「しゃべればしゃべるほど、浄化されていくというか、気持ち良さがあるんですよね。これは何なのかな…自分の言葉でしゃべっているからでしょうね」。3日深夜、東京・有楽町のニッポン放送でラジオ番組『菅田将暉のオールナイトニッポン（ANN）』（毎週月曜　深1：00）のレギュラー初回を終えた、俳優の菅田将暉（24）は屈託なく笑っていた。今年で50周年を迎えるANNの目玉企画のひとつとしてスタートした同番組だが、菅田をきっかけにラジオに触れるリスナー、ラジオ好きともに聞き心地の良い内容になっていた。

　番組冒頭、菅田は落ち着いたトーンで語りかけた。「ラジオって、やっぱり人間そのものなんじゃないかって思った。菅田将暉という人間が、ラジオの前のあなたという人間とつながる。出演者は僕とあなた…人間・菅田将暉劇場、開演です！」。その後、ANNおなじみのテーマ曲「BITTERSWEET SAMBA（ビタースウィート・サンバ）」が流れると「最初、決まりましたね！オールナイトニッポン史上一番カッコいい語りから始めようということでやってみたんですけど、深そうなこと言っていて、中身ゼロですからね」と意図を明かした。

　初のラジオレギュラー、その上“ひとりしゃべり”ともなれば、緊張で上手くいかない部分もありそうだが、そんな心配は杞憂に終わるほど淀みのないトークで魅了。番組中盤にはradikoのタイムフリー機能を紹介するために、菅田自らがパソコンを使って同番組の冒頭部分を聞き直す場面や、同番組をSNSで盛り上げていくために「#（ハッシュタグ）」の後の文言をどうすれば良いかという話題で、大喜利のようなやりとりでリスナーと盛り上がるなど、若者を中心とした新規層開拓を意識した試みも見られた。

　一方で、大阪出身らしくリスナーからのイジりにテンポ良くツッコミを入れながら笑いを生み出していく“関西弁”全開のスタイルは、深夜ラジオと抜群の相性。菅田の切れ味鋭いツッコミにスタジオは何度もどっと沸き、ネット上でも「低音ボイスの関西弁、最高！」「菅田くんの生関西弁、めっちゃ心地良すぎる」「関西弁さく裂してる！かわいすぎてヤバい」など絶賛の声で相次いだ。あっという間に2時間を喋り倒し、エンディングを迎えると「最高の船出になりました。これからも一生懸命やっていきたいと思います」と締めくくった。

　記念すべき初回終了後、ORICON NEWSの取材に応じた菅田は「きょうは、失敗も含めて全部やれることはやっていたかなって感じです」と手応えをにじませ、関西弁の反響についても「意外と関西弁で話すことも少ないですし、僕が大阪の人って知らない人もたくさんいるので、この時間だけの、居心地のいい場所にしたいですね」とにっこり。リスナーとの生のかけあいも、いい刺激になったという。

　「いやー言うてもひとりでしゃべるんでね、読んで受けてツッコんで乗ってっていうのが何か楽しいですね。これがもっと上手くなったら、もっと楽しくなるんやろうなっていう、やればやるほど。何かメールの痛いとこ突いてくる感じが、いい感じに腹立ちますし、面白かったですね（笑）」。

　もちろん、初心者ゆえの“課題”も見つかった。「今後の目標は…聞いている人も単純に菅田将暉っていうことを忘れて、楽しめるものにすること、そして僕自身も落ち着ける場所にすることっていう2つですね。あとは、噛まずにしゃべること（笑）。まだ言いたいことと、口が追いつかないんですよね。これがエラいもんで、当面はしゃべりたいようにしゃべれるようにすることっていうのが目標です」。同番組が、等身大の菅田将暉に触れることができる貴重な場所となる。

　これまで同時間帯で放送されていた歌手・俳優の星野源（36）のANNは、4日深夜の放送から火曜枠へ移行し、これにより今をときめく人気俳優2人による豪華リレーが実現。裏番組のTBSラジオの同時間帯の「JUNK」は、月曜日は伊集院光（49）、火曜日は爆笑問題のリレーが圧倒的に支持され、どちらも20年以上続く強力な体制を築いてきた。旬の俳優リレーと深夜ラジオの帝王リレー、いい意味で対照的な顔ぶれがそろい、この春から深夜ラジオがますます面白いものになりそうだ。