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SMAPベストついに発売、唯一ライブで歌っていない曲とは

 様々な角度からSMAPに迫る連載番外編。ファン投票により収録曲が決まったベストアルバム『SMAP 25 YEARS』を元に、毎回、彼らの音楽を紐解いてきた。ついに同作が発売された今、この“作品”と、それを取り巻く動きから見えたものを考えたい。そして、唯一ライブで披露されていない1曲とは――。

◆稲垣がベストアルバムについて言及、各メンバーらしい“伝え方”

 「いろんな思いがありますけれど、こういう結果を見るのが楽しかったですし、皆様の気持ちが伝わってきました。一緒に作るコンプリートアルバムという感じ」

 12月21日のラジオ『おはようSMAP』(TOKYO FM)で、SMAPのメンバーとしては初めて、稲垣吾郎がベストアルバム『SMAP 25 YEARS』の内容に言及した。ファンのリクエストで決定した50曲は、ランキングの上位をアルバム曲とカップリング曲が占め、11月上旬に収録曲が発表されると、SMAPのシングルを持たない層からは、「2001年の『Smap Vest』以降のシングル曲を収録したシンプルなベストも欲しかった」などの声も聞こえた。デビューから25年、SMAPのアクションには、常に“賛否両論”が付きまとう。でも、「STAY」は紛れもない名曲だし、それが1位に選ばれたアルバムをメンバー自身が、“一緒に作った”ように感じたと言ってくれたことは、稲垣らしい“本音”の伝え方だと思った。

 一見、当たり障りがないようでいて、ちゃんとメンバーの“真意”を伝える。これが中居正広木村拓哉の発言だったら、勝手に深読みされてしまうだろうし、草なぎ剛香取慎吾は、自分がグループの活動に対して、(それがどんなに些細なことでも)“口火を切る”立場にないことを自覚している。でも、稲垣の場合は、「僕のソロ曲は入りませんでした」などと自虐ネタをちょっとだけ挟みつつ、飄々としたスタンスで、さらりと思いを伝えていた。そういえば、夏の解散発表後、映画の完成披露で最初にマスコミの前に姿を現したのも稲垣だった。つくづくSMAPのチームワークはすごい、と思う。2016年の初めに、“今年は踏ん張る”と宣言した中居、“自分にできるやり方で、SMAPを守る”という信念のもと、要所要所でファンへの感謝を伝える木村、雑誌の取材でファンへの思いを口にする草なぎ、「世界に一つだけの花」がトリプルミリオンを達成後の『SmaSTATION!!』(テレビ朝日系)で、(もちろん単なる偶然かもしれないが)花柄のスーツで登場した香取。メンバーそれぞれのやり方で、ファンとコミュニケーションを取っているように見える。

◆ファン投票で決まった曲は稀代の表現者への恋文、パッケージも含めた作品に

 さて、ついに発売されたベスト盤の話に戻ろう。ずっと楽しみにしていたベスト盤には、配信ではない“盤”ならではのワクワクが詰まっていた。ぴったりCDジャケットサイズに畳まれた(おそらくA1サイズの)ポスターの片面には過去のジャケット写真が、アザーカットも含めてずらりと並び、裏にはリリースデータやコンサートツアーのスケジュール、アルバム、シングル、ライブビデオ、DVD、Blu-rayのジャケットが、グレーのインクで印刷されている。SMAPが歩んだ25年が、写真とデータの両方で、一気見できるのである。畳んでよし、広げてよし、貼ってよし。そうなのだ、最近流行りのカセットテープやレコードも含め、手に取ることのできる音源は、パッケージ含めて“作品”なのである。こうやって臆面もなく“ビジュアルの歴史”を晒せることも含め、アイドルのCDには、楽曲を視聴することのみならずいろんな楽しみ方があることを、今回のベストアルバムで(CDを聴く前からもう)再認識させられてしまった。

