NHKで放送中の大河ドラマ『おんな城主 直虎』（毎週日曜　後8：00　総合ほか）は、戦国時代の静岡県浜松市が舞台。『直虎』の聖地を巡る旅のしめくくりは、徳川家康ゆかりのスポットへ。ドラマの後半、井伊家再興に欠かせない存在となる家康。浜松は、家康と直虎の生涯が交差した地でもある。

【写真】その他の写真を見る

　浜松を代表する観光スポットといえば【浜松城】。もともと今川領の拠点であった引間城を攻め落とし、城地を拡大して家康が1570年に築城。29歳〜45歳までの青年期（17年間）を過ごした城で、後に浜松城城主になった人たちの多くが、次々と幕府の重要ポストに就いたことから「出世城」とも呼ばれている。

　かつて引間城があった場所には、1886（明治19）年に【元城町東照宮】が創建され、現在に至る。引間城には家康が攻める17年前（1551年）に、当時16歳だった豊臣秀吉が引間城を訪れた記録も残っており、「出世の最強パワースポット」として注目を集めている。きっかけは2015年、家康公顕彰四百年記念事業の一つとして、境内に家康と秀吉が並び立つブロンズの「二公像」が設置されたことで、天下人となった2人の武将にゆかりがあることが広く知られるようになった。真ん中の台座に立って家康と秀吉と記念撮影すれば、出世パワーにあやかれるかも。

　浜松城の天守門は14年に140年ぶりに復元され、天守閣は1958（昭和33）年に鉄筋コンクリート造りで再建されたもの。内部は資料館として使われており、若き日の家康の等身大肖像やゆかりの品々を見学することができる。展望台からは浜松市街を一望でき、条件が良ければ富士山も見える。富士山は家康が特に好んだものだ。

　周辺は緑が美しい公園になっていて、池や芝生広場、日本庭園などがあり、気持ちのいい散歩ができる。出世大名家康くんと出世法師直虎ちゃんを抱えて写真を撮っていたら、散歩中の年配の男性に話しかけられ、「ハートの石が3つあるの知っている？　縁結びに効くよ」と、いうので案内してもらった。「日本庭園の入口付近」と、「野面積（のづらづ）みの天守石垣の中」にある、とヒントをもらい探してみるとハートの形に見える石を発見。「外国人観光客が見つけるとすごく喜ぶんだよね」と、話していた。皆さんも浜松城を訪れたら、ハートの石と一緒に自撮りに励んでみてほしい。

　JR浜松駅より徒歩1分の場所（※旧べんがら横丁北側）には、直虎の活躍や、ゆかりの場所などを紹介する観光案内施設『浜松出世の館（やかた）』も営業中（来年1月末まで）。家康と直虎、それぞれの生涯を紹介するパネルをはじめ、大河ドラマで使われた徳川家康の甲冑などの展示、専用ゴーグルを装着して直虎ゆかりの地を体感できるVR（バーチャル・リアリティー）のコーナーなどもある。

　井伊家ゆかりの地をめぐりながら、たびたび目にし、耳にした「出世」。浜松市によれば、「出世とは、決して働く人のためだけの言葉ではない」という。「自らを成長させ、夢をかなえること。目標に向かって努力を重ねること。生きがいやりがいを持ち、幸せになること。それが浜松の“出世”です」。

　ドラマの聖地巡礼という目的を持って、現地を訪れてみると、意外な発見や出会いがあって面白かった。見たり聞いたりしたことでドラマが補完されて、これまで以上に楽しめるような気がする。