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横山だいすけ、自然体で駆け抜けた9年間「窮屈だと思ったことは一度もない」

 1959年から続く子ども向け長寿番組『おかあさんといっしょ』(NHK・Eテレ)で、9年間にわたり“うたのお兄さん”として親しまれてきた横山だいすけ。4月1日の卒業とともに“だいすけロス”が巻き起こり、始めたばかりの公式ブログにはあっという間に10万人以上の読者が集まった。子どもばかりか、世のママたちからも絶大な人気ぶりの彼。今だから言える“だいすけお兄さん”のリアルな心境と、その素顔を語った。

だいすけお兄さんとして9年間親しまれてきた横山だいすけ (C)oricon ME

だいすけお兄さんとして9年間親しまれてきた横山だいすけ (C)oricon ME

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◆50周年記念コンサートで感じた「いつかは終わりがくる」

 4月1日放送の島根県益田市のファミリーコンサートで卒業を迎えた横山だが、「実はそれまで自分の言葉をありのまましゃべることって、ほとんどなかった」という。最後までステージで何を言うかを迷い、「公演に向かう前日、(三谷)たくみお姉さん(2016年4月2日卒業)の最後のコンサート映像を観て、参考にしました。ここまで続けることができたのは、いろんな方々に支えてもらったお陰なので、それを思い返したりしましたね。そういったことが自分の言葉として出せたらいいなと思っていたら、本番当日は自然にお別れを言うことができました」と、当時の心中を明かす。

 惜しまれつつステージを去った横山だが、卒業を意識したのは意外にも早かった。それは、彼が“うたのお兄さん”になって2年目で迎えた、2009年の50周年記念コンサート。歴代の先輩たちと共演したことで、漠然と「いつかは終わりがくるものなんだ」と感じたという。高校2年生のときからうたのお兄さんを目指し、劇団四季でのミュージカル出演を経て、長年の夢を実現した横山。長く活躍する中で、昨年たくみお姉さんが卒業した際には、「僕が番組に残せるものはなんだろう」と、より自身のあり方を意識するようになったそうだ。

◆「多くの思い出や楽しさを」、変顔もコスプレも子どもたちのため

 子どもたちばかりか、母親たちからも絶大な人気を誇った“だいすけお兄さん”。大人をも惹きつけた要因は、彼がさわやかで明るい“うたのお兄さん”であるだけでなく、ある意味シュールともいえるほどのパフォーマンスと表情を見せたことだろう。「かっぱなにさま? かっぱさま!」や「イカイカ イルカ」などの人気曲では、その仮装や変顔が話題を呼んだが、「台本に“変顔”と書かれていて、最初は“えっ?”って思ったんですよ」と笑う。

 「でも、子どもたちの反応をよく見ていたら、変顔にもすごく喜んでくれていて。そういうふうに、面白い顔やコスプレをするのもアリだなって思ったんです。勇気を出してスタジオのような慣れない場所に来てくれた子どもたちに、ひとつでも多くの思い出や楽しさを味わってもらいたいというのもありました」。

 すべては子どもたちのため。面白さだけでなく、彼の子どもに対する真摯な考え方が、“だいすけお兄さん”の魅力のベースとなっているのだ。

◆男性らしさを抑え、「妖精みたいに中性的な雰囲気でいる」

 そんな横山が、出演中にもっとも気を付けていたのは“男性らしさ”を出さないことだったとか。
 「3歳とか4歳の子って、やっぱりお母さんといる時間が長いので、女性のほうが親しみやすいみたい。最初の頃、大人の男性っぽさを出すと、子どもたちが引いてしまう瞬間もあったんです。だから、妖精みたいに中性的な雰囲気でいるようにはしていました」。

 とはいえ、9年もの間、子どもたちのイメージを崩さないよう振舞うのは大変なことのように思う。そう尋ねると、「そういったことはあまり感じたことはないですね。ありのままの僕をみなさんが受け入れてくださった気がします。もちろん、先代のお兄さんから代替わりしたとき、最初は僕に慣れてもらうことに悩んだことはありました。でも、“うたのお兄さん”であることで、プライベートが窮屈だと思ったことは一度もないかなぁ」と一笑。たしかに、取材中も笑顔を絶やさずサービス精神たっぷりな横山は、“だいすけお兄さん”そのもの。彼は無理することなく、自然体で長い年月を走りきったようだ。

 私生活も穏やかなもので、「番組でご一緒していた方たちからは、『おじいちゃんみたい』と言われていました」という。「家ではのんびり過ごしてますし、好きな散歩をしたり、自転車で海の方まで行ったり。お風呂も好きなので、銭湯に行くのが趣味と言ってもいいかもしれません」。

 ここまでの人気があるならば、外を歩けば子どもたちが寄ってきそうなものだが、街中でも銭湯でも、ほとんど気づかれることはないとか。「僕のことを夢の住人だと思っている子どもたちも多いんじゃないかな。僕は普通に電車も乗りますし、スーパーへも買い物へ行くんですが、街を歩いていても声を掛けられることもないです。こんなところにいるはずないって、“うたのお兄さん”を別次元の人間だと思っているからじゃないでしょうか」と、自らを分析する。

◆「子どもたちに歌を届けていきたい」、志は今後も変わらず

 この9年間で、横山が参加したCD、DVDなどの作品は、じつに60作品、128アイテム。6月7日にはアルバム『おかあさんといっしょ メモリアルPlus〜あしたもきっとだいせいこう〜』も発売される。

 「『おかあさんといっしょ』を観てくれてる子たちには、おなじみの曲もたくさん収録されたアルバムです。昨年のメモリアルDVD・CDとあわせて僕が過ごしてきた9年間が凝縮されていますので、ひとつの思い出として、子どもたちといろんな曲を聴いて、楽しんでほしいですね」。ちなみに個人的に好きな曲を聞いてみると、『あおうよ!』は、(小野)あつこお姉さん(2016年4月4日就任)とのスタートとなった曲なので、思い出深いですね。たくみお姉さんからあつこお姉さんに代わった瞬間を経験している子どもたちもいるので、出会いと別れを思い出す曲として聴いていただきたいです」と語る。

 6月1日から上演されるミュージカル『魔女の宅急便』にも出演する横山。「これからも子どもたちに歌を届けていきたい」という彼の志は、“うたのお兄さん”のときから変わることはない。形を変えて、羽ばたく彼の今後にも注目していきたい。
(文:今 泉)

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