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高畑充希、朝ドラで学んだ主演の難しさ「主役は受け身。持ち玉を全力で投げる脇役との違い」

 2016年はNHK朝ドラ『とと姉ちゃん』(NHK総合)の主演をはじめ、これまで以上にエンタテインメントシーンでの存在感を放っていた高畑充希。数多くの舞台に立ち、これまでにも経験を積み重ねてきている高畑だが、昨年はそれまで多かった3番手、4番手という役位置から、主役という場所へと移行しつつある転機の1年でもあったようだ。そんな高畑が現在の自身のポジションに向き合いながら意識の変化を語ってくれた。

2016年の女優転機を語る高畑充希「朝ドラ前はネームバリュー的に主役は無理だった」(写真:逢坂 聡)

2016年の女優転機を語る高畑充希「朝ドラ前はネームバリュー的に主役は無理だった」(写真:逢坂 聡)

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◆朝ドラは「こんなキツいことは一生ないかも」というぐらいキツい時期も

――高視聴率をキープしていたことでも話題になっていましたが、半年間の朝ドラ『とと姉ちゃん』出演を経て、身の周りで変わったことはありました?
【高畑充希】 「忙しいでしょう?」と言われるようになりました(笑)。でも実際、あまり忙しさは変わっていないかもしれません。とくに、ここ3年は怒涛のように時間が過ぎていきました。

――ひとりの女性の一代記を演じる朝ドラでは、今までの作品になかった感触も?
【高畑充希】 単純にスケジュールがすごくて(笑)。演じることももちろん大事ですけど、ドラマで初座長だったので「現場を良い空気に」というのを一番気にしていました。私、そんなに明るくないので(笑)。風通しが良い現場になればと思いました。無理に我慢して「平気です」とは言わず、疲れたときは共演者とふざけたりもして。

――キツい時期もありましたか?
【高畑充希】 ありました。「こんなキツいことは一生ないかも」というぐらい。でも、ヒロインはみんなそうだったと思います。体や心を削りながら挑戦する作品だと思います。

――高畑さんの場合、キツさはどんな形で出たんですか?
【高畑充希】 台詞をただ覚えてしゃべる自分が悲しくなりました。台本5冊分ぐらいを一気に撮っていて、前後もバラバラで、たとえば居間での食事シーンをまとめてガーッと撮ると、自分が何をやっているのかわからなくなるときがあるんです。考える時間が作れず、台詞が自分の体を通る前に、途中で口から出ていく感じ。でも、出さなきゃ進まない。自分に対するストレスがすごくありました。朝ドラヒロインは、強くなるための修行でしたね。

――女優として、何か新たな扉が開いたような感覚もありました?
【高畑充希】 受け身に徹する難しさと大事さを知りました。私は映像ではあまり主役をやったことがなくて、3番手や4番手のときは自分の持ち球を全力で投げていて。それが朝ドラのヒロインだと、個性的な役者さんたちが私にどんどんボールを投げてくるんです。そこで受けることに徹するのはとても難しくて。

――主役は引っ張るイメージがありますが、受け身なんですね。
【高畑充希】 いろいろな人がいろいろな球を自由に投げてくるのを、ただ受けるもどかしさと大切さ。自分も受けてくれる人がいるから投げられたんだと、当たり前のことに気づいて、主役ってすごい仕事なんだなと思いました。

――つい自分から投げたくなるとか?
【高畑充希】 受けるより投げるほうが今まで多かったので。でも、どっちもできる人になりたいと思いました。今やっているミュージカル『わたしは真悟』でも、キャラが立った役というよりは受けに徹する役で。すごく難しいけど、朝ドラでの経験が生きている気がします。

◆周りの環境が変わっていくなかで自分が変わらないこと

――『わたしは真悟』は1月に東京公演があり、4月にも舞台『エレクトラ』に出演されます。朝ドラ終了後のヒロインは勢いに乗って民放の連ドラに出ていくパターンが多いようですが、高畑さんは次が舞台になったのはご自身の意向ですか?
【高畑充希】 私が希望しました。朝ドラをやる前からお願いしていて。舞台はずっと出続けていて、1年も間が空いたことがなかったので、朝ドラが終わったら絶対に舞台をやりたくなると思って。

