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NHK『きょうの料理』、レシピを伝えて60年 “編集なし”のこだわり

 NHKの料理番組『きょうの料理』が1957(昭和32)年11月4日の放送開始から今年で60周年を迎える。毎日の食卓をより豊かにするレシピと、その作り方を紹介し続けてきた。放送開始当時、映像は白黒で、もちろん生放送だったわけだが、“事前収録”するようになった現在も本番収録は一発勝負。名物講師の一人、料理研究家の土井善晴氏は「編集しないんです。リハーサルをしっかりして、本番はぴしゃっと撮り切る」と証言する。そのライブ感が、60年愛され続けた秘けつの一つであることは間違いない。

(左から)後藤繁榮アナウンサー、土井善晴氏 (C)ORICON NewS inc.

(左から)後藤繁榮アナウンサー、土井善晴氏 (C)ORICON NewS inc.

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 土井氏といえば、伝説の「塩むすびの回」が有名だ。2014年10月30日に初放送された同番組で、土井氏は和食の原点「塩むすび」をメニューとして取り上げた時も本番一発勝負だった。土井氏は「鍋の“吹き替え”と言っているのですが、10分煮込んだ状態の鍋が用意されてそれにスイッチしていくようことも極力なくしたい。レシピの行間みたいなところ、鍋の中の変化をじっと観ているのも楽しい」と語る。

 同番組は、当初、総合テレビで月曜から土曜の週6回、10分間の番組だった。当時の材料の基本は5人分。その後、核家族化を反映して1965(昭和40)年に4人分に、2009(平成21)年からは2人分へと変化。現在はEテレで月曜から木曜の週4回、午後9時から9時25分に放送されている(Eテレ、総合で再放送あり)。

 レシピも常に時代を反映、あるいは先取りするようなメニューを紹介してきた。昭和30年代は、戦後の食糧難を脱し、欧米の生活スタイルへのあこがれが芽生えた時期で、本格的な西洋料理を家庭向きにアレンジしたメニューを積極的に紹介。昭和40年代は、村上信夫氏や陳建民氏など一流の料理人のレシピが人気を集める一方、「おせち料理」など昔ながらの食の基本を取り上げるように。

 昭和50年代には、“成人病”という言葉が生まれ、今で言う“生活習慣病”対策を意識した食事の企画が大ヒット。料理研究家による本物志向のメニューも人気を集めた。昭和60年代以降は、忙しい人のためのスピード料理が多く登場するようになり、特に平成に入ってからは中食・外食の充実もあり、家庭での料理離れが指摘されるなか、手作りの楽しさや伝統的和食の知恵などを紹介するようになり、現在にいたっている。

 父・勝氏も同番組の講師の一人で、親子2代にわたって料理を伝え続けている善治氏は、番組が始まった年の2月生まれで、ほぼ同い年。幼い頃から父と一緒にスタジオに行き、見学していたという。「同じ名前の料理でも、父の時代とは作り方、番組で紹介する狙いも相当変わっている。昔、基本だと言われたことが、今はどちらかと言えば必要なかったり。煮崩れないようにひと工夫加えていたものが、いまでは煮崩れしても手間を省いたほうが受け入れられる。皮だって、むかないほうが栄養価も高くていいこともある」と時代の変化を見つめる。

 「若い人たちが『普通においしい』というのは言い得て妙。高級食材だけでなく、日常の中にもおいしいものはたくさん。そういう食の真実伝えていくことが、家庭料理の存在意義を理解すること、価値を知っていただくことにつながると思っています」と、番組にかける思いを語っていた。

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  • (左から)後藤繁榮アナウンサー、土井善晴氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 土井善晴氏 (C)ORICON NewS inc.
  • 後藤繁榮アナウンサー (C)ORICON NewS inc.
  • NHKの料理番組『きょうの料理』60周年取材に出席した(左から)後藤繁榮アナウンサー、土井善晴氏 (C)ORICON NewS inc.
  • NHKの料理番組『きょうの料理』60周年取材に出席した土井善晴氏 (C)ORICON NewS inc.
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