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『水どう』嬉野D、「ハゲる」の一言から人生を学んだ過去【インタビュー後編】

 1996年に北海道の深夜ローカル番組としてスタートし、今なお全国に熱狂的なファンを持つ北海道テレビ(HTB)のバラエティー『水曜どうでしょう』を、放送開始からカメラに収めてきた嬉野雅道ディクレクターが、2冊目の著書『ぬかよろこび』(KADOKAWA刊)を5月25日に発売した。インタビュー後編では内容をさらに深掘りした。

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■『ぬかよろこび』は前作を超える自信作「みなさんにもわかりやすい」

 前作同様に笑いあり、ほろっとくるエピソードありとなった『ぬかよろこび』。収録されている話数も増えてボリュームアップ。2冊目となった著書で嬉野雅道の根底にある考え方が鮮明に記されている。嬉野Dは「ちゃんと書けたかなって気はする。編集がボリューミーなのが好きですから(笑)。けど、周りに読んでもらった反応としては1冊目よりはるかにいい。みなさんにも、わかりやすかったかな」と手応えを語った。

 大泉洋鈴井貴之、藤村忠寿ディレクターの“どうでしょう班”には誰にも渡していないという。「1冊目も渡してないですね。1冊目には大泉くんのことも書いていたから、渡そうと思っていたんですけど渡しそびれていました」と照れくさそうな笑顔を浮かべた。

 著書の中には『高校3年の夏、床屋のオヤジにあんたハゲるよと言われ、7年半引きこもった男の話』というタイトルのエピソードがある。タイトル通り、理髪店に行った際に言われた言葉で7年半もの間、悩み続けた嬉野Dがどうやって吹っ切ったかが記されている。「本を読んでもらえれば分かるんですけど、高校3年のときに床屋のおやじにハゲるって言われて、すごく落ち込んだ。そこからオレもバカ正直に信じて、7年半ぐらい落ち込んだ。その中で盛り返すために考えたんです。そのとき、考えたもので今は食べているのかなって気がする。そこで考える習慣がついた。だから、とっても大事だったかなって今、振り返ると思うから書いてみたかった」。

 人生、転んでも転んだ理由を深く考えることで自分の糧にしている。「人生、生きていると、いろんな目に遭うわけじゃないですか。それで、いろいろ落ち込んだりするでしょ。でも、そういったことを乗り越えた先には、何かそれまで見えなかったものが見えたりする。振り返ると、ひどい目に会っていたことが面白く思えちゃう」と執筆に込めた思いを語った。

 それ以降、嬉野雅道という男は達観したかのような視点を持つようになった。「手に入れたいものが手に入らないのに、あきらめきれないから悩む。でも、私個人っていう人間から離れないと悩みはなくならない。そうしたときに自然科学系の本を読むと人の体って本当にありえないぐらい巧妙にできてる。誰が作ったのかっていうのを考えると人類っていうところまで俯瞰で上がっていける感じがする。人類の歴史を持った群れの中の一人として自分を見て、人類として何をやるべきかを考えると嬉野さんという個人の悩みから逃れられる気がした」。

 ■TVディレクターならではの視点「普通に生きてきた人が体験した中から感じた」

 嬉野Dは前作『ひらあやまり』で会社の会議室を“占領”し、カフェを始めたことを明かした。その後について『ぬかよろこび』でも語っている。カフェを始めた理由をあらためて問うと嬉野Dは「目先を変えたかった。僕も20年ぐらいHTBにいたから顔は知っているはずだけど話てみようかなと。割りと稼働のなかった会議室に目をつけて『カフェ始めました』って張り紙書いて始めた」と明かす。

また「会議室のドアを開けてやっているっていうことは、私は仕事しておりませんってこと。ドア閉めてパソコンをパチパチやっていたら、仕事している風。仕事している風の人が多いって思ったから、あえてそういうことをしてみようと思った。呼んで話をしようなんて言っても気詰まりじゃないですか。そのときにコーヒーを飲みながら話すと、直射じゃなくてコーヒーを介在した反射で話せる。人間のコミュニケーションは、そういう装置がないとうまくいかないんじゃないかって気もして始めたんです」とも語った。

 就業時間中にカフェを始めた裏にはある意図が込められている。「アフター5でやってない。まさに就業時間中。だから『カフェ始めました』ってあっても入りにくい。嬉野さんっていう人は知っているけど、だからと言って入っていいのかという躊躇がある。けど、今の時代って知らないうちに、ずいぶん不寛容になったと思うんだよね。喫茶店って自分で判断して入るじゃない。会社内の会議室のはずなんだけどカフェって張り紙しておっさんが待っている。おっさんの顔は見たことあって話してみたいなって思っても、入るかどうかは自分で決めるしかない。そういう場を作るっていうのも意味があるかなって」。自ら動かなければ何も始まらないということをカフェを通じて伝えているという。

 HTBも懐が深い。嬉野Dは勝手にカフェをオープンさせたが怒られたことがないという。「さすがに怒鳴りに来るかと思ったらなかったね。やってみるもんだね。やって怒られたら止めるってことで、たぶん間に合う気がしたよ」としてやったりの表情。続けて「どうでしょうのDVDが相当売れている。あれで、相当現金を会社に入れている。何が働いていることかって考えると、会社でコーヒーを入れることが会社内のコミュニケーションの活性化という狙いであればサボっているわけではない」と、いかにも“どうでしょう”な理論で正当性を主張した。肝心の会社内の雰囲気の変化については「それはわからない。自分が当事者だから」としつつも「いっつも会議室のドアが開いて、おっさんがいてコーヒーの匂いがする。それが叱られていないっていうのは、ちょっとしたのんきな気分になるかな」と胸を張った。

 自身のカフェ経験も踏まえて「勝手に思いつくってことをやってほしいですね。やってみたいと思うことをしてほしい」と呼びかける。「今の時代だからではなく。それがオレは人類のためになると思う」。7年半の悩みから開放されて得た鳥の目を使い年齢に関係なく挑戦する意義を嬉野D目線で語った。

 5月25日に発売した著書『ぬかよろこび』は、前作『ひらあやまり』(KADOKAWA刊)から約2年ぶりとなる珠玉のエッセイ第2弾。うれしー流・人生哲学書といえる内容で、前作で好評を博した“うれしーミニグラビア”も収録される。嬉野Dは「僕は作家じゃない。普通に生きてきた人が体験した中から感じたことを書いている。今回は短いエピソードがいっぱい並んでいて、自分にも覚えがあるような親しいできごとばっかり」と魅力を語った。

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  • 著書『ぬかよろこび』について語る嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.
  • 著書『ぬかよろこび』について語る嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.
  • 著書『ぬかよろこび』について語る嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.
  • 著書『ぬかよろこび』について語る嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.
  • 著書『ぬかよろこび』について語る嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.
  • 著書『ぬかよろこび』について語る嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.
  • 著書『ぬかよろこび』について語る嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.
  • 著書『ぬかよろこび』を持つ嬉野雅道ディレクター (C)ORICON NewS inc.

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