――朝ドラヒロインを経ても、以前に話されていたように「ホームは舞台」という想いはありますか?
【高畑充希】 もちろんあります。自分自身が舞台ファンだから。映画やドラマより、舞台を観るほうが多くて。好きだから観たいし、やりたいだけなんです。あと、自分の周りの環境が変わっていくなかでも、舞台は稽古場に入れば平等。主役とか関係なく、みんなで力を合わせて作る。そこがすごく好きなんだと思います。

――『わたしは真悟』は門脇麦さんとのW主演で、同世代で実力のある女優さんとの掛け合いは刺激になります?
【高畑充希】 めっちゃ楽しいですね。通じ合える人とお芝居するのは。自分ひとりで行けるところは知れていて、相手がいてエネルギーをもらって返すことで、想像より先まで行けます。とくに同世代女子とやると刺激を受けるんですけど、そういう作品って意外に少なくて。でも、月9の『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』とか昨年の『問題のあるレストラン』(ともにフジテレビ系)とか、ここ最近は同世代と絡む作品が続きましたね。

――『問題のあるレストラン』の二階堂ふみさんとやり合うシーンは緊迫感がすごくて。剣の達人同士が立ち合うような空気も感じましたが、役者として勝負する意識も?
【高畑充希】 それはないです(笑)。作品が良くなるのが一番だから、勝負してる場合じゃない!って。ふみちゃんとああやってガッツリやれたのは本当に楽しかったです。

――4月の『エレクトラ』はギリシャ悲劇で、重厚感ある作品ですね。
【高畑充希】 古典舞台は一度は通らなきゃいけない道なので、「来たか」と思いました。もともと私は15歳の頃から白石加代子さんに憧れていて、それを覚えてくださっていた白石さんが直接声を掛けてくださったんです。そこで「やります!」と言ってしまって、その後に作品が決まって「ヤバイのが来たな……」と(笑)。ギリシャ悲劇なんて思っていなかったので。

――もう台本は上がっていて?
【高畑充希】 はい。読んで白目になりました(笑)。ほかの人がやるとしたらかわいいそうと思うぐらいのセリフ量で、ずーっとしゃべっていて、ずーっと恨んでいて。恐ろしいですよ(笑)。でも、きっと「ここでひとつ壁を越えろ」ってことなんでしょうね。

◆朝ドラの前はネームバリュー的に主役は無理だと思っていた(笑)

――3月公開の『ひるね姫』では、アニメ映画の声優に初挑戦ですね。主題歌「デイ・ドリーム・ビリーバー」もキャラクターの森川ココネ名義で歌っていて。今年は歌の活動も増えそうですか?
【高畑充希】 どうでしょう(笑)。ミュージカルで歌うのはお芝居と同じくらい大好きですけど、なかなかそんなに器用に全部できないので。今回は好きな曲だったので歌いたいと思いました。

――今回はキャラクターとして、歌い方もいくらか変えたり?
【高畑充希】 歌い方自体はとくに意識しませんでした。ただ、役としてマッチさせていくと、曲がぜんぜん違う見え方がしておもしろかったです。

――連ドラにもまた出演されるでしょうけど、そっちでも主役をガンガンやりたい気持ちはありますか?
【高畑充希】 ぜんぜんないです。主役向きの性格ではないと思うので。ただ、自分が変わって環境が付いてくるときと、環境が変わって自分が付いていくときがあるから、もしかしたら主役でいられる人になれるのかもしれないと、ちょっと期待もあります。朝ドラの前は、私のネームバリュー的にも無理だと思ってましたから(笑)。

――今はネームバリューも十分です。
【高畑充希】 やっと地方の人にも知ってもらえるようになってきたかな。でも、正直あまり実感はなくて。一番の希望は主役も端役もどっちもできることですね。主役であろうがなかろうが、おもしろそうな役なら何でもチャレンジしたいです。
(文:斉藤貴志)

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