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五木ひろし、船村徹氏の追悼作品で“恩返し”

 五木ひろしがニューシングル「わすれ宿」を、4月26日に発売した。2月に他界した作曲家・船村徹氏の追悼作品で、氏の作曲による表題曲(作詞は中山大三郎氏)は、38年前のアルバム『ひろしとギター(5)演歌』(79年)に収録されていた“隠れた”名曲だ。どんな思いで今作に挑んだのか? また先輩から託された“バトン”をどのように後進に繋げていきたいと感じているのか? 今、胸に抱く思いを五木に尋ねた。

■新たなアレンジで再レコーディング

 五木ひろしのニューシングル「わすれ宿」が、4月26日に発売された。2月に他界した作曲家・船村徹氏の追悼作品で、氏の作曲による表題曲(作詞は中山大三郎氏)は、38年前のアルバム『ひろしとギター(5)演歌』(79年)に収録されていた“隠れた”名曲だ。

 「同時期に作られた「おまえとふたり」がヒットしたことで、この曲はシングル化されずにいたんですが、「おしろい花」や「桜貝」がそうだったように、古びてしまうことのない名曲に、再評価の機会を与えられたことは良かったと思います」と話す五木に、船村氏によるオリジナル曲は多くはないが、その縁には深いものがある。

 「船村先生は、ヒットに恵まれなかった僕が、再起を賭けて出場した『全日本歌謡選手権』で審査員を務めていらっしゃいました。僕の師匠である上原げんと先生を慕われていたこともあり、ずっと推してくださっていたと、後に人づてに知りました」

 そうした恩義があればこそ五木は、別作品で進んでいたニューシングルの予定を切り替えて「わすれ宿」をリリースした。旅の宿を舞台にした、いわゆる不倫ものだが、淡彩のような表現が、はかなさと美しさを際立たせて深い味わいを生んでいる。

 「これまで常に手を抜かず、気を抜かず、ベストを尽くす中で、年齢とともに力の配分や表現の仕方を変えてきました。今回は、新たなアレンジで改めてレコーディングしましたが、30代そこそこだった最初の録音に比べれば、今の方がいい歌が歌えていると思います」と、五木も自信をのぞかせるように、魂を込めて“演歌”を作り続けてきた船村氏の作品に、今だからこその歌で新たな命を吹き込んでいる。

■今度は僕が経験や成長の場を提供する番

 そしてまたカップリングの「男の友情」も聴き逃すことのできない仕上がりである。

 「『全日本〜』の5週目に歌ったのがこの曲で、先生に『こんな難しい歌を選んだ勇気を買う』と言っていただきました。それ以降も何度も聴いては歌ってきた名曲を、自分のシングル作品として歌える幸せ、歌えたという喜びには本当に深いものがあります」

 「男の友情」は、「わすれ宿」よりなお古く、およそ60年前に作られたが、この作品もまた深い味わいを失うことなく五木の歌によって名曲としての輝きを増した印象だ。

 「先輩方にお世話になり、学ばせていただけたおかげです。流行歌の名曲を歌い継いでいくのは僕たちの大事な使命ですから、自分がしてもらったように、今度は僕が経験や成長の場を提供する番なんです」と、近年は自身の公演に若手を積極的にゲストとして招き、好評の『五木先生の歌う!SHOW学校』(NHK総合)や『日本の名曲 人生、歌がある』(BS朝日)などでの共演を通して、手本を示しアドバイスを行っている。

 「50代半ばに立ち上げたファイブズエンタテインメントは15周年を迎えることができました。たくさんの方々のご支援と、1つひとつの仕事に全力で取り組んできた成果だと思いますが、まだまだやるべきこと、やりたいことがあって忙しいので、歳を取っている暇がありません(笑)。これからも大好きな歌に命を注いでいきます」と見せる笑顔も活気にあふれ、ますますの活躍を期待させる。

 なお、5月24日には船村氏の追悼アルバムの発売、6月24日からは新歌舞伎座で坂本冬美を招いての座長公演が予定されている。

(文:永井淳/『コンフィデンス』17年5月1日号掲載)



関連写真

  • 五木ひろし
  • 「わすれ宿/男の友情」(4月26日発売/税込1300円)

提供元:CONFIDENCE

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