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音楽教室側、JASRACを提訴 原告団249社の集団訴訟に

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権使用料を徴収する方針を固めた問題で、音楽教室大手のヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所など音楽教室を経営する団体・法人を中心とした原告団が20日、JASRAC側への支払い義務がないことの確認を求める訴訟を東京地裁に提起した。同日、「音楽教育を守る会」の公式サイトで発表された。「守る会」事務局によると、原告数は249社におよび、大規模な集団訴訟となる。

日本音楽著作権協会(東京・渋谷区)

日本音楽著作権協会(東京・渋谷区)

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 この問題をめぐっては、今年2月にJASRAC側が教室を経営する各社宛てに、音楽教室における著作権使用料規定の協議を文書で提案。これに対し教室側は「音楽教育を守る会」を発足させ、3月末に音楽教室での演奏は著作権法に規定する「演奏権」には及ばず、JASRAC側に徴収権限はないと回答。

 その後4月にJASRAC側が同規定実施に向け文化庁に届出を行う旨を「守る会」側に通知したことを受け、5月30日に行われた「守る会」の総会でJASRAC提訴の方針が決議された。一方、JASRAC側は今月7日、文化庁に使用料規程を届け出ている。

 「守る会」は「音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不存在確認訴訟」を提起したことを報告するとともに、当訴訟において、著作権法に定める「演奏権」が及ばないことを以下の3点から主張している。

1.「公衆」に対する演奏ではないこと

音楽教室における演奏は、教師と生徒が教育目的で結合された特定かつ少数の者の間の演奏であり、「公衆」に対する演奏ではない。1対1の個人レッスンや講師1名と3〜5名程度の生徒で行われるレッスンにおける演奏が「公衆」に対する演奏であるとは考えられない。
現行法制定時の資料にも、学校教育であるか社会教育であるかを問わず、教室という閉鎖的な場における著作物の使用は「公でない使用」であることが明記されており、以後、45年以上の間、社会教育における教室での授業については、演奏権が及ばないと理解されてきた。

2.「聞かせることを目的とした」演奏ではないこと

音楽著作物の価値は人に感動を与えるところにあるが、音楽教室での教師の演奏、生徒の演奏いずれも音楽を通じて聞き手に官能的な感動を与えることを目的とする演奏ではなく、「聞かせることを目的」とはしていない。

3.著作権法の立法目的(法第1条)にもそぐわないこと

教育のための著作物の利用は、第1条の「文化的所産の公正な利用」に含まれるところであり、また民間の音楽教室という社会教育なくして音楽文化の発展はあり得ず、社会教育における音楽教育は、まさに同条の「文化の発展に寄与する」という著作権法の目的を実現するものであり、このような著作権法の目的に背を向けるような第22条の解釈は許されない。

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