 歌詞カードも冊子になっている。今回のベストが特にメッセージ性の強い曲が多く選ばれていることも手伝って、SMAPという稀代の表現者の元に贈られた恋文を集めた現代詩集のようだ。稲垣がラジオで「入っていいのかなぁ」とつぶやいていた「チョモランマの唄」は、2008年のライブ『super.modern.artistic. performance tour』で披露されたもので、これまで一度も音源化されたことがなかった。リクエストランキングの8位に入った曲が、どういう形で収録されるのか。新たなレコーディングがあるのではないかと期待していた人(私も含め)もいたようだが、(おそらく)ライブ用にレコーディングされたワンコーラスのみの収録だった。でも、“幸せに生きることは簡単”と軽やかに、大真面目にふざけながら歌う彼らの声を聴くだけで、自然に笑顔になれた。こういうシャレの効いた曲で、表面的には軽快さを装いつつ、でもズシンと心に響くメッセージを手渡すことができるのは、やはりSMAPならではだ。

◆発売日に展示された衣装、そこから見えるSMAPのオリジナリティ

 発売日である21日は、CDショップの活気も目の当たりにした。渋谷のTSUTAYAでは、1階に稲垣と草なぎの衣装が展示されていて、幅広い年代の女性がそれを写真に収めている。SMAPの衣装はゴージャスで細部まで手が込んでいて、ライトが当たることが前提の衣装のせいか、見る角度によって印象が変わって、ずっと眺めていても飽きないし、衣装とともにライブでの歌や踊りが脳裏に蘇ってきたりもする。これはSMAPに限ったことではないが、アイドルがライブで発信する“美”の種類は、アイドルに興味がない人が認識しているものより遥かに多い。まず前提として彼ら自身の“カッコ良さ”や“スター性”があり、曲の世界観を歌と踊りで表現しながら、そこにはセットや衣装がもたらす輝きや陰影も影響するし、何よりグループの場合は“チームワーク”が、目に見える“コード(和音)”となって五感を刺激するのだ。

 SMAPにはSMAPにしか奏でられないコードがあって、それがつまりグループとしてのオリジナリティに通じる。5人は、例えるなら5弦の楽器(ある時期までは6弦だった)。17日付の朝日新聞で、ビクターエンタテインメントでSMAPを担当するSルームのプロデューサー・見上浩司氏が、「彼らほど作り手の創作意欲を掻き立てる存在は珍しい」とコメントしていたが、“世界で一つだけの楽器”の価値を強く実感していたのは、メンバーやファン以上に、音楽の作り手の方だったのかもしれない。

◆収録曲で唯一ライブで歌われていない――残るは「華麗なる逆襲」

 いずれにせよSMAPの曲は、ファンの前で、ライブで歌われてこそ完成するものだ。ベストアルバム全50曲の中に、まだライブで歌われていない曲が、1曲だけ入っている。椎名林檎が楽曲提供した「華麗なる逆襲」だ。椎名といえば、先日「BISTRO SMAP」がタモリをゲストに最終回を迎えた時の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で、S-LIVEのゲストだった。「華麗なる逆襲」は草なぎ主演のドラマ『銭の戦争』(2015年/同系)主題歌。椎名は、2012年にリリースされたSMAPのアルバム『GIFT of SMAP』にも、「真夏の脱獄者」という曲を提供している。「華麗なる逆襲」にしても、「真夏の脱獄者」にしても、国民的アイドルグループとなったSMAPの、ずっと前から変わらないアウトロー的精神が引き出されていて、2012年のライブでも、どんどん形を変えて行く巨大なジャングルジムのようなセットで歌う「真夏の脱獄者」の演出はとりわけスリリングでカッコ良かった。

 “本当の敵は誰”なんて穏やかじゃないワードが並ぶ「華麗なる逆襲」だが、そこにも、忌み嫌うより愛する方を選んでみたり、まだ勝負してないとうそぶいてみたり、デビューの頃から変わらない“SMAPスピリット”が貫かれている。だから、このアルバムを聴けば信じられる。“毎度いらっしゃいませ”と、不敵に笑いながら、彼らがいつかこの曲をステージで歌う日が来ることを。
(文/菊地陽子)



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