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“視聴者撮影”動画と向き合うテレビ局 フジ・ネット取材部の場合

 ニュースや情報番組で使用されている映像や写真に「視聴者撮影」と記載されていることをよく見かけるようになった。

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 昨年6月末、フジテレビ報道局に「ネット取材部」が新設された。社会部、政治部、外信部など取材を行う部署がひとつ増えた形だ。YouTubeやツイッターなど、インターネットのあらゆる機能を活用し、同局のニュース・情報番組に必要な情報及び映像の収集を専門的に行う部署。開設から半年で122件、各種番組に素材を提供することができたという。部長の久永一成氏に同部署としての展望を聞いた。

 久永氏は、昨年20周年を迎えたフジテレビ系列28局が提供するニュースサイト「FNNニュースcom」の立ち上げから携わっており、同局のネット周りを熟知している人物。ちなみに、2016年は「Yahoo!ニュース」も20周年。今年は、楽天が創業20周年、ポータルサイト「エキサイト」が運営20周年など、ネット界が節目を迎えている。

 「FNNニュースをやっていく中で、当初から少なからず視聴者からメールでタレコミ情報が寄せられることもありましたし、携帯電話が進化するに従って事件や事故などの現場を動画や写真で撮ったという人からの問い合わせが増えてきました」。

 大きな契機となったのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災。津波が街を飲み込み、家が流されていく様子を撮影した動画が数多く、YouTubeなどに投稿された。当事者でしか撮影できない生々しくて衝撃的な映像は、「津波の恐ろしさを教訓として伝えるため」という目的でテレビの震災関連番組でもよく使われた。

 その後、テレビ各局が始めたのが、スクープ動画を募る投稿アプリ&サイト。フジテレビでは13年7月に「FNNビデオPost」をスマートフォンアプリとPCサイトに開設した。さらに、15年1月、ツイッターに動画投稿機能が登場したことで状況が変わっていく。

 「スクープ動画の投稿を待っているだけでなく、ツイッターに投稿されている動画を番組で使いたいというニーズが局内から出てきた。実際、事件・事故の発生からカメラマンが現場に到着するまでにタイムラグが生じる。現場近くにいた人が決定的な瞬間を撮影した映像があるなら、そちらを番組で使いたいと思うのは自然なこと。動画投稿者とのコミュニケーションを素早く、円滑にするためにも、数年前から専門部署の必要性を感じていました」。

 ネット取材部では、日夜、ニュースになる動画を見つけ出し、撮影者(投稿者)と直接コンタクトを取って動画の使用許可を得るだけでなく、“誤報”“放送事故”を防ぐために、報道できる内容かどうかの裏付けを取ったり、動画の内容が正しいと判断できる情報を集めたり、といった“取材活動”を行っている。

 「ツイッターに投稿されている動画の場合は、まずツイッターを介してコンタクトをとることになるのですが、慎重に言葉を選んで協力を呼びかけるようにしています。全く相手にされないこともたまにありますが、快く使わせてもらえることの方が多くなってきています」。

 その後は、フリーダイヤルを使って電話で会話し、裏取りをする。「相手の状況を把握しきれないこともあって難しいですね。例えば、災害時の場合は投稿者が被災者でもあり、携帯電話のバッテリーもいつなくなるかわからない状況下でツイートしている人もいらっしゃる。身の安全の確保が最優先ですし、そのような状況下で長々と裏取り確認の電話をしているわけにもいかない。何より、よりインパクトのある映像を撮りに行く人が現れて、新たな被害に巻き込まれてしまったら元も子もない。そういう危うさと隣合わせでもあります」。

 開設から半年、試行錯誤は続いているが、「デジタルツールを使いながらも、実はアナログで人間的な原点に立ち戻らされる。ひとつの動画をきっかけに、投稿者と私たちがツイッターや電話を介してではありますが、向き合ってコミュニケーションが生まれるところにやり甲斐を感じています。本当に微力だと思いますが、フジテレビやFNN系列局に愛着をもってもらえたら、うれしい。ネット取材部の活動を軌道に乗せていきたいと思っています」。



関連写真

  • フジテレビ・報道局ネット取材部の皆さん (C)ORICON NewS inc.
  • 部長の久永一成氏(C)ORICON NewS inc.
  • フジテレビ・報道局ネット取材部 (C)ORICON NewS inc.
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