ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が好調だ。本誌が調査する視聴者の満足度調査『オリコンドラマバリュー』の結果でも100点満点を記録するなど、視聴者からの支持も厚い。話題の「恋ダンス」など同ドラマのプロデューサー、峠田浩氏に制作の狙いを聞いた。
■「必要とされたい」思いがドラマ制作の根本にある
新垣結衣、星野源が共演するドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が、回を重ねるごとに右肩上がりの視聴率を稼ぎだしている。海野つなみの同名コミックをもとに、『重版出来!』の野木亜紀子氏が脚本を手がけ、派遣社員切りをはじめ、現代の若者の直面する題材を織り込んだ恋愛コメディ。何よりエンディングに設けられた「恋ダンス」が話題となり、視聴者による“踊ってみた”動画も多数映像サイトに投稿されている。
「以前手がけた『コウノドリ』と同様、分かりやすいテーマ、一言でくくれるドラマを目指しました。このドラマの場合は“契約結婚”ですね。ただ狭まった見方をされる危険性も出てきます。多様な見方をしていただくために、異質な言葉を組み合わせた“社会派ラブコメディ”というコピーにしました」(TBSテレビ 制作局ドラマ制作部 峠田浩氏/以下同)
同作では毎回、人気テレビ番組のオマージュを織り込むなど、さまざまな工夫を盛り込んでいる。
「原作にも書かれていましたが、ドラマの根本にあるのは、仕事でも、人間関係でも、“誰かに必要とされたい”という、今の若い人たちの切実な気持ちです。野木さんの鋭い感性と世界観で、生きることの多様性を浮き彫りにしてくれました」
このドラマではティーンの反響が大きかったことが嬉しかったという。
「制作側がドラマを楽しんで作っていることを表わすために、本編以外でもアピールできる要素を盛り込みたいと知恵を絞りました。その1つが最後に設けた「恋ダンス」です」
■“恋ダンス”のキャッチーな振り付けに「手応えは十分あった」
少しでも多くの共感を求め、最大限の努力をするPerfumeの振り付けなどで知られるMIKIKO氏が手がけた「恋ダンス」は峠田氏の目論見通り、ドラマから離れたところでも話題となっている。
「最初、『コウノドリ』にも出演していた星野さんに“星野さんの主題歌で星野さんが踊るようなエンディングをやりたいですね”と言っていたのです。これがこんなに早く実現するとは思っていませんでした。MIKIKO先生の振り付けはキャッチーで、手応えは十分にありました。予想以上に拡散して、楽しいドラマと認知させる助けになりました」
オリンピック、パラリンピックの振り付けのため、リオデジャネイロ滞在中だったMIKIKO氏とは、Skypeで打ち合わせを行ったという。
「出演者に関しては、これまで演じたことのないイメージで、新垣さん、星野さんとも、その演技力の高さを十分に発揮していただきました。作品の成功に大きく貢献してくださっています。自分の経験上、本当にそのドラマを好きになったとき、少しでも長くドラマの世界観を共有したいと思っていました。横浜市と組んでデートスポットのパンフレットを作ったり、クックパッドと組んだり、あるいはTwitterやInstagramを活用したのも、1人でも多くの方に共感していただき、繋がっていたいと考えたからです」
峠田氏は現在、ドラマ制作だが、かつては報道に籍を置いていた。
「報道でもドラマ制作でも、取材してかたちにするという部分では変わらないと感じました。最終的にノンフィクション(ドキュメント)になるか、フィクション(ドラマ)にするかの違いかなと思う部分があります。そのためには社会に対する自分の視点をしっかり持っていたいです」
TBSに入社したときはシンプルに「テレビをやりたい」という気持ちだったという。情報、報道を経て、現在はドラマ制作に燃える日々を送っている。
「このドラマは今後、ますます予断を許さない展開となります。真摯に絆を紡いでいく2人を通して、人と人との関係性を楽しく語りかけます。オマージュもふんだんにあるので、ご注目ください」
