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『夜は短し歩けよ乙女』星野源から始まる「キャスティングの妙」

 俳優で歌手の星野源が、声優として主演する、劇場アニメーション『夜は短し歩けよ乙女』が7日より公開され、映画動員ランキング初登場7位と注目されている。森見登美彦氏の小説を『四畳半神話大系』に続いて湯浅政明監督がアニメ化。京都を舞台にどこかファンタジックな青春恋愛物語が描かれる。湯浅監督が「星野さんをはじめ、びっくりするくらい豪華で面白い方たちばかりが集まって下さった。キャスティングの時点で成功したと思いました」と語る自信作だ。

劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』を手掛けた湯浅政明監督 (C)ORICON NewS inc.

劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』を手掛けた湯浅政明監督 (C)ORICON NewS inc.

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 主人公“先輩”のボイスキャストを星野に依頼したのは、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)の放送が始まる少し前。湯浅監督は「企画会議で、主人公の先輩の声は誰がいいと思うか話し合っていたとき、星野さんの名前が出た瞬間、その場にいた全員が『いいね』『いいね』とひとつになって盛り上がったんです。星野さんのパーソナリティー、歌も歌えて、お芝居もできる、すべてが先輩役にぴったりだと思いまいした。その時の盛り上がりと、『星野さんが出てくれたら絶対に面白くなると思います』という思いを手紙に書き、オファーしました」。

 湯浅監督が抱いていた星野のイメージは、彼の代表曲でもある「ばらばら」の楽曲とともにあるという。「『あの世界とこの世界 重なりあったところに たったひとつのものがあるんだ』という歌詞が大好きで。自分も大学時代にあの曲の歌詞のようなことを思ったなぁ、って。『四畳半神話大系』の第5話(理想の黒髪の乙女「小日向さん」に会いたい一心で怪しいサークルの活動から抜けられず、さらに怪しいセミナーに巻き込まれそうになるエピソード)を作っていた時も、『ばらばら』を思い浮かべながら作っていたこともあったんです」。

 星野の出演が決定した後、“先輩”が思いを寄せるヒロイン、“黒髪の乙女”を花澤香菜が演じるほか、学園祭事務局長に神谷浩史、パンツ総番長に秋山竜次ロバート)、樋口師匠に中井和哉、羽貫さんに甲斐田裕子(『四畳半神話大系』と同じ)、古本市の神様に吉野裕行(『四畳半神話大系』では小津の声)、ゲリラ演劇の舞台監督・紀子さんに新妻聖子、ニセ城ヶ崎に諏訪部順一(『四畳半神話大系』では城ヶ崎マサキの声)の出演が決まり、「キャスティングの妙でさらに面白くなったと思います。皆さんのお芝居がキャラクターにぴったりハマっていたのと、それぞれが持っていらっしゃる良さがちゃんと乗っかっている感じがして、アフレコ作業もとても楽しかった」と湯浅監督。

 『夜は短し歩けよ乙女』は、クラブの後輩である“黒髪の乙女”に思いを寄せる“先輩”が、「なるべく彼女の目にとまる」ナカメ作戦を実行する日々を送っていたところ、とある夜の京都の街で、不思議な事件に巻き込まれていく。外堀を埋めることしかできない“先輩”の思いはどこへ向かうのか…、というストーリー。

 湯浅監督は「自分に自信がなく一歩を踏み出せない“先輩”が、なんでも楽しみ、結果を恐れずどんどん扉を開く“乙女”に振り回されながら、今の自分から解放され乗り越えていく勇気を持つまでのお話。星野さんが、感情を込めて先輩の気持ちを叫んでいただいたおかげで、主人公の気持ちがより伝わるようになったと思う」。

 原作のゲリラ演劇のシーンをミュージカルにした演出も画期的で、キャスティングが生かされている場面でもある。「アニメで劇中劇を表現するのはなかなか難しいのですが、原作ファンの方には人気があるパートですし、みんなで即興で歌ったものを元にコンテを書いて、そんな雰囲気で作曲家の方にちゃんとした形にしていただきました。なので、ボイスキャストを選ぶときも、歌える方にしたいという思いもありました。映画ならではの楽しいシーンになっていると思います」。

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  • 劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』を手掛けた湯浅政明監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 劇場アニメ『夜は短し歩けよ乙女』(公開中) (C)森見登美彦・KADOKAWA/ナカメの会

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