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NHK&フジ、ヒットプロデューサーが考える「理想のお笑い番組」とは

 時代の流れとともに変貌する「お笑い番組」。その“変化”は、制作陣に「こんな番組を作ったら面白そう」というひらめきを与えると同時に、理想の番組作りがなかなか実現できない歯がゆさも与えている。このほど、『オンバト+』などのプロデュースで知られるNHK・松井修平氏、『爆笑レッドカーペット』などを手がけてきたフジテレビ・藪木健太郎氏、両プロデューサーによる“局の垣根を超えた”対談企画が実現。両局を代表するヒットプロデューサーが、理想のお笑い番組について語った。

左から、松井修平氏(NHKエンタープライズ 制作本部 エンターテインメント番組 エグゼクティブ・プロデューサー)、藪木健太郎氏(フジテレビジョン 制作局 第二制作センター ゼネラルプロデューサー)

左から、松井修平氏(NHKエンタープライズ 制作本部 エンターテインメント番組 エグゼクティブ・プロデューサー)、藪木健太郎氏(フジテレビジョン 制作局 第二制作センター ゼネラルプロデューサー)

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◆お笑い番組作りに重要なのは品の良さ

 今回の試みは、総合トレンドメディア「ORICON NEWS」が実施した異色の対談企画。Web番組として現在、YouTube公式チャンネル「オリコン芸能ニュース」上にて公開している。

 番組は「コント番組が減っている現状」をテーマにスタート。冒頭から「フジテレビさん何をしているんですか」と、松井氏からの厳しい発言が飛び出したが、フジテレビの番組に影響を受けコント番組のディレクターを目指したという松井氏の温かな叱咤だったことが後に判明。それを受けた藪木氏は、制作に時間も予算もかかるコント番組をゴールデン帯で実現できない歯がゆさを吐露しながらも、現場の士気や能力は衰えていないことを伝えた。また、コント番組が独自に持つ制作技術の継承や制作にまつわるエピソード、TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』への複雑な心境も明かされ、バラエティに富んだ内容となった。

 対談ではBPO問題にも触れた。両者とも「お笑い番組作りには品の良さが重要」と口をそろえ、そのために番組制作で意識していることについてこう話した。

 「「出る人も楽しく、観る人も楽しく、作る人も楽しい」が自分の理想の番組。これを目指し番組を作っていれば、そんなにおかしなものにはならない。芸人さんが変な身の削り方をしたり、ただ損をするだけのようなやり口だけはしたくないですね」(藪木氏)

 「例えばあざ笑ったりするような、観ていていやーな気持ちになる番組。そういう醜い笑いは絶対にやりたくない。観た人が泣き笑い、爆笑することを考えた番組作りを日々心がけています」(松井氏)

◆若者のテレビ離れを阻止、必要なのは「面白さ」の追求

 さらに、ネット動画の台頭と若い世代のテレビ離れについて「10月に「MIPCOM」に行ってきたが、若い人たちがテレビ番組を観ず、スマホの縦型画面ですませているのは全世界的に同じ。その子たちにテレビに戻ってきてもらうには、「テレビ面白いぞ」を追求するしかない。実は今、そんな企画を考えているところです」と松井氏。

 藪木氏は、「番組をテレビ画面で観てもらうことよりも、ソフトとして捉えてもらいビジネスとして成立しないと今後は厳しいと考えます。また、何度も観るに耐えるもの、「これだったらお金払えるよね」という番組を作っていかないと、コントやネタ番組は作る場がなくなっていくかもしれないという危機感があります」とコメントするなど、「お笑い番組」に対する両者の熱意と危機感、真摯な想いが率直に語られた。

【プロフィール】
■松井修平氏(NHKエンタープライズ 制作本部 エンターテインメント番組 エグゼクティブ・プロデューサー)
 65年生まれ。94年、NHK入局。エンターテインメント番組部に配属され『クイズ 日本人の質問』や『コメディー お江戸でござる』などを演出。広島局を経て10年に同部異動。『松本人志のコントMHK』、『オンバト+』、『バナナマンの爆笑ドラゴン』、『笑けずり』などで企画・プロデューサーを担当。

■藪木健太郎氏(フジテレビジョン 制作局 第二制作センター ゼネラルプロデューサー)
 71年生まれ。95年、フジテレビ入社。照明部を経て02年よりバラエティ制作に異動。『爆笑レッドカーペット』、『爆笑レッドシアター』を演出。『爆笑ヒットパレード』、『うつけもんシリーズ』、『THE MANZAIプレミアマスターズ』、『ENGEIグランドスラム』、『笑わせたもん勝ちトーナメント KYO-ICHI』などで演出・チーフプロデューサーを担当。

(コンフィデンス 17年1月16日号掲載)

提供元:CONFIDENCE

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