文:稲田隆紀
(コンフィデンス 16年12月5日号掲載)
■「必要とされたい」思いがドラマ制作の根本にある
新垣結衣、星野源が共演するドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』が、回を重ねるごとに右肩上がりの視聴率を稼ぎだしている。海野つなみの同名コミックをもとに、『重版出来!』の野木亜紀子氏が脚本を手がけ、派遣社員切りをはじめ、現代の若者の直面する題材を織り込んだ恋愛コメディ。何よりエンディングに設けられた「恋ダンス」が話題となり、視聴者による“踊ってみた”動画も多数映像サイトに投稿されている。
「以前手がけた『コウノドリ』と同様、分かりやすいテーマ、一言でくくれるドラマを目指しました。このドラマの場合は“契約結婚”ですね。ただ狭まった見方をされる危険性も出てきます。多様な見方をしていただくために、異質な言葉を組み合わせた“社会派ラブコメディ”というコピーにしました」(TBSテレビ 制作局ドラマ制作部 峠田浩氏/以下同)
同作では毎回、人気テレビ番組のオマージュを織り込むなど、さまざまな工夫を盛り込んでいる。
「原作にも書かれていましたが、ドラマの根本にあるのは、仕事でも、人間関係でも、“誰かに必要とされたい”という、今の若い人たちの切実な気持ちです。野木さんの鋭い感性と世界観で、生きることの多様性を浮き彫りにしてくれました」
このドラマではティーンの反響が大きかったことが嬉しかったという。
「制作側がドラマを楽しんで作っていることを表わすために、本編以外でもアピールできる要素を盛り込みたいと知恵を絞りました。その1つが最後に設けた「恋ダンス」です」
■“恋ダンス”のキャッチーな振り付けに「手応えは十分あった」
少しでも多くの共感を求め、最大限の努力をするPerfumeの振り付けなどで知られるMIKIKO氏が手がけた「恋ダンス」は峠田氏の目論見通り、ドラマから離れたところでも話題となっている。
「最初、『コウノドリ』にも出演していた星野さんに“星野さんの主題歌で星野さんが踊るようなエンディングをやりたいですね”と言っていたのです。これがこんなに早く実現するとは思っていませんでした。MIKIKO先生の振り付けはキャッチーで、手応えは十分にありました。予想以上に拡散して、楽しいドラマと認知させる助けになりました」
オリンピック、パラリンピックの振り付けのため、リオデジャネイロ滞在中だったMIKIKO氏とは、Skypeで打ち合わせを行ったという。
「出演者に関しては、これまで演じたことのないイメージで、新垣さん、星野さんとも、その演技力の高さを十分に発揮していただきました。作品の成功に大きく貢献してくださっています。自分の経験上、本当にそのドラマを好きになったとき、少しでも長くドラマの世界観を共有したいと思っていました。横浜市と組んでデートスポットのパンフレットを作ったり、クックパッドと組んだり、あるいはTwitterやInstagramを活用したのも、1人でも多くの方に共感していただき、繋がっていたいと考えたからです」
峠田氏は現在、ドラマ制作だが、かつては報道に籍を置いていた。
「報道でもドラマ制作でも、取材してかたちにするという部分では変わらないと感じました。最終的にノンフィクション(ドキュメント)になるか、フィクション(ドラマ)にするかの違いかなと思う部分があります。そのためには社会に対する自分の視点をしっかり持っていたいです」
TBSに入社したときはシンプルに「テレビをやりたい」という気持ちだったという。情報、報道を経て、現在はドラマ制作に燃える日々を送っている。
「このドラマは今後、ますます予断を許さない展開となります。真摯に絆を紡いでいく2人を通して、人と人との関係性を楽しく語りかけます。オマージュもふんだんにあるので、ご注目ください」
文:稲田隆紀
(コンフィデンス 16年12月5日号掲載)
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2016/12/04