね。なんでだろう?仲良くても仕事は奪い合いなのに…」とライバルというよりはやはり“戦友”としてともに実力を認め合う。

 一方で、山寺が「でも明夫さんがジム・キャリーやったら、俺のところ、侵さないでよって思うけど(笑)」と口にすると、大塚が「お手上げです。手も足も出ない」と返し、ジム・キャリーについては“不可侵条約”が結ばれた。今後、2人で演りたい吹き替え映画でいえば「声優という仕事は武器がセリフしかない。そういうことで言うと、法廷で弁護士と検事としてバチバチッとやってみたいね」(大塚)、「そういうのもいいし、コメディーもやりたいですけどね」(山寺)と夢は広がるばかり。これからも声ひとつを武器に、吹き替え映画の世界に鮮やかな彩りを加えていってくれることだろう。


■『おかげさまで建国2周年!2ヶ月連続!吹替王国 大感謝祭』
8月20日(日)後4:45〜深夜1:00 CS映画専門チャンネル・ムービープラスで放送

吹替王国SP #11 山寺宏一 特別ゲスト:大塚明夫
前編:8月20日(日)後4:45
後編:8月20日(日)後8:45

『ラッシュアワー』日本語吹き替え版(8月20日 後5:00)
『ラッシュアワー2』日本語吹き替え版(8月20日 後7:00)
『マスク』地上波吹き替え版(8月20日 後9:00)
『オースティン・パワーズ:デラックス』日本語吹き替え版(8月20日 後11:00)

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